『鬼滅の刃』無限列車編──その名前を聞くだけで、あの“炎の背中”が目に浮かぶ人も多いはず。2020年に公開され、世界興行収入は500億円超え、日本国内では歴代1位の407億円を記録。アニメ映画の枠を越えて、ひとつの“社会現象”となりました。
そして2025年。『鬼滅の刃』最新作、無限城編が公開され、再び注目が集まっています。果たして無限列車編を超えることはできるのか──興行収入・入場者数の比較、そして“観る側の記憶”に残る温度とは?
この記事では、無限列車編と無限城編の興収・入場者データを徹底比較しながら、それぞれの物語がなぜ観客の心に深く残ったのかを探っていきます。数字だけじゃない、“感情の痕跡”も含めた本質的な解説をお届けします。
- 『鬼滅の刃 無限列車編』が達成した世界興行収入500億円超えの実態
- 『無限城編』の興行収入・動員数がどこまで追い上げているのか
- 無限列車編が爆発的ヒットとなった“奇跡のタイミング”とは何だったのか
- 海外市場における『鬼滅の刃』シリーズの評価と国別の売上傾向
- 最新作が前作を超えるための条件と、ファンが見届ける“記録の物語”
- 1. 世界を席巻した「無限列車編」――世界累計約507億円&日本国内約407億円/入場者約3,000万人を徹底分析
- 2. 無限城編の興行収入と入場者数は今どうなっているか?――公開45日で299.8億円突破、その“勢い”を読み解く
- 3. 無限列車編との比較:全世界・国内興行収入の差を読み解く
- 4. 入場者特典・リピート率から見る“ファンの厚み”
- 5. 海外市場での広がり:アメリカ・アジア圏の反応と数字
- 6. 配信と劇場の境界が曖昧な今、“記録更新”は難しくなっているのか?
- 7. SNSバズ指数で見る話題性の差
- 8. 時代背景と興行の関係性──2020 vs 2025、その空気を語る
- 9. 無限城編は無限列車編を超えるのか──観客の記憶と興行の未来
- まとめ|無限列車編500億超えの衝撃と、無限城編の“共鳴”の物語
1. 世界を席巻した「無限列車編」――世界累計約507億円&日本国内約407億円/入場者約3,000万人を徹底分析
指標 | 数値 | 解説 |
---|---|---|
世界累計興行収入 | 約507 USD(約6,600億円換算) | コロナ禍にも関わらず、非ハリウッド作品として世界歴代最高額級 |
日本国内興行収入 | 約407億円 | 日本映画史上、アニメ映画として最高額 |
世界累計観客動員 | 約4,100万枚 | 世界的な熱狂を反映する規模 |
日本国内観客動員 | 約2,900万人 | 人口比で“絶対に劇場へ行った”熱量 |
公開3日間初動 | 342万人/46億円 | 一気に沸騰した関心とスピード感 |
24日目までの推移 | 1,527万人/204億円突破 | 「ちょっと見に行こう」では済まない波及効果 |
この数字を眺めるたび、胸の奥がそっと震えるのを感じました。たとえば、世界累計興行収入は約5億ドル(約650億円以上)にのぼり、COVID‑19の暗がりにもかかわらず、海外でも“受け止められた証”として輝いています。非英語圏のアニメーションが、こんなにも深く、遠くまで届くなんて、ただただ信じられない気持ちでいっぱいでした。
日本国内での興行収入は407億円超。アニメ映画において、その金字塔は言葉になる前に、目を覆いたくなるほどの重さを持っていました。ちなみに国内外を合わせた観客動員は、世界で約4,100万人、日本国内で約2,900万人に届き、まるで何百万人が同じ気持ちで“今、ここにいる”と叫んでいたような感覚に包まれます。
初動も異次元でした。公開初の3日間で全国から342万人、46億円もの興行を記録したその勢いは、“導火線に火がついた瞬間”を体現していたようです。そして公開から24日後には、すでに1,527万人、204億円という数字にまで膨れ上がっていました。これはただのヒットではなく、「観たかった」衝動が累積した証に他なりません。
数字の端々が伝えるのは、観客の想いの泉です。「誰かに見てほしかった」「この作品を共有したかった」—その気持ちはスクリーンを越えて、映画館という“場”に集まった多くの心を通じて拡張したのだと思います。
――次に知りたいのは、無限城編がこの“巨大な霞”を追いかけているのかどうか。どんな数字が立ち、どれだけの人が続けて火照る胸で映画館へ足を運ぶのか。次のセクションでは、無限城編の興行・入場者数を“今”の数字で追っていきたいと思います。
2. 無限城編の興行収入と入場者数は今どうなっているか?――公開45日で299.8億円突破、その“勢い”を読み解く
日程・記録 | 興行収入・入場者数 | 備考 |
---|---|---|
公開初日(平日) | 1.64億円/115万人 | 日本映画史上最大級の平日スタート |
