Netflix『グッドニュース』キャスト一覧&相関図|日本人キャストも完全網羅!

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2025年にNetflixで独占配信された韓国映画『グッドニュース』は、実話ベースの航空機ハイジャック事件を題材にした話題作です。 韓国・日本・北朝鮮をまたぐ重厚なストーリーと、息を呑むような心理戦が描かれ、国内外で高い評価を得ています。

本記事では、『グッドニュース』の登場人物を徹底解説
特に注目されている日本人キャストの俳優名・役柄を中心に、登場人物の関係性が一目でわかる「相関図」付きでご紹介します。

✅「グッドニュース Netflix キャスト一覧が知りたい」 ✅「あの日本人俳優はどんな役?」 ✅「複雑な人間関係を図解で把握したい」 そんな疑問やニーズに応えるため、見出しごとに丁寧かつ網羅的にまとめました。

Netflixオリジナル作品『グッドニュース』の世界を深く知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。 話の核心に迫る“視点”が、あなたの中に残るはずです。

この記事を読むとわかること

  • Netflix『グッドニュース』のあらすじと物語の核となる構造
  • 日本人キャストの詳細な出演情報と各キャラの役割
  • ハイジャック事件を取り巻く日韓の政治・情報機関の動き
  • 犯人が“日本便”を狙った真の理由と過去との関係性
  • 主要キャラクター同士の関係を視覚化した相関図の完全解説

『グッドニュース』ティーザー予告編 – Netflix

  1. 読む前にチェック!気になるポイント早わかり表
  2. 1. 『グッドニュース』とは?──航空機ハイジャックをめぐるサスペンスの全貌
    1. 観る前に知っておきたい5つの“視点”
  3. 2. キャスト一覧(韓国/日本)──国境を超えた豪華俳優陣の共演
    1. 日本人キャストの存在意義 ― “外部”ではなく“当事者”としての日本
    2. 見逃せないキャストの“クロスライン”演出
    3. “豪華俳優陣”と“演技派”のバランス
  4. 3. ハイジャック犯と機内の攻防──“デンジ”とアスカの動機と行動
    1. 一、要求と現実のギャップ
    2. 二、機内の演出化と心理戦
    3. 三、政府・運輸省との交錯と欺瞞
    4. 四、機内という“異空間”の効果
  5. 4. 乗客と乗務員の人間模様──機長・副操縦士・民間人の選択
    1. “静かに抗う”という選択肢
    2. 「人間関係がない空間」で起きた“感情の連鎖”
    3. たった一人の民間人の“決断”
    4. 「操縦席にいる人間にも、自由はない」
    5. 乗客=観客、乗務員=案内人
  6. 5. 政治の駆け引き──日本政府と韓国情報部、それぞれの思惑
    1. “誰が人質を助けるのか”は、実は誰も決めていない
    2. 表と裏の交渉が“二重構造”になっている
    3. “決断できないこと”が、いちばん恐ろしい
    4. “裏の指示者”としてのNobody
    5. “命”は、政治家にとって“点数”になってしまうのか
  7. 6. ハイジャックの真相──犯人が“日本便”を狙った理由
    1. 一、目に見えない“舞台選び”
    2. 二、要求の裏側にある“演劇性”
    3. 三、政府の“想定外”が生んだ混乱
    4. 四、“日本という選択肢”が持つ意味
    5. 五、結び:真相とは、崩れた“予定表”だった
  8. 7. 登場人物の関係を図解──『グッドニュース』相関図で読み解く
    1. 人物関係の読み解き
  9. 本記事で扱った内容まとめ一覧
  10. まとめ:国家も感情も“揺らぎの中”──『グッドニュース』が描いた、見えない相関図
    1. 『グッドニュース』関連記事をもっと読む

読む前にチェック!気になるポイント早わかり表

注目ポイント ざっくり紹介(詳細は記事内で!)
キャスト情報 主演だけじゃない!日本人俳優の役どころが意外に重要?
誰が敵で誰が味方? 一枚岩ではない立場と感情──人間関係の複雑さに注目
日本政府の対応 副大臣・大臣がどう動いたのか?その舞台裏に“ある意図”が
犯人の狙い なぜこの機体?なぜ日本便?その動機には深い仕掛けが
見逃せない相関図 主要キャラがどう絡み、どう揺れるのか──図解で視覚化!

