【聖地巡礼マップ】青春ブタ野郎シリーズの舞台はどこ？実在ロケ地を徹底解説

青春ブタ野郎シリーズの聖地巡礼を考えているあなたへ。ここでは、物語の各エピソードと関連する実在ロケ地を、ストーリー別に詳しく紹介します。

TVアニメ、劇場版を通じて登場する江ノ島や七里ヶ浜、藤沢駅周辺などのスポットを、どの場面でどのように使われているかがひと目でわかる構成です。

この記事を読めば、「あのシーンはここだったのか！」と感動しながら聖地巡礼が楽しめます。

「バニーガール先輩」初登場＆図書館シーン

場面	実在ロケ地	作品内の描写
麻衣がバニーガール姿で現れる図書館	藤沢市総合市民図書館	咲太以外に麻衣の姿が見えない異常現象が起きる象徴的なシーン
咲太と麻衣が通学する通学路	七里ヶ浜駅～江ノ電沿線	会話やすれ違い、日常の象徴として繰り返し登場
放課後の海辺での語らい	片瀬西浜海岸	夕暮れの会話や思春期症候群の核心が交錯する静謐な空間

『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』は、思春期症候群という超常現象を通じて、高校生たちの心理や葛藤を丁寧に描いた作品です。

シリーズの幕開けとなるこの物語は、ヒロイン・桜島麻衣が、突如として他人から認識されなくなる現象に巻き込まれるというショッキングな展開から始まります。

その中でも、彼女がバニーガール姿で図書館を歩くという場面は、シリーズ全体の核とも言える“思春期症候群”の象徴として、多くの視聴者に深く印象を残しました。

このシーンのモデルとなったのが、神奈川県藤沢市にある「藤沢市総合市民図書館」です。

実在するこの図書館は、広々とした吹き抜け構造とガラス張りのデザインが印象的で、作中でも忠実に再現されています。

建物の外観から内装まで、アニメ制作陣がロケハンを経て緻密に描いたことがわかるほど、現地と作中の描写は一致しています。

訪れるファンは、この場所で“誰にも気づかれない麻衣を唯一見つけた咲太の心の動き”を想起しながら、その空気感を体感できます。

図書館を出てからの場面では、七里ヶ浜駅からの通学路が舞台として多用されます。

特に江ノ電沿線の踏切や海沿いのカーブ、階段、住宅街の坂道は、作中の“会話劇”が展開される場所として多くのファンに親しまれています。

このあたりのロケーションは、非日常的な現象と、現実的な日常風景が同居しているというシリーズの雰囲気を最もよく体現していると言えるでしょう。

また、物語の感情的なクライマックスとして登場するのが、片瀬西浜海岸です。

ここでは、咲太と麻衣の心が初めて通じ合う瞬間が描かれます。

浜辺で波の音を聞きながら話すふたりの姿は、青春と孤独のはざまを揺れる高校生たちの繊細な心を映し出す名シーンとして多くの支持を集めています。

さらに忘れてはならないのが、「麻衣が咲太の想いによって再び“存在”として世界に認識される瞬間」です。

これは、咲太が校舎の窓に向かって「桜島麻衣が好きだ！」と叫ぶ名場面。

この場面も、学校モデルとなった神奈川県立七里ガ浜高校やその付近の立地を参考に描かれており、現実とアニメの一致感が訪問者を引き込みます。

これらの舞台を巡ることで、観光的な要素だけではなく、物語の心理的背景を追体験することができるのが本作の聖地巡礼の魅力です。

特にアニメを見終えた後に改めて現地を訪れると、背景に込められた意味や演出の意図に気づくことが多く、アニメ視聴体験がもう一段深いものになります。

「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」の導入部で使用されたこれらのロケ地は、シリーズの核を担う“孤独・共感・存在の意義”というテーマを具現化した象徴であり、単なる背景を超えた強い意味を持つ空間となっています。

水族館デートとシリアス展開

場面	実在ロケ地	作品内での描写
水族館デート	新江ノ島水族館（えのすい）	麻衣との距離が縮まるきっかけとなる大切なデートシーン
事故現場の予兆となる場所	江ノ島弁天橋	物語の緊張感を高める伏線的舞台。後に衝撃的な事故の舞台に
浜辺の感情的対話	片瀬海岸西浜	咲太が真実に迫る会話が交わされる情緒的な背景

