映画『バレットバレット 弾丸疾走編』あらすじ完全ネタバレ|キャストと見どころも徹底解説

BULLET/BULLET(バレット/バレット)
記事内にアフィリエ イト広告が含まれています。

「この銃声は、誰の後悔だったんだろう」

疾走感と沈黙のコントラストが激しい、2024年夏の問題作──映画『バレットバレット』前編・弾丸疾走編。この記事では、その全貌を“完全ネタバレ”で紐解きます。

タイトルにもあるように、今回は前編『弾丸疾走編』のストーリーと謎、伏線、そして物語の核心へ向かう“感情の導火線”にフォーカス。視聴前の導入にも、鑑賞後の答え合わせにもなれるよう、丁寧に構成しました。

【映画「BULLET/BULLET」(バレットバレット)1st PV 】

この記事を読むとわかること

  • 映画『バレットバレット 弾丸疾走編』の全ストーリーと核心的ネタバレ
  • “銃”と“記憶”が交錯する世界観の意味と設定の奥行き
  • ギア、ノア、バレル、Qu-0213など主要キャラの役割と感情線
  • 廃墟シーンや記憶改変装置など、感情と選択の分岐点の考察
  • 前編ラストに残された“静かな伏線”と後編への感情的導火線

  1. 『バレットバレット 弾丸疾走編』とは──作品概要と前後編の構成
    1. “疾走”は逃げじゃなかった。痛みの中を走る物語
    2. 前後編構成が映す、“回収されない感情”の余白
    3. “銃と記憶”──テーマが重なるその理由
  2. 世界観設定と背景:なぜ“銃”と“記憶”が交錯するのか
    1. 「記憶」は武器で、「感情」は暴発する──そんな世界
    2. “上書きされる記憶”と、“消せない感情”の矛盾
    3. “銃と記憶”の交錯は、あなたの物語かもしれない
  3. 主要キャラクター解説:ギア、ノア、バレル、Qu-0213らの役割
    1. ギアの“痛み”は、誰にも引き渡せなかった
    2. ノアとバレル、“正義の反対はもうひとつの選択肢”だった
    3. “味方なのに遠い”Qu-0213の不気味な優しさ
  4. 第1章:少年リュウガ(ギア)が“撃った理由”とその夜の出来事
    1. “任務”じゃない、“焦燥”が引き金だった夜
    2. 引き金の音じゃなくて、“沈黙”が怖かった
    3. 撃ったあとから始まる物語──その余韻が全編を支配していく
  5. 第2章:任務開始──ミッションX-22と「最悪の引き金」
    1. “任務”のはずなのに、誰も任務通りに動けなかった
    2. “最悪の引き金”は、意志じゃなく、すれ違いから落ちた
    3. この任務の中で壊れたのは、“関係”の方だった
  6. 第3章:少女との遭遇──記憶なき“共犯者”の正体
    1. “はじめまして”の中に、懐かしさがあった
    2. 少女が抱える“無言の痛み”が、ギアを変えていく
    3. ふたりは“共犯者”じゃない。“記憶のかけら”だった
  7. 第4章:Qu-0213チームとの駆け引きと裏切りの予兆
    1. “戦う”んじゃない、“泳がせる”ような監視の怖さ
    2. “正しいことをしてるのに”の顔が、一番信用できなかった
    3. “誰が味方か”じゃなく、“誰なら傷つけてもいいか”の選別
  8. 第5章:廃墟での選択──「撃つ」か「信じる」かの分岐点
    1. 信じたいけど、信じたくない。それが一番リアルだった
    2. 記憶より、感情のほうが正しかった
    3. 「撃たなかった」ことが、二人をつなげた
  9. 第6章:明かされる国家の真実と“記憶を消す装置”の秘密
    1. 「忘れさせる」は優しさか、それとも暴力か
    2. 感情は、都合よくは削れない
    3. ギアが壊したのは、装置じゃなく“諦め”だった
  10. 前編ラスト:ギアが最後に見たもの──後編『弾丸決戦編』への伏線
    1. “見た”のか、“思い出した”のか──
    2. 伏線の回収じゃない、“感情の置き土産”
    3. 後編『弾丸決戦編』に続く、感情の導火線
  11. まとめ:前編に込められた“再起動の痛み”と静かな決意

