2025年6月17日放送のドラマ『天久鷹央の推理カルテ』第8話は、物語の核心に迫る重要回です。
都議会議員・倉石奈津子の急変・失踪をきっかけに、病院内の権力闘争と過去の医療事故が交錯。
本記事では、第8話のあらすじ、犯人・犯行動機、原作との違い、鷹央と大鷲の最終対決までを徹底解説します。
- 第8話の事件概要・犯人と犯行の全貌
- 鷹央と大鷲による診断部存続をかけた思想対決
- 原作とは異なるドラマオリジナル展開の意図
① 緊迫する序盤:倉石奈津子議員の救急搬送と大鷲院長による執刀
登場人物 | 倉石奈津子(高島礼子)、天久大鷲(柳葉敏郎)、小鳥遊優(三浦翔平)、天久鷹央(橋本環奈) |
発端 | 倉石奈津子が原因不明の症状で倒れ、天医会総合病院に緊急搬送される |
重要展開 | 大鷲が院長の立場を超えて自ら執刀を決意、助手に小鳥遊を指名 |
伏線 | 倉石と大鷲の裏の繋がり、「地域医療統廃合計画」の背景が徐々に明かされる |
緊張感のピーク | 手術の成否と患者の命、病院の政治的対立が同時進行で描かれる |
第8話は、倉石奈津子都議の容体急変という衝撃の事件から始まります。
都議会で“地域医療の再編”を巡る政策を推進する重要人物である倉石は、突如意識を失い、天医会総合病院に緊急搬送されます。
この一報により、病院内部は一気に騒然とした空気に包まれ、政治と医療が交差する緊迫した状況が一気に立ち上がっていきます。
倉石の病状は深刻であり、今すぐ手術しなければ命が危ないという診断が下されます。
しかし、彼女の病状は一見して診断のつかない複雑な症状であり、通常の執刀医では手に負えないレベル。
ここで動いたのが、病院長でありながら元外科の名手でもある天久大鷲でした。
大鷲は、責任の重大さから逃げず、自ら執刀を引き受けるという決断を下します。
本来であれば院長が手術台に立つことなど想定外ですが、それだけに倉石の命と政治的存在価値の重さが浮き彫りになります。
さらに、大鷲が執刀医として選んだ助手が意外な人物でした。
それが、統括診断部所属の内科医・小鳥遊優です。
外科経験を持つわけではない小鳥遊がなぜ選ばれたのか、その背景には、彼の優れた洞察力と冷静な判断力に大鷲が注目していたことがうかがえます。
彼の技術と資質を高く評価した大鷲は、ここで小鳥遊に“新たな可能性”を示唆し始めます。
手術室の緊張感は、ドラマの中でも特に強く描かれており、まるで生放送のような臨場感で視聴者を惹き込みます。
執刀中、倉石の容体は幾度も急変しかけるものの、大鷲と小鳥遊の見事な連携によって命はつなぎ止められます。
一見すれば成功とも思えるこの手術が、後に巨大な謎と陰謀を巻き起こすとは、この時点では誰も予想していませんでした。
同時に描かれるのは、大鷲と倉石の“密約”の存在です。
倉石の推進する「地域医療統廃合計画」は、医療の効率化を掲げながらも、裏では病院経営と政治資金の癒着が囁かれていました。
この手術は単なる医療行為ではなく、病院と政治の闇を映す象徴的な事件でもあったのです。
そして、このシーンの終盤では、手術が無事に終わったかに見えた直後、倉石がまた容体を急変させるという不穏な展開が控えており、物語は一気にミステリーの色合いを強めていきます。
この時点で、“何者かによる意図的な行為”の可能性が浮上し始めます。
“誰が倉石を狙ったのか?”という謎は、鷹央による推理を待つこととなります。
こうして、第8話は命を賭けた医療と政治的闇の交錯という壮大な導入から幕を開けるのです。
② 小鳥遊への新たな誘惑:バディ危機の序章
小鳥遊の立場 | 天久鷹央とコンビを組む統括診断部所属の内科医。誠実で冷静な性格。 |
大鷲の評価 | 緊急手術での活躍を見て、外科医としての将来性に強く惚れ込む。 |
提案の内容 | 統括診断部から外れ、外科医として院長直属チームに移籍する誘い。 |
バディの危機 | 鷹央との信頼関係に亀裂が入り、チーム解消の可能性が浮上する。 |
視聴者の視点 | 医局政治とキャリア選択というテーマに、医療ドラマならではの深みが加わる。 |
倉石奈津子の手術をきっかけに、小鳥遊優の医師としての評価が急上昇します。
