アニメ映画『チェンソーマン レゼ篇』とは｜原作のどこからどこまで？時系列＆あらすじまとめ

本記事では、2025年9月19日公開予定のアニメ映画『チェンソーマン レゼ篇』が、原作漫画のどの範囲を映像化するのかを詳しく解説します。原作の第5巻から6巻にかけて描かれた「レゼ篇」は、デンジとレゼの恋愛ドラマと激しい戦闘が融合した人気エピソードです。

本文では、物語の時系列、主要な展開ポイント、原作の話数・巻数までを時系列に沿って整理します。映画を観る前に知っておきたいあらすじの全体像を、ネタバレを含めずにまとめました。

「どこから始まって、どこで終わるのか」を押さえることで、映画との比較や予習にも最適です。原作ファンも初見の方も、ぜひご覧ください。

1. レゼ篇の開始：原作第5巻39話「きっと泣く」から

『チェンソーマン レゼ篇』は、TVアニメ1期の最終話にあたる第5巻38話「日常の終わり」の直後から始まります。

そのスタート地点となるのが、第5巻39話「きっと泣く」です。

ここでは、主人公デンジにとって初めて訪れる“平穏な日常”が描かれ、シリーズ全体のトーンが一時的に落ち着きを見せる構成になっています。

物語は、ある雨の日の街角で始まります。

電話ボックスの中、雨宿りをするデンジの前に、ひとりの少女が現れます。

彼女の名は「レゼ」。後に物語の鍵を握る重要人物でありながら、この時点ではただの可愛らしい喫茶店の店員として描かれています。

この出会いのシーンは、チェンソーマンというバイオレンス作品においては異色とも言えるほどに、穏やかで、青春的なトーンを持って描かれています。

デンジはレゼに対してすぐに興味を持ち、以降、彼女の働くカフェに頻繁に通うようになります。

これまで「マキマ」への盲目的な執着が動機だった彼にとって、“対等な関係性”を築こうとする初めての相手がレゼだったとも言えるでしょう。

この章では、デンジの成長が静かに表現されています。

喫茶店のカウンター越しに交わす何気ない会話、レゼの笑顔に対して戸惑いながらも惹かれていく気持ち。

これまでのデンジが求めていた「支配される愛」ではなく、“普通の人間関係”に対する初めての渇望が、物語全体の基調を静かに変えていきます。

同時に、読者には気づかされる違和感があります。

レゼの言動にはどこか作為的なものが含まれており、ただの偶然の出会いではないのでは？という疑念が浮かび始めます。

この“ズレ”が、後の裏切りや戦闘への伏線として非常に巧妙に仕込まれており、

日常と非日常が重なり合う絶妙なバランスを生んでいるのです。

また、39話のタイトル「きっと泣く」には二重の意味が込められています。

ひとつは、デンジが“人間らしい感情”を持ちはじめたというポジティブな兆し。

もうひとつは、この後に訪れる裏切りと戦闘、そして“取り返しのつかない悲劇”を暗示する伏線です。

このように、『レゼ篇』の開幕にあたる第39話は、全体のプロット構造上も極めて重要な意味を持つ導入回です。

派手なアクションがなくとも、感情の伏線・人間関係の布石・謎の提示という点で、濃密な物語の地盤が丁寧に築かれています。

そしてこの回をもって、「チェンソーマン」という作品は、単なるバトル漫画でもスプラッターでもなく、“感情の文学”としての新たな側面を見せ始めるのです。

2. カフェでの交流と恋の芽生え（5巻39～42話）

レゼと出会ったデンジは、その後、彼女が働くカフェに通うようになります。

このカフェでの交流が始まる第39〜42話の間は、『チェンソーマン』全体の中でも珍しく、“日常”が丁寧に描かれる貴重な期間です。

チェーンソーの悪魔としての戦闘、血と暴力の日々から一歩距離を置き、恋愛と感情を軸とした物語が静かに進行していきます。

デンジは、レゼの何気ない優しさや明るさに触れるたび、マキマとは異なる“素の関係性”に心を惹かれていきます。

彼にとって、マキマは憧れや執着の象徴であり、支配と服従の関係でした。

しかし、レゼとの関係には対等さがあり、自分の意思で会いに行く自由さがあります。

この自然な交流を通じて、デンジは初めて“普通の恋”というものを経験します。

喫茶店の会話、ふとした笑顔、他愛のないやりとり――。

それらすべてが、彼にとっては初めての幸福な時間でした。

特に印象的なのが、レゼが「学校、行ったことある？」と問いかけるシーンです。

デンジは「ない」と答え、それを受けてレゼが「じゃあ行こう！」と提案します。