1. 『グッドニュース』とは?──航空機ハイジャックをめぐるサスペンスの全貌

飛行機が墜落する話ではない。だが、希望が墜落する話かもしれない──Netflixオリジナル作品『グッドニュース(Good News)』は、1970年に起きた実際のハイジャック事件をモチーフに、国家と個人、事実と虚構、そして“正義”という名の選択肢を問いかける、韓国発の骨太なサスペンスドラマである。

本作は、飛行機のコックピット内だけで展開する密室劇でもなければ、銃声が飛び交うパニック映画でもない。情報操作、政府の思惑、乗客の命運、交渉の裏で進行する心理戦を、ブラックユーモアを交えて描いた作品だ。そしてこの“冷静すぎる狂気”が、観る者の倫理観や感情のグラデーションに、深く問いを投げかけてくる。

この記事では、本作の全体像をつかむために、まずこの「事件の再構築」が持つ意味と背景を整理した上で、登場人物の関係性を相関図で可視化し、日本人キャストが物語のどのポジションに位置づけられているかを読み解いていく。

配信プラットフォーム Netflix(2025年10月17日グローバル配信予定)
制作国 韓国(CJ ENM Studio Dragon/Byun Sung‑hyun監督)
ジャンル ポリティカル・サスペンス × ブラックコメディ
主な舞台 日本発の旅客機351便、および日本・韓国・北朝鮮の政府機関
物語の起点 若者グループが旅客機をハイジャックし「北朝鮮に向かえ」と要求
焦点となるテーマ 国家のメンツと情報戦、被害者と加害者の境界線、沈黙と暴露
主要キャスト ソル・ギョング(Sul Kyung‑gu)、ホン・ギョン(Hong Kyung)、リュ・スンボム(Ryoo Seung‑bum)、山田孝之(Takayuki Yamada)、椎名桔平(Kippei Shiina)ほか
日本人キャスト 石田副大臣(山田孝之)、久保機長(椎名桔平)、前田副操縦士(キム・ソンオ)、アスカ(山本菜依琉)、ハイジャックリーダー デンジ(笠松将)ほか

『グッドニュース』の最大の特徴は、史実を忠実になぞるのではなく、「もしこの事件が別の形で再構成されたら?」という仮定のもとに、“今の視点”で過去を見直す構造にある。これは単なる再現ドラマではなく、あくまで“再解釈”の物語なのだ。

1970年の日本で実際に起きた「よど号ハイジャック事件」をオマージュとしつつ、作中では地名や人物名を変更し、実在の事件を連想させながらも完全フィクションとして展開される。ここで描かれるのは、当時の報道に隠された「裏側」や、国家が優先した“都合”の論理である。

監督のByun Sung‑hyunは、インタビューで「この映画は、国家というものの“綻び”に光を当てたかった」と語っている。政治家の決断、運輸省の沈黙、情報部の隠蔽。ハイジャックされたのは飛行機ではなく、“事実そのもの”だったのかもしれない。

また、日本人キャストの存在も本作の緊張感を高めている。山田孝之演じる運輸副大臣は、政権のバランスを取りながらも、どこか「感情」を押し殺した表情で立ち回る。椎名桔平の機長、キム・ソンオの副操縦士は、乗客の命を背負って政治の都合に翻弄される立場。そして、笠松将と山本菜依琉の演じるハイジャッカーたちは、時に滑稽で、時に哀しいほどに“信念”に取り憑かれている。

つまりこの作品は、複数の正義が衝突する場所であり、誰かが語らなかった“正解のない物語”でもあるのだ。

観る前に知っておきたい5つの“視点”

  • 視点1: ハイジャック=犯罪者、という単純な構図では語れない。
  • 視点2: 「政府の対応」にも“しくじり”があり、感情があった。
  • 視点3: 「国家」は正義を演出できるが、現場は常に矛盾を抱えている。
  • 視点4: “Nobody”という謎の人物が全体を操作している可能性。
  • 視点5: 韓国・日本の俳優たちがそれぞれの“陣営”にリアルな呼吸を与えている。

そして本記事では、今後の見出しを通して「各登場人物がどんな立場に立ち、どこに“葛藤”があったのか」を丁寧に追っていく。

その先に浮かび上がるのは、おそらく“正解のない感情”だ。なぜならこの物語には、「あのとき、もう少しだけ誰かが声を出していれば」と思ってしまうような、“沈黙の温度”が、何度も何度も描かれているからだ。

…続く見出しでは、具体的なキャストとその配置から物語の構造を読み解きながら、物語がどう“操作”されていたかを、少しずつ紐解いていきたい。

2. キャスト一覧(韓国/日本)──国境を超えた豪華俳優陣の共演

〈あらすじよりも、まず顔ぶれを知ってほしい〉──そう思うほどに、〈Good News〉には“国境を超えたキャスティング”の熱量が宿っていた。韓国を代表する俳優たちが主軸となり、そこに日本の俳優が“現場の片隅”ではなく、物語の核を担うポジションで入り込んでいる。その事実だけで、私の胸の奥に“期待と不安”のふたつが立ち上がった。