特に手術中の冷静沈着な判断、状況対応の素早さが光り、執刀医である病院長・天久大鷲から絶賛される場面は、視聴者にとっても強い印象を残しました。
それは一過性の賞賛ではなく、小鳥遊のキャリアを根底から揺さぶる重大な提案として現れてきます。
大鷲が提示したのは、「外科チームに正式に異動しないか」というものでした。
それは単に所属部署の変更ではなく、将来的なエース外科医としての道を約束するような話であり、医局の中で特別なポジションを用意するという好条件付きのスカウトでした。
若い医師としては、このようなオファーを受けることは非常に名誉であり、同時に大きな転機にもなります。
一方で、小鳥遊には重要な問題がありました。
それは、天久鷹央とのパートナー関係の存在です。
統括診断部という異色の部署において、鷹央と組んで数々の難事件を解決してきた歴史があり、そこには強い信頼と絆があります。
彼自身、鷹央とバディを組むことが、医師としての成長と生きがいにつながっていると感じていたはずです。
しかし、大鷲の言葉は巧妙です。
彼は、「鷹央のもとにいるだけではお前の可能性は狭まる」と語り、小鳥遊の才能を最大限に開花させるには、自分の下に来るべきだと説得していきます。
この場面はまさに、医局の権力構造と個人の自由意思がぶつかり合う、医療ドラマの核心と言えるシーンでした。
視聴者としても悩ましいところです。
鷹央と組んできた姿を見てきただけに、二人のバディが解消される展開は望ましくないと感じる一方、医師としてステップアップする機会を逃すべきではないという葛藤も理解できます。
まさに、視聴者に判断を委ねるような絶妙な脚本がここで展開されているのです。
一方、鷹央側の反応も描かれます。
彼女は表面上は冷静でありながらも、小鳥遊が自分の元を離れるかもしれないという現実に対して複雑な思いを抱いています。
これは、ただの職場の仲間という関係ではない、心の奥底にある信頼と依存がにじむ描写となっています。
ドラマとして特筆すべきは、この展開が原作では存在しない要素である点です。
原作の小鳥遊はそこまでキャリア志向ではなく、よりパートナーシップ重視の人物として描かれています。
しかしドラマでは、現代の若手医師のリアルな悩みに焦点を当て、キャリア選択のジレンマという重いテーマを描き出しています。
視聴者の目線を意識しながらも、病院内の人間関係と権力構造というリアルな世界を組み込んでいる点において、第8話はシリーズの中でも極めて深度のあるエピソードとなっています。
果たして、小鳥遊はどちらの道を選ぶのか。
次なる展開に向けて、鷹央との関係に亀裂が生じるのか、緊張感が高まっていくのです。
③ さらに悪化する議員の容体と通報劇
主な登場人物 | 倉石奈津子(高島礼子)、天久大鷲(柳葉敏郎)、桜井公康(平山浩行)、天久鷹央(橋本環奈) |
容体急変の背景 | 手術後の経過は安定していたが、突如として原因不明の重篤な症状が再発 |
事件の引き金 | 倉石が錯乱状態で「大鷲に殺されかけた」と警察に通報し、事態が急変 |
警察の対応 | 刑事・桜井公康が病院に急行し、院長に事情聴取を開始 |
その後の展開 | 倉石が再度急変、姿を消すという不可解な事件が発生 |
第8話の中盤では、倉石奈津子の容体が再び急変するという展開が訪れます。
手術は成功し、術後経過も一見良好に見えていたはずでした。
しかしそのわずか数時間後、倉石は突如として再び呼吸困難・高熱・意識混濁といった深刻な症状を見せ、医療チームは再度緊急対応を迫られることになります。
この時点で、“何者かの介入”の可能性が強く示唆され始めます。
通常の術後合併症では説明できない症状の数々が、単なる医療事故ではないことを物語っていました。
そして、物語はここで一気にサスペンス色を強める局面に突入します。
倉石は意識が戻ったタイミングで、警視庁捜査一課に電話をかけ、「大鷲に殺されかけている」と訴えるのです。
しかも、錯乱した状態で電話をしていたにもかかわらず、発信者は確かに倉石本人であり、録音も残されていました。
病院に駆けつけたのは、シリーズ中盤からたびたび登場していた刑事・桜井公康。
彼は即座に病院内で事情聴取を開始し、院長である天久大鷲に対して正式な疑いの目を向けることになります。