2人は深夜の学校に忍び込み、校舎を探索しながら青春のような時間を共有します。

教室での語らい、プールでの水遊び、屋上での月を見るシーン。

どれも、“もし自分たちが普通の高校生だったら”という仮想の幸福を描いた名場面です。

その一つひとつが、後の展開における残酷さをより強く際立たせる伏線にもなっています。

この段階では、レゼの正体はまだ明かされていません。

しかし、読者にはどこか引っかかる感覚が残るような、“不自然に整いすぎた時間”が描かれていきます。

それはレゼの「笑顔があまりに完璧すぎること」や、「時折見せる無表情」など、細かい演出の中に含まれているのです。

そして、それこそがこの章最大の見どころです。

この数話では、一見“恋愛展開”に見えながら、レゼの任務と偽装、そして葛藤が裏で静かに進行しています。

つまり読者に対しても、デンジと同じように“信じたい感情”と“違和感”が同時に芽生える構成になっているのです。

物語としては穏やかに進みつつ、心理的な緊張感は着実に高まっていきます。

レゼがデンジに対して本当に心を動かしているのか、それとも完全に任務として割り切っているのか。

その答えが与えられないまま、読者はページを進めるしかないという、絶妙な構造です。

また、デンジ自身もこの章で大きく変化しています。

かつての彼は「三食と屋根とちょっとのエッチな願望」が満たされればそれでいいと思っていました。

しかし、レゼと過ごす中で、“誰かと心を通わせたい”という深い欲求が芽生えていきます。

これは、単なる生存本能を超えた人間的な欲求であり、デンジの内面の成長を強く印象づけるポイントです。

こうして、第42話までの展開は、恋愛と青春、疑念と伏線、そして人間的成長の物語として非常に美しく構成されています。

だが、読者は知っている――。

この幸福が、永遠には続かないことを。

だからこそ、このカフェと学校での4話分は、物語全体にとって非常に重要な“感情の溜め”であり、

後の激動と裏切りに向けた“前奏”として機能しているのです。

3. 一転する緊迫の展開：嵐と襲撃（5巻43～45話）

青春のような時間が描かれた前章から一転し、第43話以降の展開では『チェンソーマン』本来のスリリングで過激な世界観が一気に姿を現します。

デンジとレゼが深夜の学校で語らう最中、突如激しい嵐が発生します。

一見すれば偶発的な自然災害に見えるこの嵐は、実は台風の悪魔の影響によるものであり、ここから非日常の幕が本格的に上がることになります。

校舎の一角に避難した2人の間には、どこか哀しみを含んだ沈黙が生まれます。

レゼは、まるで別人のように冷たく無表情になり、デンジにキスをした直後、彼の舌を噛みちぎるという衝撃的な行動に出ます。

その瞬間、読者はようやく気づくのです。今までの「優しいレゼ」がすべて偽りだったことに。

この豹変は、作品中でも特に衝撃的な場面のひとつとして知られています。

“少女”であったレゼが、“兵器”としての顔をむき出しにし、公安のチェンソーの心臓を奪うべく攻撃者として立ちはだかる瞬間。

レゼはただの暗殺者ではなく、爆弾の悪魔であり、その能力は人間離れした爆発的な破壊力を持っています。

変身シーンにおいて、レゼは自らの首のピンを引き抜くことで全身を“爆弾化”し、

人間の姿とは思えない圧倒的な攻撃力で敵を殲滅していきます。

このビジュアル的にもインパクトのある変身演出は、劇場版アニメにおいても大きな見せ場になると予想されます。

その後、公安の拠点にいたデンジを護衛するべく現れるのが、“サメの魔人”ビームです。

ビームはコミカルな口調とは裏腹に実力派の戦闘員であり、爆弾化したレゼに対抗すべくデンジを背負って逃走を開始します。

だが、レゼの戦闘能力は予想を遥かに上回っており、逃走経路を次々と破壊していく姿はまさに「戦術兵器」と呼ぶにふさわしい存在です。

45話では、デンジが完全に捕縛されるシーンが描かれます。

レゼはデンジに再び接近し、戦闘後にも関わらずどこか人間的な表情を見せるなど、敵対しながらも感情を否定しきれない様子が描かれます。

この“矛盾”が、レゼというキャラクターにさらなる深みを与えているのです。

このパートでは、以下のような要素が物語を加速させています：

• 恋愛→裏切りという急転直下の展開
• 人間ではなく兵器としてのレゼの本性の暴露
• 公安サイドの戦力不足とパニック感
• 逃げ場のない状況でのサスペンス的緊張