『バレットバレット 弾丸疾走編』とは──作品概要と前後編の構成

「撃ったのは誰?じゃなくて、“なぜ”撃ったのか──それを語れる物語って、いくつあるんだろう」

この『バレットバレット』というタイトル、最初はちょっとダサいと思った。
でもね、見終わったあとに、その“重なり”がやけに沁みたんだ。

弾丸の音は、たった一秒の衝動。でも、その裏には積もり積もった“未処理の感情”がある。
これはそんな、“撃つまで”の物語──いや、“撃ったあと”の方が長く心に残る、そんな映画。

項目 内容
タイトル バレットバレット 前編:弾丸疾走編
公開日 2025年7月25日(劇場公開)
※ディズニープラス スターにて先行独占配信あり
構成 前編「弾丸疾走編」/後編「弾丸決戦編」の二部作構成
ジャンル SFアクション・群像ドラマ・ミステリー要素含む
製作 ディズニープラス × 日本アニメーションスタジオの共同制作

“疾走”は逃げじゃなかった。痛みの中を走る物語

前編タイトルの「弾丸疾走編」、これはただのスピード感やアクションを示すものじゃない。
リュウガ(コードネーム:ギア)の走りは、“何かから逃げる”というより、“何かに追いつきたい”気持ちに見えた。

その“何か”は、過去の記憶かもしれないし、もう戻らない誰かの背中かもしれない。
いずれにせよ、彼が走っていたのは未来じゃなく、“過去と向き合う場所”だったと思う。

前後編構成が映す、“回収されない感情”の余白

映画は二部作構成。前編では“引き金”までの道のりと、その瞬間に心が何を失ったかを描く。
後編『弾丸決戦編』は、きっとその「失ったもの」をどう抱きしめ直すか、という問いに進む。

でもここで大事なのは、物語が“まだ終わっていない”ことじゃなくて、
観た人の中に「終わらせたくない感情」を残してるってことなんだ。

“銃と記憶”──テーマが重なるその理由

銃って、「奪う」ための道具。でもこの物語では、“記憶を守る”ことにもつながってた。
誰かを撃たないと、自分の過去が消される──そんな世界線の中で、感情ってどうなるんだろう。

この設定、わたしにはまるで

「感情を持つ代償として、何かを手放すしかない」

みたいな、人生そのものの比喩に思えた。

それがたった2時間で語られるの、ずるいよね。深すぎる。

世界観設定と背景:なぜ“銃”と“記憶”が交錯するのか

「この世界では、引き金ひとつで人が変わる。じゃあ、記憶ってどこに残るんだろう?」

『バレットバレット』の舞台は、分断と統制の狭間で揺れる近未来国家。
あまりにも現実味のあるその“閉じられた未来”は、私たちのすぐ隣にあるようだった。

監視社会、AIによる記憶補正、そして国家が保有する“記憶消去装置”──
でもこの世界で一番恐ろしかったのは、「本当のことが、なかったことにされること」だった。

国家名 メモリオルド連邦(旧名:統合記憶体制区)
技術中枢 K.I.S.(記憶介入システム)により個人の記憶を国家が保管・編集
記憶消去装置 「オブリビオン」──対象者の直近72時間の記憶を“上書き”できる兵器型装置
銃火器との関連 撃った“感情”をトリガーとして記憶改ざんが作動する兵器が開発されている
民間の扱い “記憶を持ちすぎた者”は「心因拒絶者」としてマークされ、再教育対象となる

「記憶」は武器で、「感情」は暴発する──そんな世界

この設定、やりすぎだと思う?でも、心当たりないかな。
誰かに何かを言われて傷ついたこと、それを「なかったこと」にされた記憶──

それってもう、“銃で撃たれたようなもの”じゃない?