『青春ブタ野郎シリーズ』において、物語の感情の高まりと共に訪れるのが、新江ノ島水族館でのデートシーンです。

ここでは、桜島麻衣と梓川咲太が互いの心を通わせる重要な転機が描かれており、青春の瑞々しさと微かな不安が同居する象徴的な場面となっています。

この水族館、通称「えのすい」は、江ノ島駅から徒歩10分ほどの距離に位置し、湘南の海を背景にした最高のロケーションとしてアニメファンにも絶大な人気を誇ります。

作中では、大水槽の前での会話や、クラゲ展示室での幻想的な描写などが挿入され、視覚演出と心理描写が融合した極めて完成度の高い演出がなされています。

このシーンでは、麻衣の繊細な心情や、咲太の不器用ながら真摯な思いが交錯し、ふたりの関係が一歩進展する印象的な回となっています。

特にクラゲ展示ゾーンでの麻衣の言葉は、「見えないものでも確かに存在する」という本作のテーマを象徴するセリフとして語られています。

そして、この甘く淡い雰囲気の中にも、物語の緊張感がにじみ出ています。

それを体現しているのが、江ノ島弁天橋です。

アニメでは、咲太が麻衣とのデート帰りや葛藤のさなかに、何度もこの橋を渡る描写があります。

この橋は江ノ島の玄関口として観光スポットとしても知られていますが、作中では“未来の悲劇”への伏線として張り巡らされた印象的なロケーションです。

劇場版『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』では、咲太が交通事故に遭う運命の地としてこの橋が選ばれています。

そのため、視聴者はこの橋を見るたびに、物語が持つ時間の歪みと運命の交差を無意識に感じ取ることになります。

ここは単なる交通のための橋ではなく、未来と現在を繋ぐ物語装置としての役割を担っているのです。

また、咲太と麻衣の心情が深く交錯するもうひとつの場面が、片瀬海岸西浜での会話です。

日が沈む海岸で、咲太が麻衣に本音を打ち明けるシーンでは、自然と心情描写が完璧に融合しています。

この浜辺は、江ノ島を背にした夕焼けの光が差し込む、まさに“感情のスクリーン”とも呼べる場所です。

ここでのセリフや間の取り方、咲太の沈黙、麻衣のまなざしすべてが、画面越しに観る者の感情を揺さぶる名演出として評価されています。

江ノ島周辺に展開するこれらの舞台は、観光地としての魅力を備えながらも、アニメにおいては物語の深層心理を掘り下げるための“情景演出の装置”となっています。

聖地巡礼を通じてこれらの場所を訪れる際は、単なる風景ではなく、その場面で交わされた言葉や感情の流れを思い出すことで、より深い共感体験が得られるでしょう。

とくに江ノ島弁天橋は、単なる風景を超えた「物語の転換点」として、多くのファンが特別な想いを寄せる場所です。

夜間や雨天など、シーンを再現しやすい時間帯を選んで訪れることで、アニメの中に自分自身が立っている感覚を得ることもできるでしょう。

このように、水族館デートから始まり、江ノ島弁天橋、片瀬海岸まで続く一連のシーンは、本作の中でも特に“記憶に刻まれる風景”として高い評価を受けており、ファンにとって欠かせない巡礼ポイントです。

古賀朋絵ルートでの告白シーン

場面	実在ロケ地	作品内での描写
同じ日を繰り返す謎の現象が始まる	藤沢駅周辺の喫茶店・コンビニ・商店街	日常の中で起こる“タイムループ”が描かれ、異常性が際立つ
嘘の恋人関係が始まる	江ノ島入口周辺・片瀬江ノ島駅	海辺の散歩デート、スーパー前などリアルな背景で描写
本音の告白が行われる最終シーン	江ノ島中腹（中津宮広場付近）	朋絵の本心と決別が感情的に交錯する重要な舞台