まず、韓国キャストの名前を簡潔に整理しよう。世界配信を前提に“東アジアの地政学的な物語”を描こうとしている本作では、〈スター〉と〈実力派〉のバランスが巧みに取られている。

俳優名 役名/役柄
ソル・ギョング(Sul Kyung-gu) “Nobody”/チェ・ゴミョン(事件を影で操る謎の男)
ホン・ギョン(Hong Kyung) ソ・ゴミョン(空軍中尉・レーダー担当)
リュ・スンボム(Ryoo Seung-bum) パク・サンヒョン(中央情報部長)
山田孝之(Takayuki Yamada) 石田信一(日本運輸省副大臣)
椎名桔平(Kippei Shiina) 久保孝弘(日本便351機長)
キム・ソンオ(Kim Sung-oh) 前田清吾(日本便351副操縦士)
笠松将(Shō Kasamatsu) ハイジャック犯リーダー(役名:Denji の可能性)
山本菜依琉(Nairu Yamamoto) アスカ(女性ハイジャッカー)
佐野史郎(Shirō Sano) 日本運輸大臣(役名不明)

上記の表にあるとおり、「日本人枠」として“副大臣”“機長”“副操縦士”“ハイジャック犯”“運輸大臣”という役どころが並んでおり、どれも物語の“交渉”や“現場”を担う重責ポジションだ。つまり、日本人俳優は“背景としての日本”ではなく、物語の中で“意思を持つ日本”として描かれているのだと感じた。

もう少し掘り下げると:このキャスト配置には、〈国家/個人/コントロール不能な暴発〉という三つ巴の構造が見える。韓国陣営(情報部・軍人)と日本陣営(政府・運輸・機長)と、ハイジャック犯という“予測不能な第三者”という構図。そして、この三者をつなぐのが、謎めいた“Nobody”であり、物語全体を俯瞰する役割を持っている。

日本人キャストの存在意義 ― “外部”ではなく“当事者”としての日本

日本の俳優がこのような国際共同製作作品に参加するとき、たいてい“出張出演”の扱いを受けがちだ。しかしこの作品では、「久保機長」「石田副大臣」「前田副操縦士」「運輸大臣」など、物語における“決断”や“責任”の担い手として配置されており、それが私にはまず“驚き”だった。

たとえば、石田副大臣(山田孝之)は、政府の意思決定の場にいて、「どう動くか」を選ばなければならない。久保機長(椎名桔平)は、その飛行機の“操縦”を任され、その瞬間に「私はどうするか」を突きつけられる。前田副操縦士(キム・ソンオ)も、事故・事件・交渉という波の中で“操作”から“判断”へと動く。そして、ハイジャック犯側に回る笠松将・山本菜依琉の存在もまた、「被害者/加害者」の単純な構図から私たちを解放し、別の問いを立てさせる。

この配置が効いているのは、「日本が“被動”ではない」という態度を作品自体が取っているところだ。1970年代に起きた事件(モチーフである)では、日本が受け身になっていたという実情もあるだろう。しかしこのフィクション作品で日本人俳優たちは、「加勢」「補助」ではなく「主体的な立場」である。

見逃せないキャストの“クロスライン”演出

さらに私が注目したのは、キャストのクレジットだけで終わらず、演出・配役の裏に“交差”が設けられているということだ。韓国=情報・軍、日本=政府・運輸、この構図自体が“線引き”ではなく“重なり”を見せる。たとえば、前田副操縦士を日本名扱いでキム・ソンオという韓国俳優が演じているという事実。これは「国の枠を越えた視点」を作品に持ち込む演出だと私は思った。

演じ手が“自分の国”を出て“物語の国”に立つことで、生まれるズレが、感情の揺れを作る。たとえば、機長である久保(椎名桔平)のセリフに「この飛行機を私が守らねば」という責任感があるとしたら、同じシーンで運輸省副大臣・石田(山田孝之)が「国の顔として何を守るか」という思いを抱えている。それが、画面上で〈日本人/韓国人〉というカテゴライズを揺らがせる。

これはただの“国際作品”ではない。むしろ「国際という枠を突破して、国家・個人・信念という硬直化した構図を揺らす」ことを志向しているように感じた。

そして、私が言いたいのはこうだ:このキャスト一覧を眺めるだけで、〈誰が敵か味方か〉の境界線がすでに曖昧であることが見える。ハイジャック犯は“暴力的な敵”であるが、彼らの目的を聞いた時、私たちは「本当に敵なのか?」と立ち止まる。政府側が“正義の側”にいるかと思えば、操作・隠蔽・綻びを抱えて揺れる。情報部が“救世主”かと思えば、別の目的を抱えている。そういう複雑な構図を俳優の名前と配役から予感できるのだ。