それまで蓄積してきた“穏やかな時間”が一瞬で崩壊することで、読者の感情もデンジ同様に混乱し、絶望へと導かれるのです。

また、映像作品としてもこの章は特に演出力が求められるシークエンスです。

爆発エフェクト、スローモーション、雨と夜の演出――。

アニメーション制作の真価が問われるシーンとして、映画版での表現が注目されています。

第43～45話という短い話数でありながら、心理的衝撃とバトルアクションが怒涛のように押し寄せる展開は、まさに“中盤の山場”としての存在感を放っています。

静と動の対比、感情と任務の交錯、人間と悪魔の境界――。

それらすべてが、わずか3話で怒涛のように描かれるこの章は、『レゼ篇』の核心に迫る重要な転換点です。

4. 正体判明と戦闘クライマックス（5巻46～52話）

『チェンソーマン』レゼ篇のクライマックスは、原作第5巻46話から第6巻52話にかけて描かれます。

このパートでは、ついにレゼの正体と彼女の悲しい過去が明かされ、物語は“恋と任務”というテーマを軸に激しい戦闘と心理的葛藤を織り交ぜながら進行していきます。

レゼはソ連（旧ソビエト連邦）により訓練・改造された“爆弾の悪魔の実験体”であり、幼少期から徹底的な兵器教育を受けてきた少女でした。

学校に行きたかったと語った彼女の願いは、実は兵士としての過去と結びついた切実な本心であり、それを聞いたデンジも彼女に対する想いを深めていきます。

この章では、単なる戦闘ではなく「人間としての感情」と「国家に操られる任務」の衝突が物語の主軸になります。

デンジとレゼはお互いに敵対しながらも、どこか惹かれ合い、それでも立場の違いによって戦わざるを得ないという構造が徹底されています。

戦闘シーンにおいて、レゼは爆弾の悪魔として本領を発揮します。

一瞬で建物を破壊し、接触するだけで敵を吹き飛ばすその力は、これまでの悪魔の中でも圧倒的な破壊力を持っています。

ビームとの連携を受けたデンジはチェンソーマンに変身し、港湾エリアでの決戦に挑む展開へ。

戦いの中で、デンジは本能と感情の狭間で揺れ動きます。

“好きになった相手を殺すのか？”という葛藤は、単なるバトル漫画にはない倫理的・感情的リアリティを与えています。

クライマックスでは、互いに致命傷を負いながらも最後まで戦い続けた2人の姿が描かれます。

特に印象的なのは、港でのデンジの問いかけ：「一緒に逃げようか？」というシーンです。

これは敵対関係を超えた、人間としての提案であり、短い時間の中で育まれた絆の証でもありました。

しかし、その提案は叶いません。

マキマの手配により、レゼは公安によって静かに排除されます。

その瞬間、読者は真に「レゼ篇が終わった」ことを実感するのです。

このラスト数話では、あまり多くを語らないまま、映像と表情だけで物語の悲哀と切なさが表現されていきます。

レゼは最期まで、笑顔と涙の中間のような表情で描かれ、「もし別の出会い方をしていたら」という余韻を残して物語は閉じます。

この章で描かれる要素は、以下のとおりです：

• レゼの正体と背景（ソ連の実験体）
• デンジとの感情の衝突と葛藤
• 港での戦闘と逃避行への誘惑
• マキマによる無慈悲な回収命令

バトル漫画としてのスピード感とダイナミズム、そして恋愛ドラマとしての儚さと余韻。

そのすべてが絶妙なバランスで成立しているクライマックスです。

第52話「失恋・花・チェンソー」は、その名の通り、恋の終わりと花の儚さ、そしてデンジが再び“チェンソーマンとして生きる”ことを受け入れる転機となっています。

だからこそレゼ篇は、単なる中間章ではなく、“デンジの人格形成において決定的な影響を与えた物語”として評価されるのです。

(チラッと観て休憩)【劇場版『チェンソーマン レゼ篇』特報映像】

5. 映画化範囲の明確化：5巻39話～6巻52話

劇場版『チェンソーマン レゼ篇』が描くのは、原作における第5巻39話から第6巻52話にかけての物語です。

この範囲は、チェンソーマン本編の中でも特に完成度の高い“中編ストーリー”として高い評価を受けており、ファンの間でも「映画化されるべき章」と呼ばれてきました。

物語は、TVアニメ1期最終話（第38話「日常の終わり」）の直後、喫茶店で働く謎の少女・レゼとの出会いから始まります。

全14話にわたって、デンジとレゼの関係性の進展と、彼女の衝撃的な正体の暴露、公安とソ連の思惑が絡む諜報戦、そして最終的な別れまでを描き切る構成です。

具体的な話数と主な内容は以下の通りです：

• 第39～42話： デンジとレゼの出会い／カフェ・学校・プールでの青春描写
• 第43～45話： レゼの豹変と爆弾の悪魔への変身／襲撃開始
• 第46～49話： ソ連スパイとしての正体／ビームとの戦闘協力
• 第50～52話： 港での最終戦／デンジの葛藤／レゼの最期