公開3日間(週末) | 55.2億円/384万人 | 週末歴代最多記録を更新 |
公開8日目 | 100億円突破 | 日本最速記録 |
公開38日目 | 280.9億円/1982万人 | 『タイタニック』超え、歴代3位浮上 |
公開45日目 | 299.8億円/2110万人 | 『無限列車編』の記録に迫る |
『鬼滅の刃 無限城編』は、公開からわずか1か月半で、国内興行収入299.8億円を突破。観客動員数も2,110万人という圧倒的なスピードで増加し続けています。
公開初日は平日でありながら、1.64億円/115万人という驚異的な動員。静かな月曜の朝、チケット売り場に並ぶ人々の列には、“ただのアニメ映画”ではない特別な意味を感じさせました。
週末の3日間では、55.2億円/384万人という記録的な数字に跳ね上がります。これは、週末興行として歴代最多の記録を更新したもので、ファンの熱量が一気に形になった瞬間でした。
そして公開から8日目にして、100億円突破という日本映画史上最速の記録を樹立。『千と千尋の神隠し』『君の名は。』など、名だたるタイトルすら凌ぐ速度に、多くの観客が「今、見るべきだ」と直感したのかもしれません。
38日目には280.9億円/1,982万人という数字を叩き出し、あの『タイタニック』を超えて国内歴代3位の座へ浮上。25年もの間、日本映画界の上位に君臨し続けた伝説的作品を、この“アニメの続編”が超えてしまったという事実に、時代の変化を感じます。
そして45日目。299.8億円/2,110万人という記録を更新。もはや『無限列車編』の背中が、すぐそこに見える距離にまで迫っています。
この数字の凄さは、単なるマーケティングの勝利では語れません。無限城編が描くのは、柱たちの死闘、炭治郎たちの覚悟、そして“終わりの始まり”ともいえる絶望と希望の交錯。その物語が、スクリーンの外にいる私たちの感情をも揺らし、共鳴を生んだ結果なのだと思います。
もちろん、初動型の盛り上がりではないか、という声もあるかもしれません。しかし2か月を目前にしてこの数字を維持していることからも、“リピーター層”の厚みと口コミの強さが際立っているといえるでしょう。
上映館数の増加や、IMAX・Dolby Cinemaなど高単価スクリーンでの展開も追い風になっており、「一度観たからこそ、もう一度観たい」という、作品への信頼が積み重ねられている感覚があります。
今後は、上映国の拡大により、世界興行収入ベースでも『無限列車編』に迫る可能性が出てきています。その話は、次の見出し「全世界興収との比較」でじっくり深掘りしていきましょう。
3. 無限列車編との比較:全世界・国内興行収入の差を読み解く
作品 | 国内興行収入 | 世界興行収入 | 備考 |
---|---|---|---|
鬼滅の刃 無限列車編 | 約407億円 | 約815億円(約5.07億ドル) | 日本映画史上No.1の興収記録、世界的社会現象に |
鬼滅の刃 無限城編 | 約299.8億円 | 約421億円(約2.62億ドル) | 国内歴代3位の快進撃、38日間での世界成績 |
映画『鬼滅の刃』シリーズの興行収入は、アニメ映画の常識を塗り替えてきました。その象徴ともいえるのが「無限列車編」であり、公開当時の日本のみならず、世界中の映画館が“鬼滅現象”に染まったのは記憶に新しいはずです。
無限列車編は、国内で約407億円、全世界では約815億円(約5.07億ドル)という前代未聞の興行成績を記録しました。この数字は日本映画史上最高であり、アニメ映画としても世界トップクラスです。しかも、コロナ禍という厳しい環境下での達成という点が、さらに異例でした。
一方で、最新作となる無限城編は、2025年の公開からわずか1か月強で国内約299.8億円を達成。これはすでに日本歴代興収ランキングで第3位に浮上しています。全世界興行収入も約421億円(約2.62億ドル)に到達し、無限列車編には届かないものの、十分に記録的なヒットといえる水準です。
数字だけを見ると、「無限城編は無限列車編に及ばなかった」と感じるかもしれません。ただし、当時の社会背景や話題性、初動の勢いの違いを踏まえると、単純比較はできないとも言えます。
- 無限列車編:原作の盛り上がりが最高潮だった時期に公開
- 無限城編:ストーリーが佳境に向かう段階、感情の蓄積とともに公開
- 公開国の数・時期・プロモーションの仕方にも差がある
また、無限列車編は「炭治郎と煉獄の邂逅」というシンプルでエモーショナルな構図が明快だったのに対し、無限城編は群像劇的で情報量も多く、リピーター層の深みはあるものの、初見層のハードルはやや高めだったかもしれません。
それでも、短期間でこれほどの記録を残した無限城編は、むしろ“地に足のついた熱狂”とでも呼ぶべき存在感を放っています。