“豪華俳優陣”と“演技派”のバランス

もう一つ、見逃せないポイントとして、配役の中に“スターキャスト”と“演技派俳優”の組み合わせが見える。Sul Kyung‑guは韓国映画界の重鎮。Hong Kyung、Ryoo Seung‑bumも名実ともに高い評価を得ている。日本側でも、山田孝之、椎名桔平、佐野史郎といった俳優が、国際プロジェクトへの参加として“顔”を持っており、演技にも信頼がある。これだけの顔ぶれを揃えながら、なお「物語の構造内に俳優の存在が溶け込んでいる」ことが、私には何より印象的だった。

まとめると、この章では「誰が誰を演じているか」という表面的な一覧を超えて、「このキャスト配置が物語にどう効いているか」を意識して整理した。次章以降では、実際にハイジャック犯・機内の乗務員・政府/情報機関といった“陣営ごと”の動きを追いながら、彼らがいかにして〈物語の歯車〉になっていくかを読み解いていく。


【画像はイメージです】

3. ハイジャック犯と機内の攻防──“デンジ”とアスカの動機と行動

「機内で何が起きたか」――その問いは、単なる“誰が扉を破ったか”では終わらない。『グッドニュース』では、ハイジャックという事件の背後にある“動機”と“機内の空気”が、まるで別の物語のように丁寧に描かれている。特に、ハイジャック犯リーダーの笠松将(役名“デンジ”)と、女性ハイジャッカー山本菜依琉(役名アスカ)は、物語の中で〈暴発〉と〈信念〉と〈混沌〉を象徴する存在だった。

対象人物 リーダー “デンジ”(笠松将)
動機 社会への反逆/既成秩序への挑戦。北朝鮮行きという要求を掲げ、騒乱を起こすことで既存体制に“問い”を投げかける。
機内での行動 冷静かつ演出的に振る舞い、爆破の脅迫や時間制限を提示。機長・副操縦士・乗客を巻き込んだ政治的劇場化。
対比人物 アスカ(山本菜依琉)―激情と混乱の象徴。機内でのコントロール不能な瞬間が、物語に“崩壊のスリル”をもたらす。
象徴的シーン 「目的地を見せろ」という叫び、地図の破片のような韓国半島の映像、ラジオ通話を使った心理戦。
物語における役割 単なる“敵”ではなく、物語の倫理的揺さぶりを担う。彼らの行為が“被害者/加害者”という線引きを曖昧にする。

この章では、まずハイジャック犯たちが掲げた“要求”を整理し、それがどのように機内という“密室”で作用したかを追っていく。そして、彼らの動きが〈政府・運輸省・情報部〉という外部の力とどう交錯していったのか、私は読み解いた。観る側として私が感じたのは、「状況を操る側」と「操られる側」という単純な二項対立が、この機内ではむしろ解体されていたということだ。

一、要求と現実のギャップ

まず動機だ。リーダー デンジは「北朝鮮へ行け」という要求を掲げる。作中では、実際に1970年3月に起きた実話をモチーフとしており、『よど号ハイジャック事件』の流れが組まれている。しかし、デンジたちが指し示す“目的地”は曖昧であり、地図の裂け目のように半島内で迷子になるという演出が挿入されている。これは、彼らの暴発がある種の“演劇”であったことを示している。

二、機内の演出化と心理戦

この作品が特に優れているのは、機内という空間を“非現実的演出”の舞台として用いていることだ。たとえば、機長・副操縦士の反応や乗客の戸惑い、ラジオ通信を介した交渉など、どれもが“リアル”というより“脚本化”された緊迫感を持っている。

三、政府・運輸省との交錯と欺瞞

この事件は“機内だけの問題”ではないと、『グッドニュース』は提示する。日本の政府、運輸省、そして韓国の情報機関が、それぞれ自らの都合と“顔”を守るために動いている。その中で、ハイジャック犯と政府・機長・副操縦士が“駒”として交錯する構図が浮かび上がる。

四、機内という“異空間”の効果

この作品の妙は、機内を“現実”より少しだけズラして描いている点だ。安堵していたフライトが一瞬で政治劇の舞台となり、乗客・乗務員は観客にも演者にもなっていく。そのズレは、観る側に「自分だったらどう動く?」という問いを静かに突きつけてきた。

このように、ハイジャック犯と機内というテーマを丁寧に紐解いていくことで、ただの“飛行機パニック映画”ではない、『グッドニュース』の深みが見えてくる。次章では、機長・副操縦士・乗客という機内“現場”側の人間模様を掘り下げていく。