このときの倉石の様子は、明らかに常軌を逸しており、「院長が殺そうとした」「薬を盛られた」などと具体的な言葉で糾弾します。
周囲のスタッフや警察ですら戸惑う中、鷹央だけが冷静に状況を分析しようとする姿勢を見せます。
「これは医療ミスではない」「体内に異物があるかもしれない」——彼女の視点から、この事件の真相解明への糸口が描かれ始めるのです。
しかし、混乱の最中にさらなる衝撃の展開が待っています。
看護記録にも警備記録にも異常がないにも関わらず、倉石奈津子の病室からの失踪が発覚します。
警察と病院は即座に敷地内と周辺の捜索を開始しますが、行方は分かりません。
逃走の痕跡も、連れ出された痕跡もないという“密室からの消失”は、まさにミステリードラマの真骨頂と言える展開です。
また、この倉石の通報と失踪事件は、政治的な意味合いも大きく絡んできます。
彼女は“地域医療統廃合”を強引に進めていた張本人であり、多くの敵を抱えていた立場です。
つまり、殺人未遂が本当にあったとすれば、その犯人は大鷲だけでなく、政治的利害関係者の誰かである可能性が浮上してきます。
天久大鷲自身も、この通報劇を受けて立場が危うくなり始めます。
統括診断部と外科チーム、病院経営陣とのパワーバランス、そして家族間の確執という複数の火種が一斉に炎上する様相を呈してきます。
このような緻密な脚本により、第8話は単なる医療ドラマではなく、医療・政治・人間関係のすべてを内包した大型ミステリーとして進化していくのです。
鷹央はこの事態を受けて、倉石が本当に錯乱していたのか、あるいは冷静な計算があったのかに着目します。
なぜ彼女は「大鷲に殺されかけた」と言ったのか、その根拠は何だったのか。
この問いが物語の核心へとつながり、次なる展開へと視聴者を導いていく鍵となるのです。
(チラッと観て休憩)【最終章予告】『天久鷹央の推理カルテ』
④ 真相に迫る展開:倉石議員の失踪と“天使”の謎
主要事件 | 倉石奈津子が病室から失踪。監視カメラや記録には痕跡なし。 |
鷹央の直感 | 倉石は“外部からの襲撃”ではなく“計画的な逃走”をしていると判断。 |
重要キーワード | 「天使」「小児病棟」「天久家と病院の因縁」 |
謎の存在 | 病院内で囁かれる“白衣の天使”の目撃証言と失踪ルートの一致 |
真相の糸口 | 過去の小児科で起きた事故と今回の事件との関係性 |
倉石奈津子議員の失踪事件は、病院全体を大混乱に陥れました。
突如として病室から姿を消し、監視カメラにも映っていないという状況は、まさに“密室の失踪”そのもの。
逃走経路も確認されず、誰かが連れ出した形跡もない。
この事実が、病院関係者だけでなく警察の捜査をも困惑させます。
しかし、ただ一人冷静だったのが天久鷹央でした。
彼女は監視記録やナース記録を分析しながら、「これは混乱の中で連れ去られたのではなく、倉石自身が何かの意志で姿を消した可能性がある」と見抜きます。
この視点が、事件を一変させる鍵となっていきます。
そしてここで新たに浮上するのが、“天使”の目撃証言です。
看護師や入院患者の間でささやかれていた都市伝説的な噂、それが“夜中に病室を出入りする白衣の天使”の存在でした。
この話は長年病院内で曖昧にされてきましたが、倉石が消えた直後にその“天使”らしき人物を見たという証言が複数現れ始めたことで、事件は急展開を迎えます。
鷹央はこの“天使”に注目し、小児科病棟の旧棟に調査を進めます。
そこは現在では使われていないエリアでありながら、一部職員の休憩室や倉庫として残されていた空間です。
そこで彼女は、過去にこの病院で起きた重大な医療事故の記録と、倉石の政策との関係性を見出します。
事故は10年以上前、小児病棟で起きた医療過誤。
原因は不明なまま処理されましたが、実はその責任者の一人が倉石議員だったことが明らかになります。
この事実は議員としての彼女の経歴には残されておらず、完全に秘匿されていたものでした。
病院内の記録を徹底的に調査する鷹央は、事故後に関係者の転属・記録抹消が進められた形跡を見つけます。
そしてこの“事故”と“天使の目撃”は密接に関係していました。
事故当時に亡くなった少女が、夜な夜な病院内に現れる“白衣の天使”として語られていたのです。