これらは、章立てとしての明確な流れがあり、映画という媒体に非常にフィットする構成になっています。

短編アニメやTVエピソードに分割するにはもったいないほど、1本の映画としての完成度が想定されている理由がここにあります。

また、39話「きっと泣く」というタイトルは、レゼ篇の象徴でもあります。

この“泣く”というキーワードは、デンジだけでなく、視聴者にも“感情の揺さぶり”を予告するものとして機能しており、

物語のトーンが最初から「儚さと切なさ」に向かっていることを暗示しています。

最終話である第52話「失恋・花・チェンソー」は、レゼの運命と、デンジの選択が交差する重厚なエピローグです。

この章での展開を最後まで観ることで、観客はただの“悪魔との戦い”ではなく、“人生と愛と犠牲”の物語を体験することになるでしょう。

このように映画版『レゼ篇』が扱うのは、アクションやバトルといった表面的な要素だけではありません。

以下のような感情構造・心理構造の深掘りが全14話にわたって描かれます：

• 「自由に生きたい」と願うレゼの本音
• 「誰かに愛されたい」と願うデンジの成長
• 「任務と感情のどちらを選ぶか」という究極の選択
• そして、「選ばなかった未来」がもたらす喪失感

この章を映画として映像化することには、以下のような意義があります：

• 中編として完結しているため、映画単体でも鑑賞可能
• TVシリーズでは描ききれなかった心理描写が可能
• 新規ファンの入口としても機能する構成

『チェンソーマン』という作品は、“血と暴力とユーモア”という印象が強いですが、このレゼ篇に限っては、それ以上に“恋と痛みと別れ”が強く心に残る章です。

だからこそ、今回の映画化ではその範囲を正確に把握することが非常に重要です。

5巻39話～6巻52話という全14話に込められた意味を知ることで、映画鑑賞の体験価値が何倍にも膨らむはずです。

6. 時系列：サムライソード篇の直後から刺客篇直前まで

『チェンソーマン レゼ篇』は、原作全体の時系列構造において、非常に重要な“中継地点”の役割を果たしています。

物語の時系列上では、サムライソード篇の直後に位置し、刺客篇の直前にあたる構成となっています。

この章はバトルや任務から一時的に距離を置き、デンジの内面や“普通の生活への憧れ”を深く描写する構成が特徴です。

まず、直前に描かれたのがサムライソード篇（第26話〜38話）です。

この章では公安メンバーの大きな損失、マキマの本性の片鱗が描かれ、激しい戦闘と社会的衝突が中心に展開されました。

そのラストを飾るTVアニメ最終話「日常の終わり」では、短くも束の間の平穏が描かれた直後に、レゼ篇への導入が仕込まれます。

レゼ篇のスタートは第39話「きっと泣く」で、これは原作読者にとっては“完全な新章の始まり”であると同時に、感情的な転換点を予感させる扉でもありました。

デンジはこの時点で、サムライソード戦を経て精神的な疲労と空虚さを抱えており、そのタイミングで現れたのがレゼという存在です。

レゼ篇が終了するのは第52話「失恋・花・チェンソー」で、ここでデンジは再び“心を閉ざす選択”をします。

それにより、次章である刺客篇（第53話〜）においては、デンジの存在が世界各国に知れ渡り、国家間の思惑が交差する展開へと進みます。

このように、レゼ篇はまさに戦闘と戦闘の谷間で描かれる“感情の爆発”であり、以下のような点で作品全体の時間軸を調整する役割を果たしています：

• 激戦のダメージから回復する「間」の時間
• デンジの精神的成長の促進
• 次章に向けての人間関係と感情の整理
• 作品トーンの再調整（バトル一辺倒から感情・恋愛への転換）