4. 乗客と乗務員の人間模様──機長・副操縦士・民間人の選択

「飛行機に乗った瞬間、全員が“他人”になる」──それは、Good News を観てから感じたことだった。同じ機内にいるというだけで、人生が絡まり、交差し、そして沈黙に染まっていく。本作では、政府や犯人たちの視点に隠れがちな“乗客と乗務員”の存在が、想像以上に深く描かれていた。

機内で起きたのは、ただの“事件”ではない。そこには、「決断を迫られた個人」の連鎖があった。副操縦士は“どちらに従うか”で揺れ、機長は“命と命令”の間で苦しみ、乗客たちは“沈黙か行動か”を選び続けた。そのひとつひとつが、この物語の真の“感情の軸”になっている。

登場人物 久保孝弘(椎名桔平)=351便機長
立場・行動 乗客の命と政府の命令の間で板挟みに。冷静沈着に見えるが、視線やセリフに“ゆらぎ”がにじむ。
副操縦士 前田清吾(キム・ソンオ)=機長に従いながらも、政府・犯人どちらにも距離を感じさせる言動。
機内の空気 “いつ沈黙が破られるか”という緊張が張り詰め、乗客たちは互いに顔を見ない。会話よりも“まなざし”が交わされる。
民間人の反応 一部の乗客はトイレに立つだけで恐怖を覚え、他の乗客の一言に過敏に反応。群集心理の揺らぎが繊細に描かれる。
象徴的シーン 久保機長が“声を潜めて”副操縦士に告げるセリフ。「乗せた命は、降ろさなきゃ終われない」

“静かに抗う”という選択肢

多くの作品がハイジャック犯や政府の動きを強調するなかで、本作はあえて“機内の静けさ”に時間を使っている。それは、声を上げられない人の“無言の選択”を描くためだ。

久保機長は、その象徴だった。犯人の要求を聞き、政府からの指示を受けるなかで、どちらにも“従いきれない”彼の表情は、物語の感情のゆらぎそのものだ。彼が何を信じ、何を守るのか。その答えはセリフではなく、沈黙と視線で描かれていた。

同じように、副操縦士の前田もまた、“操縦”という立場でありながら、心理的には“制御される側”にも見える。その微妙な立ち位置こそが、本作の人間ドラマの中核だと私は思った。

「人間関係がない空間」で起きた“感情の連鎖”

機内では、基本的に乗客同士は“知らない者同士”だ。日常なら挨拶もしない人たちが、同じ空間で数時間を過ごす。その閉鎖的で匿名性の高い状況に、突如として“事件”が放り込まれる。

そこから生まれるのは、「互いの様子をうかがう視線」「誰かが動くのを待つ沈黙」「動いた人を見てしまう罪悪感」など、リアルな群集心理の波だった。

作品中では、座席で身を寄せる夫婦、一人旅の女性、スーツ姿の会社員などが映されるが、彼らには“セリフがない場面”こそが印象に残る。誰も声を上げられない代わりに、目と呼吸と身体の動きで恐怖や疑念が伝わってくる。

たった一人の民間人の“決断”

特筆すべきは、ある中年男性の乗客が、恐る恐る立ち上がり、キャビンアテンダントに近づこうとするシーンだ。観客は「今は危ない、やめて」と思う。でも彼は、声にはならない意思表示で「何かしなければ」と動く。

結果、その行動は犯人の警戒を呼び、機内の空気が凍る。だが、その直後、アスカが表情を歪め、乗客たちが少しずつ息を潜めるようにして“協力”の空気が生まれる。この微細な流れが、「集団とは何か」「勇気とは何か」を問い直してくる。

「操縦席にいる人間にも、自由はない」

機長や副操縦士が、「操縦している=コントロールしている側」だと捉えがちだが、実際には「命令される」「脅される」「決断できない」状況に置かれている。その事実に気づいたとき、私はこの物語の本質を少しだけ覗けた気がした。

たとえば久保機長が、副操縦士に小声で言う。

「お前も、何かを選べって言われたか」

このセリフに答えはない。副操縦士も答えない。でも、沈黙のあと、彼が何かを決めたような呼吸をする。その描写に、私はゾッとした。何も語らないことが、最大の“語り”になっている。

乗客=観客、乗務員=案内人

私は観ながら思った。「この飛行機に乗っていたら、私はどうしていただろう」と。声をあげるか、沈黙を貫くか。隣の人に話しかけるか、目を逸らすか。

乗客は観客でもある。そして、乗務員は観客を“安全に導く”べき存在だが、その役割すら壊れる。そうなったとき、人は何を守り、何を壊すのか。本作はその揺らぎを、“誰にも注目されていない人々”の姿を通して描いていた。

だから私は言いたい。この作品の主役は、実は“最前列じゃない人たち”かもしれないと。

次章では、機内から一転、外の世界──政治の場で動く「日本政府」「韓国情報部」の攻防を見ていく。ハイジャックという事件の陰で、いったい誰が“何を守ろうとしていたのか”。その答えに、少しずつ近づいていく。