数字の上では超えられなくても、観客との“感情の距離”や“共鳴の質”は確実に育っている。そう思わせてくれる違いが、無限列車編との比較の中に見えてきます。
興行収入はひとつの指標でしかないけれど、それでも「どれだけの人が足を運び、どれだけの時間を共有したか」を映し出す鏡でもあります。そして、その鏡に映るものは、時代と観客の心の温度を静かに語ってくれるのです。
4. 入場者特典・リピート率から見る“ファンの厚み”
要素 | 無限列車編 | 無限城編 |
---|---|---|
入場者特典の内容 | 煉獄零巻(原作外伝)+イラストカード | 上弦集結本(設定資料)+週替わり映像カード |
配布タイミングと回数 | 初週〜第5週まで週替わり | 初週から第8週以降まで変化あり |
リピート観賞者の割合 | 約40%(SNS分析調査) | 約55%(公開30日以内の集計) |
チケット販売戦略 | IMAX先行+通常劇場 | 4D/MX4Dの同時展開 |
興行収入や観客動員数の裏側には、観客ひとりひとりの「熱量」があります。 特にアニメ映画においては、“リピート観賞率”が作品の寿命を左右するといっても過言ではありません。 その熱量の証明として欠かせないのが、「入場者特典」の存在です。
無限列車編では、初週に配布された『煉獄零巻』が話題となり、ファンが“あの一冊のために劇場へ足を運ぶ”という現象が起きました。 他にも週替わりで配られたイラストカードなどがコレクター心理をくすぐり、リピート率は約40%に達しました。
一方、無限城編ではさらに戦略が進化します。 特典として配布された『上弦集結本』は、ファン目線の設定資料や制作コメントが中心。 しかも、映像カードは週替わり+内容変化ありの豪華仕様で、映画を複数回観ないと“揃わない”仕組み。 この仕様が功を奏し、SNSでも「6回目の鑑賞!」といった投稿が相次ぎ、リピート観賞率は約55%と急増しました。
また、上映形態でも4DやMX4Dといった“体感型”の強化がなされ、特に戦闘シーンが多い無限城編では「振動」「風圧」「閃光」などが体験を強化。 映画館という空間が、単なる物語の“入れ物”ではなく、“感情を動かす場”として機能していたのです。
数字では見えないこの“ファンの厚み”こそが、鬼滅の刃という作品が一過性のヒットで終わらず、文化になった理由のひとつかもしれません。
チケット枚数以上に、「もう一度観たい」と思わせる何か。 それを仕掛けた制作陣と、それに応えた観客たちの、静かで確かなやりとりが、ここにはあるのです。
5. 海外市場での広がり:アメリカ・アジア圏の反応と数字
地域 | 実績・動向 | 補足情報 |
---|---|---|
世界累計(38日間) | 約2.62億ドル(約421億円) | 38日で記録的な世界興収を達成 |
アジア(特定市場) | タイ:初日7000万バーツ(約3.2億円)、台湾など好調 | ASEAN地域でも強い支持 |
北米 プレセールス | 約1,000万ドル | アニメ作品として過去最高の前販売数 |
公開戦略 | 9月米国公開、10月以降欧州・中東・南米展開 | 全世界での記録更新に期待 |
『鬼滅の刃 無限城編』は、日本での圧倒的成功を背に、世界市場でも着実に勢いを伸ばしています。
まず、公開から38日間で記録された世界累計興行収入は、すでに約2.62億ドル(約421億円)。これは世界的にも驚くべきスピードで、アニメ映画のグローバル戦線でしっかりその足跡を刻んでいます。
アジア各地での反応も熱く、たとえばタイでは初日だけで7,000万バーツ(約3.2億円)の興行を記録。それに続いて台湾や香港などでも健闘し、地域的に強い需要を証明しています。
北米では公開前から波があり、AM CやRegal、Cinemarkの大手劇場チェーンでの前売りだけで約1,000万ドルを売り上げたのは、アニメ映画としての新記録。ファンダンゴでも初日券の販売数が歴代最多を記録しました。
これらの動きを含め、世界でのリリース戦略は9月の北米公開を皮切りに、欧州・中南米・中東と続きます。その先にあるのは、もしかすると『無限列車編』が残した世界累計5億ドルの記録を超えていくシナリオかもしれません。
数字だけを追えば、「無限城編はまだ無限列車編に届いていない」とも言える。ですが、そこにあるのは“同じ世界を同じように揺らす感情の目撃者”としての響き。現地のスクリーンで、同じ言葉を超えた共鳴が生まれている音が、私は聞こえてくるような気がします。
次は、この“数字の先”にあるもの――SNSの反応や現地のレビュー、リピート層の形成などを追って、興行の未来をもう少しだけ覗いてみたいと思います。
第2弾特報では、新規カットや映像演出がさらに追加されています。
6. 配信と劇場の境界が曖昧な今、“記録更新”は難しくなっているのか?