古賀朋絵編は、青春ブタ野郎シリーズの中でも特に時間と心理の交錯が巧みに描かれた章です。

このエピソードでは、咲太が時間をループするという不可解な現象に巻き込まれ、それが古賀朋絵の“思春期症候群”によって引き起こされていることが判明します。

彼女は「ある一日」が終わらないように願い、実際にその日が繰り返される世界に閉じ込められてしまうのです。

この章の主な舞台は、藤沢市街地と江ノ島周辺です。

日常の中でループが続くという異常性を際立たせるため、商店街・カフェ・コンビニ・通学路など、極めてリアルな生活空間が頻出します。

実在する藤沢駅南口商店街やその周辺のチェーン系カフェは、視聴者にも馴染みやすく、感情移入を促進する効果を担っています。

朋絵がループの中で何度も咲太にアプローチし、“嘘の恋人関係”が始まるのも、日常の中に潜む非日常を象徴する展開です。

海辺でのデート、スーパーでの買い物、制服姿のやり取りなど、どこか甘酸っぱい青春の風景が丁寧に描かれます。

この“日常感”が逆に、朋絵の「この関係を壊したくない」という執着の強さを際立たせる仕掛けになっています。

物語が進行するにつれて、朋絵の本心が明らかになります。

それは「本当は咲太に好かれたい」「この関係が終わるのが怖い」という強い感情です。

しかし彼女は、その思いを嘘の関係という形で持ち続けることに苦しみ、やがて自ら終わらせる決断をします。

その最終局面の舞台が、江ノ島の中腹にある中津宮広場周辺です。

海を見渡せる静かな空間で、朋絵は咲太に本心をぶつけます。

そして咲太も、「嘘では君に応えられない」という想いを、誠実に伝えます。

告白と失恋、そして再出発を意味するこの場面は、シリーズ屈指の感情描写として評価されています。

この場所は、実際には江ノ電・江ノ島駅から徒歩で20分ほど登った位置にある神社の参道であり、観光客の喧騒が少しずつ静まっていく中間地点にあたります。

その環境は、まさに「関係が変わる節目」「心の折り合いをつける場所」として理想的な構造を持っています。

ループが終わる瞬間、物語は一気に進展します。

咲太と朋絵が別れることで、再び時間が動き出すという構造は、彼女の“変化への覚悟”と強く結びついており、観る者の胸を打ちます。

この構成の美しさは、ただの恋愛模様ではなく、“思春期”という人生の一断面で誰もが感じる迷いや恐れに真摯に向き合っている点にあります。

古賀朋絵編は、舞台・心理・現象が見事に融合している章です。

聖地巡礼の際には、江ノ島の坂道を登る途中で振り返ると、朋絵が何を思ってここに立っていたのかを、きっと身体で感じることができるでしょう。

彼女の視線の先に何があったのか、それを確かめるように歩く体験こそが、“物語の続きを現実で歩く”という巡礼の醍醐味です。

峰ヶ原高校編（映画・ランドセルガールほか）

場面	実在ロケ地	作品内の描写
咲太・麻衣たちの通学シーン	江ノ電 七里ヶ浜駅前・踏切	校門前や坂道での会話、朝の空気感を演出
峰ヶ原高校校舎モデル	神奈川県立七里ガ浜高等学校	外観・教室・廊下が詳細に描写。リアルな高校生活の象徴
花楓の受験・進路エピソード	校舎裏手のテラスや坂道	自立と葛藤の象徴的空間として描かれる