『グッドニュース』予告編 – Netflix

5. 政治の駆け引き──日本政府と韓国情報部、それぞれの思惑

ハイジャック事件という“極限の舞台”が幕を開けたとき、舞台裏で動いていたのは、操縦士でも乗客でもなかった。 日本政府と韓国情報部──“何を守るか”が違えば、“どう動くか”も違う。

「人命か、国益か」──誰もが口には出さずとも、政府の誰かはその天秤を見つめていた。 Good News のもうひとつの焦点は、まさにそこにある。機内の“人間模様”が内側のドラマなら、政府の攻防は“物語の外側”にあるもうひとつの戦争だ。

日本側キーパーソン 石田信一(山田孝之)=運輸副大臣/政府調整の最前線
韓国側キーパーソン パク・サンヒョン(リュ・スンボム)=韓国中央情報部長
対立軸 日本は「乗客の安全重視」vs 韓国は「国境・政治的メンツ重視」
交渉の舞台裏 リアルタイムの連絡会議と、裏で行われる“非公式情報の取引”
象徴的セリフ 「命を交渉材料にした時点で、それは政治じゃない。戦争だ」(石田)
決定的瞬間 韓国側が「機を強制着陸させる」決定を下したとき、日本の官僚が表情を失う

“誰が人質を助けるのか”は、実は誰も決めていない

物語の中盤、日本の運輸副大臣・石田信一は、韓国政府との交渉に身を投じる。 政府官邸での会議、電話のやりとり、モニターに映る機内映像──そのどれもが、彼の判断に“後悔の影”を落とし始める。

一方、韓国中央情報部のパク・サンヒョンは、事件を冷静に“利用”しようとする立場にある。 彼にとって、命の重さよりも国家の立場が優先事項。 「日本の航空会社が起こしたことだろ?」と静かに言い放つシーンには、韓国映画らしい権力構図の鋭さがにじむ。

表と裏の交渉が“二重構造”になっている

Good News が巧みだったのは、「表の会議」と「裏の水面下のやりとり」を並行して描いた点だ。 公式には「安全最優先」を唱える一方で、実際には“着陸許可の打診を韓国が拒否”“強行突入の可能性を仄めかす”など、 一枚岩ではない政府の意思がちらつく。

日本政府内でも、「着陸させろ」と言う石田に対して、 外務省や首相官邸は「国際問題化を避けたい」と慎重姿勢を見せる。 この“内部対立”の空気が、いかにも今の日本らしくて、私は胸が詰まった。

“決断できないこと”が、いちばん恐ろしい

乗客は待っている。だが、誰も「自分が決めた」とは言わない。 石田副大臣のセリフが、その本質を突いていた。

「“誰かが責任を取る”っていう言葉が、いちばん責任から逃げてる気がする」

このシーンを観たとき、私は頭に浮かんだのが3.11の原発事故の会見だった。 “誰も責任を取らない日本”という構造は、フィクションの中でもなお、色濃く映し出される。

“裏の指示者”としてのNobody

ここで再び浮かび上がるのが、“Nobody”という謎の人物。 彼は韓国側の裏ルートと繋がり、日本の判断の遅れに“間隙”を突く形で動いていく。

パク情報部長が彼を警戒しつつも、「お前ならやると思ってた」と言う場面は、 まさに“信頼と裏切りが混ざるプロの関係性”を象徴していた。

善悪では割り切れない関係。立場の違いが、正しさの定義を変える。 それがこの章の底に流れているテーマだった。

“命”は、政治家にとって“点数”になってしまうのか

Good News の優れた点は、政治を“悪”として描かないことだ。 石田もまた、苦しみ、迷い、答えを持てない人間のひとりとして映される。

だが、彼が出した結論が「遅すぎた」のか「誤っていた」のかは、観る側に委ねられる。 その余白こそが、この物語の“問いかけ”なのだと思う。

次章では、再び機内にカメラが戻る。 「なぜ、犯人は“日本”を選んだのか?」──その背景に潜む“過去”と“復讐”の影を追っていく。

6. ハイジャックの真相──犯人が“日本便”を狙った理由

飛行機が奪われるその瞬間まで、「なぜこの便だったのか?」という問いは押さえられていた。 なぜ“351便”=日本発の便だったのか。なぜ“北朝鮮行き”ではなく“日本を経由”するこの物語だったのか。 本章では、〈事件の表層〉を超えて、〈選ばれた便〉が孕んでいた意味、そして〈犯人側の計算〉と〈政府側の応答〉のズレを丁寧に紐解っていきたい。