時期 | 配信状況 | 劇場興行の影響 |
---|---|---|
2020(無限列車編公開) | 配信未開始・劇場が唯一の鑑賞手段 | “劇場で見るしかない”という強烈な動機づけがあった |
2025(無限城編公開時) | 配信プラットフォームではプレ公開あり、一部話題先行 | “劇場に行く必然”が若干薄れた可能性もある |
配信初週の影響 | SNSや口コミで感情がすでに広がっている | 劇場で初見したい動機に変化が生まれる |
2020年、「無限列車編」が公開されたころ、私たちにとって劇場は<いま見るべき理由>そのものでした。配信ではなく、スクリーンで“火を燃やす感覚”を持ち帰る唯一の場所。それが映画館という空間の、純粋な熱だったと思うのです。だからこそ、初動で342万人、46億円という前代未聞の数字が生まれた。観客は“見なければ始まらない”という衝動を共有したようでした。
いっぽう現在、2025年に公開された「無限城編」は少し、風景が違います。配信プラットフォームでの情報拡散が早く、“ネタバレ”どころか“観る前の期待”の方が先に届いてしまう様子があります。配信予告の一場面を知ってしまった…そんな気持ちが、劇場に足を運ぶ心の“緊張”をやや弱めている感覚があります。
具体的には、公開前のSNSやYouTubeでのショート映像やファンの感想投稿が、すでに物語の熱量を作ってしまっている。だからこそ、「今、見ないと」という喚起は弱まりつつあるように思うのです。劇場での“初見”の儚さは、近年ではすでに希少になっているのかもしれません。
それでも、劇場には別の価値が残っています。4D体験、IMAXの鮮烈さ、入場特典、あるいは同じ空間にいる観客同士の熱。これらは配信には決して置き換えられない“興奮の補完”です。そして、無限城編のリピーター率が高かったのは、その場の感情が観客の記憶に焼き付いた証に思えます。
このような配信と劇場の融合期にある今、数字の品格は変わりました。かつての「記録更新」には、“劇場行動の純粋性”があった。しかし、今はそれを補う「体験の価値」や「感情の深堀」が必要になってきたのだと思います。
結局、劇場の意味を問われたこの時代に、無限城編は“スクリーンで観る価値がある映画”になれたのか。それは記録だけでは測れない世界で、確かに届いたのだと私は思います。数字には表れない鼓動こそが、これからの“記録更新”を語る鍵かもしれません。
7. SNSバズ指数で見る話題性の差
指標 | 無限列車編 | 無限城編 |
---|---|---|
Twitter投稿数(公開初週) | 約120万件以上 | 約95万件 |
トレンド入り回数 | 連日トップを独占 | 各公開日ごとに何度も上昇 |
TikTok再生回数(公式ショート範囲) | 数千万再生超 | 1,000万~2,000万再生 |
ファン制作コンテンツ数 | 膨大(同人・MV・コラ) | 急増中(アート・分析動画中心) |
どちらの章もSNS上では熱のあるバズを起こしましたが、量と質には少し差が見えます。
まず、無限列車編は公開初週だけでTwitter上での投稿数が約120万件以上に上り、トレンド入りも連日トップ。「話すのをやめられない」ような空気が、まるで全体を包んでいたように思います。一方、無限城編は約95万件投稿と熱量は高いものの、少し落ち着いた輪郭であるとも感じました。
TikTokでの盛り上がりもそう。「映画館で炭治郎のあのシーン見たとき」や、煉獄のセリフを引用した短い動画が数千万回再生されていた無限列車編。無限城編も1,000万~2,000万再生の動画が多数あり、「あの戦い、鳥肌が止まらなかった」を声にするコンテンツがたくさん生まれていました。
さらに、ファン制作のコンテンツ数でも違いを感じます。無限列車編は同人・MV・コラージュといった創作が爆発的に展開されましたが、無限城編では「心理分析」「キャラ深掘り」「イラスト描いてみた」といった、“もう一歩踏み込む観る側”の要素が強くなっているように思います。質の厚みというのか、対話型の創作が目立つような印象でした。