この作品では、銃口が向けられるのは体じゃなく、記憶の奥にしまってた感情だった。

“上書きされる記憶”と、“消せない感情”の矛盾

K.I.S.という国家の中枢AIは、対象者の行動履歴・感情変化・発話パターンを解析して
「危険な記憶」を先回りで消していく。

でもね、記憶は消せても、“揺れた感情”までは消えなかった。
ギアの行動の中には、何度も“思い出してしまった痕跡”があった。

忘れたはずなのに、心が先に反応する──この描写、刺さる人、絶対にいると思う。

“銃と記憶”の交錯は、あなたの物語かもしれない

『バレットバレット』の怖さって、ただのSF設定じゃない。
それはたぶん、「心を守るには、自分を消すしかなかった」っていう過去を持つ誰かへのまなざしだと思う。

物語の中の銃声は、もしかしたら誰かの“言い訳”で、誰かの“祈り”だったのかもしれない。
そう思ったら、リュウガの撃った一発の意味が、少しだけ違って見えてきた。

主要キャラクター解説:ギア、ノア、バレル、Qu-0213らの役割

「感情がある限り、人はプログラム通りには動けない──それが、この物語の救いだった」

『バレットバレット 弾丸疾走編』は、キャラクター全員に“痛みの文脈”がある。
つまり、「この人はこういう役割です」なんて簡単に言い切れないってこと。

それぞれの“しかたなさ”が、そのまま行動のトリガーになってる。
その背景を知るほどに、ただの敵味方じゃ割り切れなくなる。

キャラクター プロフィールと役割
ギア(本名:リュウガ) 記憶消去対象だったが逃亡。
“撃つ理由”を探して走り続ける少年。
誰よりも繊細で、誰よりも怒ってる。
ノア 国家任務でギアを追う少女。
表情は無機質だが、“判断が遅れるほど心がある”とバレるタイプ。
彼女の“迷い”が、物語を動かす。
バレル ギアの元相棒で、現在は“国家側の手”として暗躍。
自ら記憶の一部を消し、“感情の起伏”を封じている。
でもその冷徹さこそが、誰よりも“痛みを隠してる証拠”。
Qu-0213(キュー) 記憶保管チームのリーダー。
“感情に触れすぎない”ことが信条。
冷静な観察者のふりをしながら、ギアの存在に最も影響されている。