つまりそれは、単なる幽霊譚ではなく、当時の責任逃れと隠蔽によって語られ続けた“罪”の象徴でした。
倉石は、この“天使”の存在を恐れ、そして向き合うために自ら病室を抜け出した可能性が高まります。
彼女は、かつての過ちに向き合うため、自発的に過去の現場へ向かったのです。
その足取りをたどることで、鷹央は事件の全貌と議員の動機を掴もうとします。
このパートの素晴らしさは、医療ミステリーの枠を超えて人間ドラマに昇華させた点にあります。
“天使”という象徴が、死者の記憶、罪の意識、そして贖罪の道を示しており、それに鷹央が医学的論理と人間理解をもって迫る構図が、非常に見応えがあります。
さらに、原作には登場しないエピソード構成である点も注目に値します。
ドラマならではのアレンジにより、“幻覚”ではなく“記憶の投影”としての“天使”の演出が採用されており、よりドラマチックに物語が展開される設計です。
こうして、鷹央は「消えた議員」を探し出すというより、「過去を乗り越えようとする一人の人間」を追い始めるのです。
次回、彼女の推理が失踪の真相と病院の“罪”を浮かび上がらせる鍵になることは間違いありません。
⑤ 鷹央VS大鷲:統括診断部 存続をめぐる最終対決
対立の本質 | 統括診断部を不要とする院長・大鷲と、存続を訴える鷹央の思想的衝突 |
背景 | 医局内の序列、診断権限、財政面での圧力が絡み合う構造的問題 |
核心 | 「医療とは何か」をめぐる信念の違いと、旧世代 vs 新世代の象徴的構図 |
視点の変化 | 小鳥遊の揺れる心と、患者の命に直結する判断を下す現場の葛藤 |
原作との違い | ドラマオリジナル要素として、家族内権力闘争が物語の軸として強化 |
ドラマ「天久鷹央の推理カルテ」第8話における最大の見どころのひとつが、鷹央と大鷲による正面対決です。
この対決は単なる人間関係の衝突ではなく、医療の在り方、医局組織、そして未来の医療像そのものをかけた思想戦と言えるでしょう。
鷹央は、診断に特化した専門部門「統括診断部」の価値を証明し続けてきた天才医師です。
一方、大鷲は古典的な外科中心の医療体制を重んじ、「診断は医師の基礎スキルであり、専任部署など不要」と主張します。
この二人の立場は根本から食い違っており、長年にわたる確執と亀裂の中で、最終決戦の舞台が整いました。
ことの発端は、病院内での統括診断部の廃止案です。
経営判断という名目で持ち出されたこの案ですが、実質的には大鷲の権限強化と医局の伝統回帰を進める動きでした。
これに真っ向から反発する鷹央は、「患者の命は正しい診断から始まる」と強く主張します。
このやりとりの中で浮かび上がるのは、“現場主義 vs 権威主義”という構図です。
鷹央は常に患者に寄り添い、未知の症状に対しても科学的視点から解明しようとします。
一方、大鷲は外科的技術と経験、そして医療経営を重視し、“効率化された医療”を理想として掲げます。
さらに、この対立は家族内の確執としての側面も色濃く描かれます。
大鷲は鷹央の叔父であり、かつては“鷹央の医師としての導師”でもありました。
しかし、その関係は互いの信念が成長と共に完全に分岐。
今ではまるで敵同士のような冷え切った関係が、視聴者の胸を締めつけます。
小鳥遊もまた、この対立の渦中に巻き込まれていきます。
統括診断部の現場で学び成長してきた彼は、鷹央の信念に共鳴してきた存在です。
しかし、大鷲の提案に揺れることで、彼自身が「医療の本質」を問われる立場となってしまいます。
この回で特に印象的なのは、病院理事会でのプレゼンテーションシーン。
鷹央はデータと症例を元に、診断部の存在意義を淡々と、しかし力強く主張します。
「検査と診断の精度を担保せずに、どの医療行為が成立するのか」——この一言に込められた重みは、視聴者にも鋭く突き刺さります。
これに対して大鷲は、「症例の特殊性は例外であり、医師の基本能力を高めれば十分」と反論。
効率・コスト・人材育成といった点で、診断部門の縮小が合理的であると訴える姿勢は、組織運営者として筋が通っているようにも見えます。
この議論において特筆すべきは、「どちらも正しい」という描き方がされている点です。
鷹央の理想は尊いが、非効率という現実の壁にぶつかる。
大鷲の方針は合理的だが、患者一人ひとりの命に寄り添う姿勢は感じられない。