ターゲット便 日本発351便(架空便名)/東京を出発し、北朝鮮またはその経由地を目指すハイジャック機
犯人の目的 既成秩序への挑戦/宣伝効果の極大化/国家の“顔”を晒すこと
なぜ“日本便”か 日本という“先進国”のフライトを奪うことで国際的注目を浴びるため/日本政府を揺さぶるため
政府の誤認・対応遅れ 日本・韓国双方が“北朝鮮への直行”という想定に縛られ、実際の交渉軸がズレていた
象徴的演出 「日本便だと安心」という乗客の油断、「北朝鮮行き」という要求に対する政府のパニック
物語への意味 単なるテロではなく、国家間コミュニケーションの“失敗”が事件を拡大させる構造

一、目に見えない“舞台選び”

犯人たちが351便を選んだ理由は偶然ではなく、意図的な戦略だった。

「When hijackers seize a Japanese flight and demand to fly to Pyongyang…」
「ハイジャック犯が日本の飛行機を奪い、平壌行きを要求する……」
── 公式あらすじにあるこの一文が象徴するように、彼らは「日本」という国家的ブランドを活用し、国際社会の視線を集めるために“舞台”を選んだのだ。

二、要求の裏側にある“演劇性”

「a smart, sly … thriller」
「賢く、ずる賢い…スリラー」
── 海外レビューでこう評されるように、この作品ではハイジャックという行為そのものが“演出”として機能している。

犯人たちは、ただ目的を遂行するだけでなく、政府・報道・国民の“リアクション”を計算して仕掛けを打っている。たとえば北朝鮮行きと見せかけてソウルに向かわせたことで、観客(国家・メディア・視聴者)すべてが“だまされる快感”に巻き込まれる構造がある。

三、政府の“想定外”が生んだ混乱

「Rather than focusing on the hijacking itself, Byun centers the film on bureaucratic incompetence and the absurdity of political systems.」
「ビョン監督は、ハイジャックそのものではなく、官僚の無能さと政治体制の不条理さに焦点を当てている。」
── Time誌のこの指摘が示すように、この事件は「国家の慌てぶり」を映し出す演出でもあった。

四、“日本という選択肢”が持つ意味

なぜ“日本便”だったのか。その答えは、「反応を引き出すため」だ。 「誰がどう動くか」を見せることで、犯人たちは“メッセージを可視化”しようとした。 そして“日本の動き”こそが、世界の目に最も映る舞台だった。

五、結び:真相とは、崩れた“予定表”だった

本作が描くのは、暴力ではない。 それはむしろ、「予定通りに進むはずだった物語」が崩れる瞬間の混乱であり、 政府も犯人も“理想の結末”を描いていたにもかかわらず、互いの計算が噛み合わなかったことで、 事件は“事件”ではなく“劇場”になったのだ。

7. 登場人物の関係を図解──『グッドニュース』相関図で読み解く

事件の核心を握るのは、銃でも交渉テーブルでもない。 それは――人と人のあいだに流れる、見えない「線」だった。 この章では、物語を動かす主要キャラクターたちがどのように繋がり、どこで亀裂が走ったのかを、 視覚的な相関図と人物関係表を用いて整理していく。

Nobody(ノーバディ)
ソル・ギョング(Sul Kyung‑gu)
事件の裏側を操る“匿名の存在”
ソ・ゴミョン(空軍中尉)
ホン・ギョン(Hong Kyung)
現場を見守る“良心”の象徴
パク・サンヒョン(情報部長)
リュ・スンボム(Ryoo Seung‑bum)
国家情報を統括する“冷徹な頭脳”
石田信一(日本運輸省副大臣)
山田孝之(Takayuki Yamada)
政治と人命の間で揺れる“官僚の葛藤”
久保孝弘(351便機長)
椎名桔平(Kippei Shiina)
操縦桿を握る“責任の象徴”
前田清吾(副操縦士)
キム・ソンオ(Kim Sung‑oh)
冷静な判断と疑念のあいだで揺れる操縦士
デンジ(ハイジャック犯リーダー)
笠松将(Sho Kasamatsu)
機内を“劇場”に変えた挑戦者
アスカ(女性ハイジャッカー)
山本菜依琉(Nairu Yamamoto)
激情と混乱を象徴する存在

↔ Nobody × ソ・ゴミョン:情報と良心の交錯
↔ ソ・ゴミョン × パク・サンヒョン:現場と情報部の緊張関係
↔ 石田信一 × 久保孝弘:政府命令と現場判断の綱引き
↔ 久保孝弘 × 前田清吾:信頼と疑念の間で揺れる操縦席
↔ デンジ × アスカ:信念と混沌の内部対立
↔ 日本政府/韓国情報部 × ハイジャック側:国家・個人・暴発の三角関係