「峰ヶ原高校編」では、シリーズを通して最も重要な舞台のひとつとなる「峰ヶ原高校」を中心に、登場人物たちの学園生活と心の成長が描かれます。

この高校のモデルとなっているのが、神奈川県鎌倉市に実在する神奈川県立七里ガ浜高校です。

湘南の海を見下ろす高台に建つこの学校は、その風景と校舎の雰囲気、周囲の自然に至るまで、アニメの背景として極めて高い再現性を持っています。

作中では、江ノ電・七里ヶ浜駅前の踏切や、通学路の坂道が繰り返し登場します。

特に駅前のシーンは、咲太と麻衣が何気ない会話を交わす“日常の象徴”として頻出し、視聴者の記憶にも深く刻まれています。

このような日常描写にリアリティを持たせることで、非日常的な“思春期症候群”が生じた際の対比がより際立つ構造になっています。

校舎自体のモデルである神奈川県立七里ガ浜高校は、湘南の風景を一望できることで知られ、廊下から海が見える風景は作中でも何度も描かれます。

咲太たちが進路に悩むシーン、麻衣との秘密の会話、理央との科学談義など、すべてこの学校の空間をベースに構築されており、感情の波と風景が連動する演出に優れています。

また、劇場版や原作後半で描かれる「ランドセルガール編」や「おでかけシスター編」においても、この高校は重要な場所となっています。

特に、妹・花楓の受験や進路に関するエピソードでは、この学校を目指すという目標が彼女の再出発と自立の象徴として位置づけられています。

最終的に、花楓が自分の意思で別の進路を選択する流れも、「この場所に来るために自分を取り戻した」という流れと結びつき、深い意味を持つ演出がなされています。

校舎裏のテラスや坂道は、感情的な対話が繰り広げられるスポットとしても有名です。

特に咲太と麻衣の「すれ違い」と「和解」が描かれる場面では、背景として静かな海や水平線が描かれ、心理的な波が映像として表現されます。

現地を訪れると、まさにあのシーンの空気を肌で感じられ、「ここで物語が動いた」という没入感を得ることができます。

江ノ島～七里ヶ浜の地域一帯は、交通アクセスの良さもあり、作中の時間経過と地理的移動が一致している点でも評価されています。

登場人物たちが何気なく移動しているシーンの多くは、実際に1日で巡れる距離に収まっており、現実と作品世界が完璧にリンクしていると言えます。

このように、「峰ヶ原高校編」は、学園生活という“青春の原点”と、各キャラクターの心理的成長を結びつける場として機能しています。

その中心にある神奈川県立七里ガ浜高校とその周辺環境は、物語の空気を現実に体験できる希少な聖地であり、聖地巡礼の中でも最重要ポイントのひとつです。

(チラッと観て休憩)【アニメ「青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない」第1弾PV】

ランドセルガール＆夢みる少女編の風景

場面	実在ロケ地	作品内での描写
咲太が“存在を失う”現象の始まり	鎌倉高校前駅～江ノ島エリア	誰にも認識されなくなった咲太が彷徨う場面として登場
ランドセルガールとの邂逅	七里ヶ浜海岸・中津宮参道付近	ランドセル姿の少女が咲太を“もうひとつの世界”へ導くシーン
もう一つの“幸せな世界”	江ノ電 沿線住宅街・高台からの海の見える街並み	家族全員が健在、麻衣と順調な日々を送る「理想の世界」

『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』および『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』では、時間軸・記憶・存在といった抽象的なテーマが物語の中心に据えられています。