SNSでの数字は、単なる「話題になった」証ではなく、“同じ場所で息をついていた人がいたリアル”の記録のように感じます。無限列車編が「はじめまして」を大音量で告げた瞬間なら、無限城編は「いた場所を見つけた」ような静かな共鳴があった気がしました。
次の見出しでは、8番目として「時代背景の違い」に寄り添いながら、興行収入と話題形成の背景にある“社会の空気”までそっと探ってみましょう。
8. 時代背景と興行の関係性──2020 vs 2025、その空気を語る
時期 | 社会の状況 | 劇場興行への影響と観客心理 |
---|---|---|
2020(無限列車編公開時) | パンデミック直後、外出自粛と「ただ会いたい」が交錯 | 〝劇場へ行くこと〟が強い思いと希望に直結 |
2025(無限城編公開時) | リモート習慣が定着、ネット時代の空気が染みついた年 | 劇場は非日常の場としてのリセットを提供する場所に変化 |
デジタル環境の変化 | 配信限定の未体験への渇望が強かった | 今は予告やSNSで既に感覚が共有、〝劇場初体験〟の価値が薄まり気味 |
2020年の「無限列車編」は、社会的にはパンデミックの影響が深く、人の動きが制限されていた時期でした。その中で“劇場で見たい”という渇望は、外出の制約以上の叫びのように機能していたのだと私は覚えています。映画館という場が、命綱のように“人と繋がる場所”になった瞬間だったのかもしれません。
一方、2025年の「無限城編」が公開された社会は、リモートワークやSNS共有が日常化し、情報が先に存在する時代です。劇場は“感情を蓄える非日常空間”として再定義されつつあり、ストーリーの最初をその空間で広げたいという欲求とは、少し違う種類の衝動がそこにあると感じています。
とはいえ、それはネガティブな変化ではない。劇場の意義が「初見体験」から「感情を劇場という深みで反芻する場」へとシフトしているのかもしれないのです。観客の映画への向き合い方が成熟し、むしろ深くなっているとも言えるかもしれません。
だからこそ、無限城編は「初動よりも後半の粘り」を見せたのだと思います。人は前情報に晒されすぎることでリサーチ疲れし、最初の興奮を“体で取り戻すために”劇場へ足を運んでいる節すらある。
──ときには「出かけたい日」が、その作品を選ぶ理由になったり、映画をただの娯楽ではなく、生きる時間の深みに差し込む静かな灯りのように感じることもある。
時代は変わっても、「その時、その瞬間に映画館で感じた揺らぎ」が記憶を形づくり、映画はその揺らぎに胸を借りて、生き続けていくのだと思います。
9. 無限城編は無限列車編を超えるのか──観客の記憶と興行の未来
観点 | 無限列車編 | 無限城編 |
---|---|---|
興行収入 | 国内407億円、世界815億円 | 国内299.8億円、世界421億円(累計) |
リピート率 | 約40% | 約55% |
SNSバズ量 | 投稿数120万件超 | 投稿数95万件前後 |
観る体験の構造 | “映画館で初めて見る衝動”の集積 | “覚悟をもって繰り返し観る緩やかな共鳴” |
数字の上では、無限城編が無限列車編に達しているとは言えません。国内興収・世界累計ともに後れを取っているのは事実です。しかし私は、そこに二つの作品の質的な違いを感じます。
無限列車編は「初めてスクリーンで見ること」の衝動が全世界の観客を動かしました。映画館へ行く意志そのものが、熱狂をつくったのだと思います。
一方、無限城編は“リピーターによる連鎖”が強い。入場者特典や4D体験、週替わりの仕掛けに応えて観客が戻ってくる、そこにあるのは“もう一度この揺れを味わいたい”という静かな共鳴です。
SNS上の話題性はやや弱いかもしれませんが、逆に“熱狂に頼らず支える静かな声”が静かに積み上がっている。そこには、見た者自身の記憶の厚みがあるように思います。
映画は“数の競争”だけではない。心にどれだけの感情を灯したか、揺らぎを刻んだか、その記憶は観る側の体温に委ねられています。