そして、決定打となるのが、今回の倉石議員の“再発症”の診断根拠を巡る対立です。
鷹央はその原因を診断ミスではなく、薬物による中毒症状であると突き止めることで、自らの理論の正しさを証明します。
この瞬間、統括診断部の存在が命を救ったという事実が全員の前に突きつけられるのです。
こうして第8話では、鷹央と大鷲の対立が一つの結論を迎えると同時に、医療の未来像を問う重厚なテーマが語られました。
この対決は単なる“ドラマの一幕”ではなく、現実の医療現場でも常に問われ続ける葛藤を描いたものであり、多くの視聴者に深い余韻を残したことでしょう。
⑥ 犯人と犯行動機|原作と比較して変えられた要素を検証
犯人 | 病院内の薬剤師・神林(ドラマオリジナルキャラクター) |
犯行手段 | 点滴経由で中毒物質を微量混入、術後の容体急変を装う |
動機 | 過去に起きた医療事故の責任転嫁、そして倉石による隠蔽への怒りと復讐 |
鷹央の推理 | 血液検査に現れない特殊化合物の毒性と、手術中の記録から犯人特定 |
原作との違い | 原作では事件そのものが存在せず、病理中心のエピソードが描かれる |
第8話のクライマックスで明かされるのは、倉石奈津子議員の再三にわたる急変が“人為的に引き起こされた”ものであるという真実です。
これまで不可解だった急性症状の発現、そのタイミング、そして倉石の錯乱通報…。
これらすべてが、ひとりの人物の手によって巧妙に仕組まれていたという結末に至ります。
犯人として浮かび上がったのは、天医会総合病院の薬剤師・神林という人物です。
ドラマオリジナルの登場人物であり、原作シリーズには登場しないキャラクターですが、非常に現実的な動機と手口をもって事件を引き起こしていたことが明かされます。
神林はかつて、小児病棟で起きた重大な医療事故の関係者でした。
その事故では薬剤の調合ミスが原因とされていましたが、実際には病院側と倉石による責任の転嫁が行われ、神林が“口止め”とともに現場を離れることを余儀なくされたのです。
その結果、薬剤師としての信念と誇りを深く傷つけられ、神林の中に“正義を歪められた怒り”が蓄積されていきました。
そして今回、倉石が再び病院に姿を現したことで、神林の中の怒りが爆発します。
彼は表面上は冷静な医療従事者として立ち振る舞いながらも、点滴に微量の中毒性化合物を混入し、倉石の容体を徐々に悪化させるという“見えにくい殺意”を行動に移していたのです。
天久鷹央の推理は、この“微量毒”という難題に挑みます。
一般的な血液検査には反応せず、症状の発現に時間差があり、しかも使用された化合物は医療現場で合法的に扱える成分の変形体。
鷹央は、わずかな代謝副産物の挙動と、発症タイミングの整合性から、その特異性を見抜きました。
さらに決定打となったのは、当日の点滴準備記録と、神林が関与していた時間帯のログです。
本来交代しているはずの時間に神林が単独で倉石の薬剤棚にアクセスしていた事実を、鷹央は院内サーバーのアクセス履歴から特定。
これにより、神林の動機と手段が完全に一致し、彼が犯人であることが確定したのです。
この一連の事件により、倉石の政治的立場も明るみに出ます。
彼女が行ってきた「地域医療統廃合計画」は、かつての医療事故隠蔽の延長線上にあったことが明かされ、改革ではなく私益であったと視聴者に提示されました。
ここで重要なのは、原作にはこのような“犯人が存在する推理劇”は描かれていないという点です。
原作では医療ミステリーに留まり、症状の解明や病態の特異性にフォーカスしていますが、今回のドラマは明確な加害者と動機、そして過去との繋がりを描くことで、よりスリリングで社会的な物語に仕上げています。
また、ドラマでは鷹央の推理過程も重厚に描かれ、「診断力」が犯罪の解明に直結するという視点がより際立っています。
この点も原作にはない演出であり、医療×サスペンスという新たな融合を生んだ構成となっています。
最終的に神林は、「誰も謝らなかった」「命の重みを金に換えた者たちが今も医療に関わっている」と語り、自らの行為が正義だと信じていたことを告白します。
それに対し鷹央は、「医療は正義を振りかざすための場所ではない」と諭すように静かに語りかけ、人間ドラマとしての余韻を視聴者に残します。