それに呼応するように、舞台として選ばれた風景はどこか幻想的で、現実の中に非現実が差し込んでくるような空間が散りばめられています。

まず、咲太が「誰にも認識されなくなる」という異常な現象が始まる場所として描かれるのが、鎌倉高校前駅～江ノ島エリアです。

この駅は、海沿いの踏切と江ノ電の車両を背景にした有名な撮影スポットであり、多くのアニメ作品でも用いられてきました。

しかし本作では、主人公がこの日常的な場所にいても「誰にも気づかれない」という描写がなされ、視聴者に強烈な違和感と孤独感を与えます。

人の往来はあるのに、誰一人自分の存在を認識してくれない。

その描写が、この開放感のある風景と対照的に重くのしかかります。

続いて登場するのが、本作のタイトルにもなっている「ランドセルガール」です。

咲太が“世界に取り残された”と感じている中で唯一、彼の存在を認識し、語りかけてきたのが、麻衣そっくりのランドセルを背負った少女です。

彼女が咲太を導く場面では、七里ヶ浜の海岸や中津宮参道周辺が登場します。

特に参道の階段や鳥居越しに見える海の景色は、“日常の先にある異世界”を暗示する演出として非常に効果的に使われています。

咲太がランドセルガールと共に向かった先は、もう一つの可能性の世界でした。

そこでは、妹・花楓のいじめは起こらず、家族全員が健康で、麻衣とも順調に交際しているという、“理想の人生”が進行する世界線が描かれています。

この理想世界の背景には、高台から見下ろす湘南の街並みや、整然とした住宅街の情景が広がっており、どこか現実離れした幸福感が漂っています。

しかし、この世界は“過ごしやすさ”と引き換えに、“本当の想い”や“痛み”を覆い隠している構造になっており、現実に戻る覚悟の難しさを物語ります。

この章における見どころの一つは、咲太が再び自分の世界へ戻る決断をする場面です。

それは、偽りの幸せではなく、本当の困難と向き合う覚悟を選ぶということであり、思春期症候群という“現実から逃げる力”に真正面から抗う決意とも言えます。

この決断が下された瞬間、背景にはまたしても湘南の穏やかな海と夕陽が描かれ、決して派手ではないが、圧倒的な演出力をもって視聴者に印象づけられます。

また、ランドセルガールが何者だったのかという謎に関しては、視聴者の想像に委ねられる余地も多く、麻衣の過去？未来？あるいは可能性の象徴？といった解釈が語られ続けています。

それがまた、この物語と聖地巡礼に深い意味を持たせている要因のひとつです。

ランドセルガール編と夢みる少女編が描かれるこれらの舞台は、いずれも“現実と理想、存在と忘却、愛と別れ”といったテーマが物語に込められています。

そしてそのテーマを伝える場として、湘南の海・坂道・駅・街並みという風景が選ばれている点に、本作の演出の巧みさが表れています。

訪れる際は、単に風景写真を撮るだけでなく、“あの瞬間にキャラクターがどんな心境だったか”を思い出すことが、最も深い聖地巡礼の楽しみ方になるでしょう。

劇場版「おでかけシスター」以降の新スポット

場面	実在ロケ地	作品内での描写
花楓が将来を決意する場面	森戸海岸（葉山町）	静かな浜辺で自分の意志を確かめるシーンとして描写
かえで（花楓）と卯月の交流	辻堂駅周辺のオープンスペース	アイドル活動と通信制高校の選択について語り合う
進路変更後のラストシーン	逗子海岸通り沿いのベンチ	咲太と花楓が未来について穏やかに話す終着点

劇場版『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』では、咲太の妹・梓川花楓の物語が中心に描かれ、これまでのシリーズに比べて“自立と選択”に重点が置かれた構成となっています。