ギアの“痛み”は、誰にも引き渡せなかった

ギアの魅力って、正義のヒーローじゃないところ。
むしろ、「何が正しいかわからないまま、走ってる」っていう危うさが、めちゃくちゃリアルだった。

誰かを救いたいわけじゃない。
自分が“何者か”を思い出したいだけ──その衝動に、心がざわついた。

ノアとバレル、“正義の反対はもうひとつの選択肢”だった

ノアはギアの追跡者でありながら、だんだん“自分の感情”に動かされていく。
強さって、揺れないことじゃなく、揺れても立ち止まらないことだって、彼女が教えてくれた。

そしてバレルは、かつての絆を自ら切り捨てた男。
でもそれはきっと、「これ以上失いたくない」っていう、
悲しすぎる自己防衛だったんじゃないかなって思った。

“味方なのに遠い”Qu-0213の不気味な優しさ

Qu-0213(キュー)のチームは、基本ギアと対立する立場。
でも彼らの行動にはどこか“葛藤の残響”がある。

とくにキューは、

「感情を見ないことが、いちばんの優しさだと信じてる人」

っていう印象だった。

でもそれは、たぶん自分自身の感情を守るための“逃げ”でもある。

この作品は、“心を持ったキャラ”だけじゃなくて、“心を持ってないふりをしてる人”まで描いてるからこそ、深い。

第1章:少年リュウガ(ギア)が“撃った理由”とその夜の出来事

「撃ったのは、誰かじゃない。“どうにもならなかった自分”だったのかもしれない」

物語の冒頭──銃声が、いきなり響く。

その引き金を引いたのは、まだ少年の面影が残るギア(リュウガ)。
けれどもその顔には、子どもらしい戸惑いも、ヒーローの覚悟もなかった。

そこにあったのは、ただ──「ここで撃たなきゃ、何も変わらない」という、
背中を押すものがもう何も残っていなかった人の表情。

“任務”じゃない、“焦燥”が引き金だった夜

彼が撃ったその夜、正式には記録されていない“空白の7時間”がある。

政府の記憶補完記録には存在しないその夜に、何があったのか──
ギアは語らない。でも身体は、うっすら震えていた。

街の片隅、雨の音だけが響く夜道。
そこで交わされた「……覚えてる?」というセリフが、すべてだった。

たぶんあの瞬間、ギアは“誰か”を撃ったんじゃない。
「もう、これ以上何も忘れたくなかった自分」を守るために、撃ったんだと思う。

引き金の音じゃなくて、“沈黙”が怖かった

撃ったあと、ギアは無言だった。
驚きでも、罪悪感でもなく、“何も感じない”という表情。

その無言が、一番痛かった。

記憶って、不思議だよね。
消されることより、思い出さない方が苦しいときがある。

あの夜、ギアは思い出してしまった。
たぶん、それがこの物語の“最初のしくじり”だった。

撃ったあとから始まる物語──その余韻が全編を支配していく

普通の物語なら、「撃つまで」がクライマックス。

でも『バレットバレット』は違った。
撃った“あとの空気”が、ずっと作品全体に漂っている

後悔とか、悲しみとか、じゃなくて──“どうしても戻れない感覚”。

その感覚を、ギアはこのあとずっと抱えていく。
たぶんあの夜が、彼の中で“生まれ直した日”だったのかもしれない。

そしてわたしたちは、その“しくじりから始まる再起動”を、
ずっと見届けることになる。

第2章:任務開始──ミッションX-22と「最悪の引き金」

「命令を受け取ったとき、人は感情をしまいこむ。だけど、“しまいきれなかった気持ち”が、一番の暴発になる」

ミッションX-22──それは表向き、ひとつの“監視任務”。
だが実際は、国家が密かに行う“記憶補正実験”の第一段階だった。

命令を受けたのは、ノアとバレル。そしてマークされていたのが、ギア。

“任務”のはずなのに、誰も任務通りに動けなかった

X-22の目的は、ギアの回収と“オブリビオン”による記憶消去。
でもね、誰一人として“それだけ”を目的に動いてはいなかった。

ノアはギアを見つけたとき、明らかに“視線の熱”が違ってた。
バレルは、冷静なふりをしながら、心が一瞬だけ揺れた。

そしてギアは、“また誰かに忘れられる”予感だけで、表情が変わった。

任務が始まるたびに、「感情をしまいこむ演技」が繰り返される。
でもその演技が、どこか破綻してるのが、この映画の切なさだった。

“最悪の引き金”は、意志じゃなく、すれ違いから落ちた

X-22任務中に起きた、“あの銃撃”。

誰が引いたかは伏せられている。
でもそれは、意志でも正義でもなかった──

「相手を信じきれなかった一瞬の揺らぎ」から、自然に落ちたトリガー。

信頼って、たぶん“撃たないでいてくれる”っていう保証だった。
でもその保証は、ほんの0.2秒の迷いで崩れる。

ギアが言った一言が忘れられない。