この構成は、アニメや映画における「構成美」にも非常に適しており、1本の作品として独立しながら、時系列の上でも流れるように物語が繋がる設計となっています。

特にTVアニメ版を追っていたファンにとっては、「この後どうなるのか？」という興味を自然に繋げる橋渡しの章になるのがレゼ篇なのです。

また、この章の時間経過自体は短期間（数日程度）ですが、その間にデンジの人生は大きく揺らぎ、変化していくという“密度の濃さ”が際立っています。

以下に、3章の比較時系列を示します：

章名	原作話数	主な内容
サムライソード篇	26話～38話	公安への襲撃／戦闘訓練／サムライソード戦
レゼ篇	39話～52話	レゼとの出会い／爆弾の悪魔襲撃／恋と別れ
刺客篇	53話～70話	各国からの刺客襲来／パワーとの絆／暴力の悪魔登場

このように、レゼ篇は“サンドイッチ構造”の中核として位置しており、読者・視聴者にとっては最も感情移入しやすく、物語の深層を知る鍵となる章です。

そして何より、刺客篇ではもう二度と「誰かに恋する」デンジを見ることはできません。

このタイミングでしか描かれない“デンジの心の柔らかさ”が、時系列上でも感情的にもレゼ篇を特別なものにしています。

まとめ：『チェンソーマン レゼ篇』原作対応まとめ

劇場版として制作が決定した『チェンソーマン レゼ篇』は、原作コミックス第5巻後半から第6巻末までに収録された、わずか14話で構成される中編ストーリーです。

しかしそのボリュームに反して、極めて高い物語密度と感情の深さを兼ね備えており、全シリーズの中でも際立った完成度を誇るエピソードとして知られています。

この章で中心となるのは、デンジとレゼの出会い、そして別れという極めてシンプルな流れです。

しかし、そこにあるのは甘い青春のような時間だけではありません。

レゼはソ連のスパイであり、爆弾の悪魔と契約した国家の兵器でもあるという、多重構造のキャラクターです。

彼女の登場によって、デンジは「人を信じること」「誰かと逃げるという選択」「命をかけて守りたい感情」と初めて真正面から向き合うことになります。

つまり、レゼ篇はデンジの精神的成長の転換点であり、読者や視聴者にとっては「人間・デンジ」の深層を垣間見る章でもあるのです。

また、時系列的にはサムライソード篇（第38話まで）の直後に当たり、TVアニメ1期で描かれたストーリーのすぐ続きとして自然な流れで鑑賞できます。

そしてレゼ篇終了後に始まるのが、刺客篇（第53話以降）であり、世界中からデンジを狙う勢力が動き出す壮大な物語へと展開していきます。

このつなぎ目にあるのがレゼ篇であり、それゆえに“感情とアクションの橋渡し”として、作品全体のテンションを整える極めて重要な章となっているのです。

さらに特筆すべきは、この章が映画作品として非常に構成しやすい尺・密度・起承転結を備えている点です。

全14話を5つのブロックに分け、次のように構成されます：

• ①邂逅：喫茶店、学校、プールでの交流（第39～42話）
• ②衝突：レゼの正体判明と襲撃（第43～45話）
• ③回想：レゼの過去と兵器としての真実（第46～47話）
• ④決戦：デンジとの最終バトル（第48～51話）
• ⑤別離：港での別れとレゼの最期（第52話）

このように、「出会い→恋→変化→戦い→別れ」という強力な物語フレームを持っており、映画化のシナリオ構成としても理想的です。

また、本章で描かれるキーワードは以下のとおりです：

• 「普通の生活」への憧れ
• 「信じたいけど信じられない」心の揺らぎ
• 「自由を望む存在」が組織に消される構造
• 「選ばれなかった未来」の儚さ

これらは単なるアクション・ホラー要素ではなく、恋愛心理、国家構造、喪失体験など、現実社会に通じる深層テーマを含んでおり、幅広い層の共感と感動を呼ぶ要素に昇華されています。

レゼ篇が「原作ファンから最も映画化を望まれていた章」であるのも、このような複合的な魅力によるものです。

その魅力を最大限に味わうためには、対応巻・話数、時系列、テーマの理解が不可欠です。

最後に、本記事が整理してきたポイントを再確認しておきましょう：

• レゼ篇は第5巻39話～第6巻52話までの全14話構成
• TVアニメ1期直後の時系列で、刺客篇直前に当たる
• 恋愛と戦闘、国家と個人、希望と絶望の対比が織り込まれた高密度の章
• 映画として単独視聴が可能で、かつシリーズ全体の理解が深まる構成

以上をふまえ、これから『劇場版 チェンソーマン レゼ篇』を観ようとしている方は、ぜひ原作の章構造と位置づけを把握したうえで鑑賞することをおすすめします。

たった14話に凝縮された“激しくも美しい物語”が、あなたの心に深く残ることは間違いありません。

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