そのため、舞台となる風景もより静かで落ち着いた雰囲気を持ち、個人の内面に向き合う空間として選ばれています。

代表的なロケーションのひとつが、神奈川県葉山町の森戸海岸です。

劇中では、花楓が「兄と同じ高校に行きたい」というかえでとしての願いと決別し、自分自身の選択をするという重要な場面で登場します。

夕陽が海に沈む時間帯の中、花楓は自身の弱さ、過去の記憶、そして未来への期待を一つひとつ見つめ直していきます。

森戸海岸の遠浅な浜と穏やかな波音が、彼女の決断の背景を包み込むように演出されており、強い印象を残します。

次に、花楓とアイドルグループ「スイートバレット」のメンバー・広川卯月との対話が行われる場所が、辻堂駅北口のカフェや広場です。

この場所は、アイドルという華やかな世界と、通信制高校という柔軟な選択を体現する卯月の生き方が、花楓に大きな影響を与える重要な対話の場となります。

卯月の言葉は、「誰かと同じ道を選ばなくてもいい」「自分だけの未来を選んでいい」という強いメッセージとなり、花楓の背中を押します。

このシーンでは都会的な建築物と空の広がりが対比的に描かれ、現代的な選択肢の多様性を象徴する演出がなされています。

物語の終盤、花楓は進路の選択として「兄の通う高校ではない、自分に合った学校へ行く」と決意し、それを咲太に伝える場面が描かれます。

この時、二人が話す場所として登場するのが、逗子海岸通り沿いの海が見えるベンチです。

ここは、過去に咲太と麻衣が語らいを交わした場所と似た雰囲気を持っており、「家族の関係の再定義」「兄妹の信頼」が優しく描写される舞台としてふさわしい選択です。

このラストシーンは、新たな一歩を踏み出す静かな決意を象徴しており、観る者の心に温かい余韻を残します。

また、『おでかけシスター』というタイトル自体が意味する通り、本作では「家庭」という閉じた世界から外に踏み出すことが全体のテーマになっています。

だからこそ、舞台に選ばれたのは“開放感ある海辺”や“人の少ない街角”であり、それが花楓の心象風景とリンクしています。

本作に登場する聖地は、いずれも静かで穏やかな時間が流れる場所ばかりであり、他のシリーズ作品の喧騒や感情の衝突とは異なるトーンで描かれています。

その分、登場人物の成長と再生のプロセスがより丁寧に描かれており、聖地巡礼の際にもその心の変化を味わえる構成になっています。

この章の舞台を巡ることは、花楓という一人の少女が“かえで”という殻を脱ぎ捨てて、自分自身の人生を生きようとする物語を、もう一度自分の足で辿る旅とも言えるでしょう。

【青春ブタ野郎シリーズ 聖地巡礼まとめ】江ノ島・七里ヶ浜・藤沢を網羅

主要スポット	登場シーン	作品への影響
江ノ島弁天橋・新江ノ島水族館	麻衣とのデート・事故・決断の舞台	感情の転換点・物語の主軸に位置付けられる
七里ヶ浜・鎌倉高校前駅	通学シーン・ループ現象・出会い	日常と非日常の融合を表現
藤沢駅・商店街	朋絵のループ・花楓との日常	都会的日常のリアルな描写が物語の軸を支える

『青春ブタ野郎シリーズ』の魅力は、心理描写と舞台背景の融合にあります。

登場人物たちが葛藤し、選択し、成長していく姿を際立たせているのは、物語の舞台である江ノ島・七里ヶ浜・藤沢といった湘南エリアの実在風景です。

この地を巡礼することで、アニメの感動が再び蘇るような深い体験を得ることができます。

まず、江ノ島弁天橋と新江ノ島水族館はシリーズを象徴するスポットです。

弁天橋では麻衣との関係や咲太の決断が描かれ、水族館では恋が始まる決定的瞬間が演出されました。

特に弁天橋は、未来を象徴する伏線としても繰り返し登場する、“物語の分岐点”といえる場所です。

続いてのスポットが、七里ヶ浜駅～鎌倉高校前駅周辺です。

ここでは、古賀朋絵とのループ現象、かえでと咲太の通学風景、ランドセルガールとの出会いなど、現実と幻想の交錯する場所として数々のシーンが生まれました。

この地域特有の静寂と海の開放感が、登場人物の内面を豊かに彩っています。

一方、藤沢駅周辺はシリーズの中でもっともリアルな“都市的日常”が展開する舞台です。

朋絵とのデートやループ現象、花楓がアイドル活動や進路を考えるシーンなどが描かれ、現代の高校生の生活感がリアリティをもって描写されています。

藤沢という都市の具体性が、非現実な現象を逆にリアルに見せる土台になっているのです。

また、劇場版以降では、森戸海岸や逗子海岸通りといった新たなスポットも登場しました。

特に花楓が自立を決意する場面で登場する森戸海岸の静かな海は、彼女の内面の変化と重なる象徴的な空間です。

このように、各シーンに対応する風景は、単なる背景としてではなく「登場人物の心を映す鏡」として機能しています。

このシリーズの聖地巡礼を通じて体感できることは、アニメをただ追体験するだけではありません。

同じ場所に立ち、同じ空気を吸い、キャラクターと同じ視線で風景を見ることで、アニメの内面にまで入り込む没入体験が可能になります。

それこそが、青春ブタ野郎シリーズが持つ“聖地”としての強さであり、ファンが何度もこの地を訪れたくなる理由でもあります。

聖地巡礼を計画される際は、「エピソードと場所の関係性」を意識することをおすすめします。

どのシーンでどのキャラが何を感じていたのかを思い出しながら巡ることで、作品世界が一層深く心に残ることでしょう。

『青春ブタ野郎シリーズ』は、風景が語り、沈黙が響き、記憶が生きる、そんな物語の構造をもつ傑作です。

江ノ島・七里ヶ浜・藤沢というリアルとフィクションが交差する舞台を、ぜひあなたの足で歩いてみてください。

【アニメ「青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない」第2弾PV】