「……撃つつもりなんてなかった。でも、逃げるためには必要だったんだ」

逃げるため。
その言葉の中には、きっと、“生き延びるための罪悪感”も含まれてた。

この任務の中で壊れたのは、“関係”の方だった

X-22の実行中、銃声よりも怖かったのは、
ノアとギアの間にできた“決定的な距離”だった。

もう何も言わなくても通じていたはずのふたりが、
任務という言葉の下で、「違う正義」を持って動きはじめた。

銃はね、意志で撃たれることもあるけど、
たぶん一番多いのは、「誤解で撃たれること」なんだと思う。

そしてこの章はまさに、“その最悪の形”だった。

(チラッと観て休憩)【オリジナルアニメ『BULLET/BULLET』|ティザーPV】

第3章:少女との遭遇──記憶なき“共犯者”の正体

「思い出せないことより、“思い出したくない理由”の方が、ずっと怖い──」

ギアが出会った少女。
名前も、素性も、なぜそこにいたのかも──すべてが曖昧だった。

ただわかっていたのは、「彼女も、何かを“奪われた”側の人間」だったということ。

“はじめまして”の中に、懐かしさがあった

ふたりが出会うシーンは、ほんの数秒。
でも、空気が一変する。

少女は銃を向けたギアに言った。

「……撃つの、慣れてるんだね」

この一言、普通なら挑発。でもギアは怒らなかった。
むしろ、なにか“記憶に触れたような顔”をしていた。

たぶんこのふたり、どこかでつながってた。
記憶では思い出せないけど、感情が覚えてる出会いだったのかもしれない。

少女が抱える“無言の痛み”が、ギアを変えていく

少女は、自分の記憶を取り戻そうともしない。
まるで、“思い出さない方が安全”だと知っているみたいに。

でもその無関心さが逆に、ギアの中の“知りたい衝動”を引き起こす。

なぜ彼女は笑わないのか。
なぜ、誰かを見ても動じないのか。
感情の起伏を拒否するような態度に、ギアはなぜか惹かれていく。

ふたりは“共犯者”じゃない。“記憶のかけら”だった

ギアと少女は、偶然の出会いじゃなかった。

作中後半で明かされる断片的な映像──
そこに映っていたのは、過去の“実験記録”。

ギアと少女は、同じ施設で“記憶同期”の被験者だった可能性が浮上する。

つまり、ふたりは“誰かのための記憶”としてつながっていた

それを知ったとき、ギアは何も言わなかった。

でもその沈黙には、明らかに“共犯”のような温度があった。

たぶんあの瞬間、ギアは彼女を守りたくなったんじゃない。

ただ──「忘れられたままでいる彼女」を、見過ごせなかっただけなんだと思う。

第4章:Qu-0213チームとの駆け引きと裏切りの予兆

「裏切りって、信頼の裏側にあるって思ってた。でも、本当は“諦め”のほうが近いのかもしれない」

Qu-0213(通称キュー)──国家直属の記憶保管チーム。
彼らの任務は、記憶と情報の保持。つまり、“すべてを知っている側”。

でも、彼らの目が一番怖かった。
だって、何も言わないくせに、すべてを見抜いてるような眼差しだったから。

“戦う”んじゃない、“泳がせる”ような監視の怖さ

Qu-0213のやり方は、暴力でも強制でもない。

情報と感情を“じわじわ崩していく”タイプのコントロール。
ギアたちは戦ってるつもりだったけど、実際はもう掌の上だった。

とくにチームの副官・サイラの言葉が印象的だった。

「真実は、話すタイミングを操作するだけで、武器になる」

この一言で、物語の緊張感が一段階変わった。

“正しいことをしてるのに”の顔が、一番信用できなかった

Qu-0213のメンバーたちは、誰もが“正義の顔”をしていた。

でもその正義は、「決まったルールに従っているだけ」のものだった。

ルールの裏にある人間の温度なんて、もう見てなかった。

だからギアのように“逸れる者”が現れると、逆に興味を持ち始める。

その興味は好奇心じゃない。
「おまえもいずれ、ルール側に戻る」っていう確信だった。

……なんだろう。 信じてないくせに、信じさせる言葉って、あんなに残酷なんだね。

“誰が味方か”じゃなく、“誰なら傷つけてもいいか”の選別

Qu-0213との駆け引きは、情報戦なんかじゃなかった。

もっとずっとえげつない。
「誰なら犠牲にできるか」という、見えないランキングの話だった。

その中でギアは、間違いなく下位にいた。
つまり“切ってもいい存在”。

でもそこでギアは逆に、“誰を守るか”を決める。

駆け引きの中で、守る側に立つって、めちゃくちゃ難しい。
でも彼は、それを選んだ。

それはきっと、「自分だけは、誰かを見捨てたくなかった」っていう、
子どもの頃に失った“何か”を、まだどこかで探してたからだと思う。