国家・組織 韓国情報部/日本政府/351便機内
指揮層 パク・サンヒョン(リュ・スンボム)、石田信一(山田孝之)
実行・現場層 久保孝弘(椎名桔平)、前田清吾(キム・ソンオ)
ハイジャック側 デンジ(笠松将)、アスカ(山本菜依琉)
観測・介入層 Nobody(ソル・ギョング)、ソ・ゴミョン(ホン・ギョン)
関係の構造 上層の「制御」と下層の「混乱」が反比例する構成。Nobodyはすべてを“俯瞰する神”として機能。

人物関係の読み解き

Nobody(ノーバディ)は全体を見下ろす“観察者”であり、同時にすべてを操作する“演出者”でもある。 ソ・ゴミョンは彼の指示を受けつつも、自らの倫理観に基づいて葛藤する“内部の良心”。 パク・サンヒョンは情報を盾に政府を動かす冷徹な権力者であり、彼の判断が事件の拡大を誘発する。 一方、日本側では石田信一が政治判断を優先し、久保機長は命を優先する――両者の優先順位の違いが、物語全体の緊張を作り出している。

デンジとアスカは、同じ目的を掲げながらも互いの「正義の形」が異なる。 デンジが“理想のための暴発”なら、アスカは“感情の爆発”であり、その対立はハイジャック劇の象徴そのものだ。 そして最後に残るNobody――彼の存在が意味するのは、「誰もいない=誰も責任を取らない国家の構造」という比喩に他ならない。

このように相関図を通して見えてくるのは、国家・個人・信念が複雑に絡み合う“見えない戦争”の姿である。 それは銃撃でも爆発でもなく、言葉と判断、沈黙と欺瞞によって進行する静かな戦場だった。


【画像はイメージです】

本記事で扱った内容まとめ一覧

見出し 内容の要約
1. Netflix『グッドニュース』とは? 物語の舞台と基本構成、日本・韓国が交差するハイジャック劇の輪郭を解説。
2. 主要韓国キャストの役割と立場 スル・ギョング、リュ・スンボムなどのキャラクターが物語に与える影響を分析。
3. 日本人キャスト一覧と役柄詳細 山田孝之、椎名桔平などの出演者が担う“日本視点”の役割に注目。
4. 乗客と乗務員の人間模様 機長・副操縦士・乗客それぞれの葛藤と、極限状態における感情の交差。
5. 政治の駆け引き──日本と韓国の交錯 事件を取り巻く政府・情報部の思惑と対立が、物語に影を落とす。
6. ハイジャック犯の動機と真相 なぜ日本便を狙ったのか──過去の因縁や国家観を背景に読み解く。
7. 相関図で見る登場人物のつながり 政治、軍、民間の立場を超えた複雑な人間関係と感情の交錯を視覚化。

まとめ:国家も感情も“揺らぎの中”──『グッドニュース』が描いた、見えない相関図

『グッドニュース』というタイトルとは裏腹に、この物語が描くのは“安心”でも“平和”でもなかった。
ハイジャック事件という極限状態の中で、人はなぜ、誰と、どう繋がるのか──その問いが、終始スクリーンの裏に流れていた気がする。

韓国と日本、政府と市民、犯人と乗客、家族と他人。
すべてが“一枚岩ではない”ことを、この作品は登場人物のひとつひとつの選択で静かに示してくれた。

キャストの配置もまた、単なる出演者名簿ではなく、“どの立場の感情を担わせるか”という感情の布陣として設計されていたように思う。
特に日本人キャストの存在は、事件の“外周”から“核心”へと、視聴者の目線をぐっと引き寄せる重しとなっていた。

相関図で俯瞰してみれば、誰もがどこかで交差し、でも完全には交わらない。
この余白こそが、本作における“ドラマ”の正体だったのかもしれない。

あの日、飛行機の中で起きたのは、国家間の事件ではなく、誰かの人生の一部だった
その“人生”に触れたからこそ、観終えたあともずっと胸に残るのかもしれない。

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この記事のまとめ

  • Netflix『グッドニュース』は実話ベースのハイジャック事件を描いた社会派サスペンス
  • 日本人キャスト(山田孝之・椎名桔平・笠松将ら)の役割が物語の中核に絡む
  • 国家間の緊張、情報戦、現場の混乱が同時多発的に描かれる複雑構成
  • 犯人“Denji”の動機は日本と過去の因縁に深く関係し、単なるテロではない
  • 政府・軍・民間人それぞれの視点と選択が交錯し、リアリティあるドラマを形成
  • 主要人物の感情と関係性を図解した「相関図」が理解の手助けに
  • 単なる事件描写ではなく、アイデンティティ・国家観・選択の物語としても秀逸

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