無限城編は、数字の意味では列車編に“越えられなかった”かもしれない。ただ、観客の心の中にしっかり、確実に〈感情の余白〉を残している。それは、未来の“私たちの見たい景色”をつくる一歩なのではないでしょうか。
項目 | 興収比較の視点と要点 |
---|---|
1. 無限列車編の世界興行収入は500億円超え | 国内外で歴代記録を塗り替えた“社会現象級”の成功 |
2. 無限列車編の国内オープニング3日間 | 日本だけで3日間に約46億円、観客数340万人超の異次元スタート |
3. 無限列車編の世界累計興行収入 | 全世界で約515億円、日本アニメ映画として最大の数字 |
4. 無限城編の初週・初動比較 | 無限列車編を下回るも、シリーズファンに支えられ堅調な滑り出し |
5. 無限城編の累計興行収入と動員数 | 世界で421億円、国内299.8億円で更新中。観客数は1900万人突破 |
6. 海外での反響と国別興行 | アメリカ、韓国、フランスなどで着実に支持を広げている |
7. 両編の収益構造とシネコン依存の違い | 列車編は初動集中型、城編はリピーター型で長期興収を形成 |
8. なぜ無限列車編は爆発的だったのか | コロナ禍+煉獄の人気+感情のタイミングが重なった“奇跡” |
9. 無限城編が記録更新を目指す意味 | 数字を超える“感情の余韻”が、後世に残る名作としての力を持つ |
まとめ|無限列車編500億超えの衝撃と、無限城編の“共鳴”の物語
要点 | 概要 |
---|---|
無限列車編の世界興収 | 全世界815億円を超え、国内でも歴代1位の407億円を記録した |
無限城編の現在地 | 国内299.8億円、世界421億円を突破し、なお興収・入場者数共に更新中 |
両者の観客動向 | 無限列車編は“初動の衝動”、無限城編は“リピーターによる静かな支え”が特徴 |
映画体験の質的差異 | 前者は“爆発的な熱”、後者は“余韻の記憶”として残るタイプ |
今後の展望 | 最終章に向けて、無限城編が“数字”と“感情”の両面で新たな記録を狙う |
『鬼滅の刃 無限列車編』は、コロナ禍という特殊な時代に「映画館で体験する価値」を取り戻した歴史的作品でした。大人も子供も、誰もが煉獄杏寿郎の背中に何かを託し、あの列車に乗った。
一方、無限城編は、熱狂の先で“観ること”そのものに自分の意思が宿る物語。初動の爆発ではなく、静かな共感とリピートの蓄積が、観客数をじわじわと押し上げている。
作品としてどちらが上か、という問いには意味がないのかもしれません。大切なのは、どちらも「その時代の観客の心とリンクしていた」ということ。
無限列車編が500億円で刻んだのは、失った日常と希望の火。無限城編が今歩んでいるのは、強くて優しい“余韻の物語”。その静かな記録が、これからのアニメ映画の可能性を広げていくと、私は信じています。
『鬼滅の刃』のキャラ、物語、そして“感情の余韻”に
もう少し触れていたくなる夜がある。
そんなときは、こちらの特集から静かに覗いてみてください。
上弦の鬼ひとりひとりの背景や戦い、感情に迫る特集を、こちらのカテゴリーでじっくりまとめています。
彼らの“しくじり”と“哀しみ”をもっと深く読み解きたい人は、ぜひこちらも覗いてみてください。
- 『鬼滅の刃 無限列車編』は世界で500億円を超える歴史的ヒットを記録
- 公開初週で約46億円を突破するなど、驚異のスピードで動員数を拡大
- コロナ禍という特殊な状況が追い風となり、“社会現象”に発展
- 『無限城編』はすでに200億円超えを達成し、過去最高記録に挑戦中
- 国内外での興収推移をもとに、両作の違いとヒット要因を徹底分析
- 無限列車編を超えるには、作品の“文脈”と“時代性”が鍵となる
- 興行収入の記録の先にある、“物語としての継承”を見届けたい
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