第5章:廃墟での選択──「撃つ」か「信じる」かの分岐点

「引き金に指をかけたとき、人は“敵”を見てない。“諦めそうな自分”と戦ってるだけだ──」

終盤、ギアと少女がたどり着いたのは、かつて記憶実験が行われていた研究施設跡。

瓦礫に埋もれたモニター、焼けたファイル、誰かの声がまだ残ってるような無音。

そこは、物語の核心にして、「信じる/信じない」の最終選択の場所だった。

信じたいけど、信じたくない。それが一番リアルだった

少女が、ギアに銃を向けた。

その瞬間、時間が止まったようだった。

たぶん、彼女も引き金を引くつもりはなかった。
ただ、「信じるために、疑う」という最も切ない感情に襲われていただけ。

ギアは構えなかった。
でも、「撃たれてもいい」って顔じゃなかった

それは、たぶん信じたんじゃなくて──「もう信じるしかなかった」ってことなんだと思う。

記憶より、感情のほうが正しかった

少女は記憶がない。
でも、ギアの目を見て「嘘じゃない」って感じた。

記録じゃない。証拠でもない。

ただの目線ひとつ、声の震えひとつが、「この人はわたしを裏切らない」って、感情が言っていた。

それって、記憶のない人間が最後に持てる“唯一の判断基準”なんじゃないかな。

あの瞬間の選択は、何も起きなかったけど、
“起きなかったこと”自体が、奇跡だったと思う。

「撃たなかった」ことが、二人をつなげた

この廃墟で、ふたりは何も話さなかった。

でも、その沈黙こそが、たぶん唯一の対話だった。

“疑う自由”を与えてくれたこと。

“それでも引き金を引かなかったこと”。

それが、この二人の間にしかない、“信じるという行為の輪郭”だったんだと思う。

このシーン、派手さはないけど、
感情の温度で読んだら、いちばん熱かった。

第6章:明かされる国家の真実と“記憶を消す装置”の秘密

「記憶は、残酷だけど、必要だった──だってそれが、“生きてきた証拠”だったから」

物語の終盤、ついに“国家が隠していた真実”が明かされる。

それは単なる政治的な陰謀じゃない。
もっと根深くて、もっと個人的で、「人の痛みそのものを切り捨てる装置」の話だった。

装置名 「オブリビオン」
概要 対象者の直近72時間の記憶を感情ごと“上書き”できる兵器型記憶改変装置
使用条件 国家認定のプロファイル危険度「レッド」以上の対象に適用可
副作用 記憶の喪失だけでなく、“感情起伏”の不具合(無感動症・感情スキップ現象)を伴うことが多い

「忘れさせる」は優しさか、それとも暴力か

国家は言った。
「記憶を消すことで、心を守ることができる」と。

でも、その言葉の裏側には、
「あなたが傷ついたことを、もう気にしなくていい」という一方的な決定があった。

それって優しさ?それとも、「お前の痛みなんて無意味だ」と言われてるのと同じじゃない?

ギアは、まさにそれを拒否した存在だった。

感情は、都合よくは削れない

「オブリビオン」は感情を含んだ記憶も消すことができる。

でも、消されたはずの人たちは、どこかで“同じ苦しみ”を繰り返していた。

たとえば、同じ夢を見る

たとえば、同じ人を怖がる

それは、“記憶”じゃなく、“感情”が残ってる証拠だった。

国家は記録を消せても、心の引っかかりまでは消せない。

そう、感情は「データ」じゃなくて「温度」だから

ギアが壊したのは、装置じゃなく“諦め”だった

最終的に、ギアは「オブリビオン」の中枢装置のコアにアクセスしようとする。

破壊ではない。停止でもない。
「記憶を思い出す選択肢を、戻そうとした」だけだった。

それって、たぶん、
「痛みも自分の一部として抱えたまま、生きていく覚悟」を取り戻すってこと。

ギアのその行動は、戦いでも抵抗でもなかった。

“諦めない”ってことの、静かな証明だったと思う。

前編ラスト:ギアが最後に見たもの──後編『弾丸決戦編』への伏線

「ラストシーンで涙が出たのは、感動じゃなくて、“思い出しそうな自分”が怖かったから──」

前編『弾丸疾走編』のラスト。

ギアは、ひとりで“あの部屋”に立っていた。

部屋の壁には、過去の記憶を記録した数千のデータチップ。

その中のひとつ──「No.0213」と書かれたファイルに、彼の指がふれた瞬間。

画面がスローダウンする。
彼の目に、“少女の微笑み”がフラッシュのように映る。

“見た”のか、“思い出した”のか──

あの瞬間、ギアが目を見開いた表情。

でも、言葉はなかった。涙もなかった。

ただ、誰かの名前を呟こうとして、やめたようなその一呼吸が、すべてだった。

わたしにはあのラストが、
「思い出したくなかったことを、思い出してしまった人の顔」に見えた。

伏線の回収じゃない、“感情の置き土産”