まとめ:ドラマ第8話で描かれた“命”“医療改革”“家族対決”の集大成
事件の結末 | 倉石奈津子の急変と失踪事件は、薬剤師・神林による毒物混入が原因と判明 |
思想の対立 | 天久大鷲と天久鷹央の“医療の未来”をかけた最終対決が描かれる |
小鳥遊の葛藤 | 外科医への転身と、鷹央との信頼関係のはざまで揺れる |
新たな火種 | 少年患者の診断ミスを訴えた母親の登場により、鷹央が医師として最大の危機に直面 |
次回への展望 | 最終回では、鷹央の過去・責任・誠意をめぐる再診断と訴訟が描かれる可能性が高い |
第8話では、表面上の“倉石議員の容体急変と毒殺未遂事件”というサスペンスの中に、人間の正義、医療の責任、組織の歪み、そして家族の対立という重層的なテーマが緻密に描かれていました。
表向きの事件解決に留まらず、“命とどう向き合うか”という哲学的な問いが作品全体を貫いています。
物語の中心には、倉石議員の失踪と毒物混入事件が据えられていました。
その真相は、病院の薬剤師・神林による計画的な犯行でしたが、そこには過去の医療事故で押し付けられた責任と、命を軽視された者の苦悩がありました。
神林の行動は決して正当化されるものではありませんが、医療制度の闇と犠牲者の声を象徴する存在として、視聴者の心に残る存在となりました。
また、第8話最大の見どころは、天久鷹央と天久大鷲の“理念衝突”です。
病院の組織と効率を重視する大鷲に対して、鷹央は一貫して“診断の現場から命に向き合うこと”の重要性を訴え続けました。
血縁関係にありながらも真逆の信念を持つ2人の対立は、医療の理想と現実の間にある深い断絶を描き出していました。
この思想の違いは、組織の中で自分の立場を探し続ける小鳥遊にも影響を及ぼしました。
天医会の外科から魅力的なキャリア提案を受ける彼は、現実的な未来と、鷹央との信頼関係という2つの価値観の間で揺れ動きます。
鷹央とバディを組み続けるのか、それとも自分の道を選ぶのか――その葛藤が丁寧に描かれていました。
そして、物語のラスト数分で突然提示された“新たな事件の火種”。
一人の女性が鷹央の前に現れ、「あなたの診断が、私の子の未来を奪った」と告げます。
その子どもは視覚障害に苦しんでおり、過去に鷹央の診断が誤っていた疑いが浮上したのです。
これまで誰よりも正確で冷静だった鷹央が、動揺を隠せず沈黙する。
その姿に、彼女の医師としての根幹が大きく揺らいでいることが明確に描写されました。
この一件は、単なる誤診では終わらないでしょう。
次回・最終回では、鷹央自身が“医師として何を信じて診断してきたのか”という本質的な問いに直面することになります。
さらに、告訴の可能性、病院内での責任追及、母子の現在の状態、そして再診断による逆転など、物語は一気に緊迫した“医療ドラマの核心”へと向かっていくでしょう。
このように第8話は、倉石事件の解決を通して医療倫理・組織対人間・正義と責任というテーマを深掘りしつつ、最終回に向けて重大な伏線を複数提示した構成でした。
それはシリーズ全体の“総括”にふさわしい、重厚で考えさせられる一話だったと言えるでしょう。
果たして、天久鷹央は自らの診断と過去にどう向き合い、そして再び“命を診る者”として立ち上がれるのか――。
最終回が、視聴者に大きな問いを突きつける回になることは間違いありません。
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- 倉石奈津子議員が病室から突然失踪
- “天使”の正体と過去の医療事故が交錯
- 犯人は薬剤師・神林で動機は復讐
- 鷹央と大鷲が診断部存続を巡り激突
- 小鳥遊の進路を揺るがす決断の場面
- 原作と異なる犯人推理型のドラマ構成
- 命と向き合う医師たちの葛藤を描写
最終回の展開が気になる方は、下記の公式予告動画もぜひご覧ください。
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【最終回予告】『天久鷹央の推理カルテ』6月24日(火)よる9時放送』
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