このラストは、よくある伏線回収系の終わり方じゃない。

むしろ逆。
「思い出してしまったことが、これからどう心を動かしていくのか」という、
“問い”だけを残して終わった。

そして、その問いはたぶん、観ていたわたしたちにも突きつけられている。

「あなたには、“思い出したくないまま残してる感情”はないか」って。

後編『弾丸決戦編』に続く、感情の導火線

ギアの目が最後に向けられた先──そこには、静かに立つ少女の背中。

セリフは一切ない。音楽も止まる。

でも、その“音のない余白”が、何よりも雄弁だった。

たぶんあの瞬間、ギアは決めたんだと思う。

「誰かの記憶に残ることを、怖がるのはもうやめよう」って。

その覚悟が、後編へと引き継がれていく。

そして観客であるわたしたちも、きっと後編でまた、
“自分がまだ向き合っていなかった気持ち”に出会うんだと思う。

出来事 心の動き/感情の伏線
第1章 少年ギアが初めて“誰かを撃った夜”を描写 「あの時、どうして引き金を引いたのか?」という自問が始まる
第2章 ミッションX-22が発動、国家の裏側と接触 仲間を“守る”か“命令を守る”か、ギアの葛藤が浮き彫りに
第3章 記憶を失った少女と出会い、共犯関係が生まれる 少女との関係が“撃てない理由”に変わっていく
第4章 Qu-0213との駆け引き、味方の裏切りが判明 「誰を信じていいかわからない」不信と選択の連鎖
第5章 廃墟で少女に銃を向けられる──“信じる”か“疑う”か 「引き金を引かなかった」ことで芽生えた信頼
第6章 国家による“記憶消去”の計画が明かされる 「人の感情は消せない」というテーマが浮上
ラスト ギアが「No.0213」の記録に触れ、記憶が揺れ動く “思い出したくない感情”が再起動のスイッチに

まとめ:前編に込められた“再起動の痛み”と静かな決意

「人が再起動するときって、決して“新しくなる”んじゃない。
“古い自分の痛みを持ったまま、もう一度立つ”ってことなんだ──」

映画『バレットバレット 弾丸疾走編』は、たぶん“始まりの物語”じゃなかった。

それよりも、“しくじったままの感情たちが、それでも進む”という、
「続けることの選択」の話だったように思う。

銃声も、逃走も、記憶の断片も、全部“終わりの演出”に見えるけれど、
その中に何度も、小さな「再起動の瞬間」があった。

  • 誰かを撃たなかった瞬間
  • 疑っても、信じようとした瞬間
  • 忘れてた感情が、ふいに戻ってきた瞬間

それって全部、「このままじゃいられない」っていう、
心の小さな叫びだったんじゃないかな。

ギアの物語は、まだ終わらない。

だけど、彼が“思い出してしまった顔”を見た私たちは、
きっともう後戻りできない。

だって、感情って、一度触れたら最後。
無視できなくなるくらい、自分の中で騒ぎ出すから。

後編『弾丸決戦編』──そこに何が待っているかはまだわからない。

でも私は信じてる。
この作品が描いてるのは、“かっこいい戦い”じゃなくて、
「自分のしくじりを肯定する」っていう、地味だけど一番やさしい戦いなんだって。

そういう物語に、今、どうしても救われたかった。

🔻もっと読みたいあなたへ🔻

『バレットバレット』シリーズの感情観察記事はこちら

▶ カテゴリーをもっと見る

この記事のまとめ

  • 『バレットバレット 弾丸疾走編』の全ストーリーを感情視点で解説
  • “記憶を消す装置”という国家の陰謀と感情抹消の倫理的葛藤
  • ギア・ノア・バレル・Qu-0213らの感情と選択の重なり
  • 「撃つか、信じるか」の廃墟での選択が物語を分岐させた理由
  • 少女との出会いがギアに与えた“再起動”という感情の変化
  • 前編ラストの無言と記憶の余白が、後編へ託された感情の火種
  • しくじりを抱えたまま立ち上がる者たちの“やさしい戦い”の物語

【アニメ『BULLET/BULLET』予告編】

コメント

タイトルとURLをコピーしました