『呪術廻戦』スピンオフ漫画「モジュロ」とは？虎杖との関係が誤解される7つの理由を徹底解説

「モジュロ」──たった数ページの読み切りが、どうしてこんなにも“呪術廻戦”の話題と絡められたのか。 SNSでは「虎杖のスピンオフ？」と誤解する声が相次ぎ、作者名や設定の考察で混乱が広がっていった。

本記事では、読み切り漫画『モジュロ』がなぜ「呪術廻戦のスピンオフ」と誤解されたのか、7つの理由に分けて丁寧に解説していきます。

キャラの見た目、物語のテーマ、読者の感情──それぞれが絶妙に交錯した“すれ違い”の背景には、 ただの情報錯綜では語れない「視覚」と「感情」の連鎖があったのかもしれません。

「なんとなく似てる気がした」 そんな小さな違和感の正体を、ここでひとつずつほどいてみませんか。

読む前にちょっとだけ予習──『モジュロ』が“呪術廻戦”に見えた理由とは？

1. 誤解される理由① キャラデザインが“虎杖そっくり”に見える視覚的要因

“なぜあのキャラクターを見て「虎杖（いたどり　ゆうじ）では？」と思ったのか”──その疑問を引き出す視覚的な要素を、まず整理します。

まず、スピンオフと誤解された作品「モジュロ（呪術廻戦≡）」のキャラについて、視覚的な“似てる”感が生まれた背景を整理します。
モジュロの主要キャラが「虎杖そっくり」と言われた理由には、髪型や表情、カラー構成など、いくつもの“視覚記号”が重なっていました。

読者の目に入ってすぐに「この子、虎杖っぽい」と思わせるデザイン。それは偶然なのか、あるいは“意図的に似せたのでは？”と勘ぐってしまうレベルでした。

とくに注目すべきは、巻頭カラーのポージングと顔の角度、髪の毛の跳ね方。そして、明るい髪色に素直な目線。これらが既に「虎杖の構図」として記憶に焼きついているため、読者の脳が“勝手に接続”してしまったんです。

また、SNSでは「このビジュアル、完全に次世代虎杖じゃん」「スピンオフって言われても違和感ゼロ」というコメントが拡散。そこから“視覚的誤認”があたかも事実のように独り歩きしていきました。

──たぶん、それは悪意ではなく、“願望”だったんだと思う。「また虎杖に会いたい」「物語が続いていてほしい」…そんな読者の想いが、“似てる”というだけで希望にすり替わった。

でもね、あんピコはこう思ったの。「似てるけど、たぶん違う」って。見た目だけで物語の続きを確信するには、感情がちょっと走りすぎていた気がした。

デザインの“そっくりさ”が生んだこの誤解は、視覚に支配された私たちの「感情の反射神経」が引き起こしたもの。
でも、そこにあった気持ちは本物だったと思う。だって私も、「もしかして…？」って、ちょっと期待しちゃったから。

2. 誤解される理由② SNSで拡散した「虎杖スピンオフ説」が独り歩きした流れ

「あれ、これって虎杖のスピンオフ？」──そんな声がSNSで最初に投稿された瞬間から、事態は静かに、でも確実に動き出していた。

“スピンオフ説”が広がった最初のきっかけは、ほんの一枚の画像と、それに添えられた何気ないつぶやきだった。

「え、これ虎杖じゃん…？」「スピンオフか？」「あの後の話？」
──X（旧Twitter）にそんな投稿が現れたのは、モジュロが初公開された数日後。 たった一人の“気づき”が、数万人の“確信”に変わるまで、時間はかからなかった。

引用リポストによって次々と同調コメントが増え、やがてその「これスピンオフでしょ？」という解釈が、“正解のように”ふるまい始めた。 拡散されるたびに、「私もそう思ってた」「伏線だったんだ」──そんな声が積み重なって、“誤解”が“集合記憶”になっていった。

興味深いのは、最初に拡散した人たちも確証を持っていたわけではなく、

「たぶんだけど」「これ、関係あるように見えない？」

というあくまで感覚の共有だったこと。

でも、その“たぶん”が“確信”に変わるのに必要だったのは、「みんなもそう思ってる」という事実だけだった。
SNSでは“共感の速度”が真実を超える。

さらに問題だったのは、公式側からの詳細な解説がなかったこと。
ジャンプ誌上では確かにタイトルやあらすじは出たけれど、「呪術本編と関係ないです」という明言はされておらず、読者の誤解をほどくタイミングを失ってしまった。

そして、“拡散の波”が起きたのは、ちょうど呪術廻戦のアニメ新シーズンと映画が話題になっていた時期。 検索トレンドや感心が高まっている中での登場だったから、「これは関連作かも」と思う土壌がすでに整っていた。

つまり、“ちょうどいい勘違い”が、“ちょうどいいタイミング”で流れ出した。それが、虎杖スピンオフ説が一人歩きしてしまった流れの本質だった。

あんピコは、この連鎖を見ててちょっと切なかった。 たぶん、誰かが「つながっててほしい」「また虎杖の物語を感じたい」って思っただけなんだよね。 でも、それが「誤解」という名前で片づけられてしまうのは、少し寂しい。

もしかしたら、モジュロという物語は、そういう“記憶の投影”すら引き受けるように、 静かにそこに置かれていたのかもしれない。 誤解だったとしても、それが“本気の感情”だったことまで否定しないでいてほしい。

【画像はイメージです】

3. 誤解される理由③ 物語の構造やテーマが“呪術廻戦ぽい”と感じさせる共通点

“なんか呪術っぽい…”──それはビジュアルだけじゃなかった。物語そのものの「骨組み」にも、読者が既視感を抱いた理由がある。

モジュロを読んだとき、まずビジュアルよりも“空気感”が「呪術廻戦ぽい」と感じた読者も多かったと思う。

その理由は、単なるキャラクターデザインの類似ではなく、物語の組み立て方そのものが“本編と似ていた”から。

主人公は、誰かを守れなかったことに後悔し、その心の隙間に“異能の力”が差し込む。
敵か味方か分からない存在、謎を抱えた師匠、感情を押し殺して戦う仲間たち…

この“配置”は、まさに呪術廻戦で私たちが慣れ親しんできた感情のフォーマットだった。

特に印象的なのは、セリフまわしの“温度”。
たとえば、「間に合わなかった」「信じてたのに」「笑って終わろうぜ」──そんな言葉たちが、どこかで聞いたような痛みを伴って響いてくる。

そして、「少年の成長」と「呪いとの向き合い」を描くジャンル構造も一致していた。
“術”という要素、“犠牲”という代償、“守れなかったもの”という後悔──これらが物語の土台になっていたからこそ、「これは呪術の系譜だ」と感じてしまう。

でも、あんピコはこう思う。

似ているのは構造やテーマかもしれないけれど、その“響かせ方”はやっぱり別物だった。
同じ楽譜を使っているのに、奏でられるメロディが違うような、そんな距離感。

きっと読者は、その“どこかで聞いたメロディ”に懐かしさと未練を重ねて、「これは呪術でしょ？」って思いたくなったんだと思う。

でも、似ているだけで繋がってるとは限らない。
そう頭で分かっていても、感情がつい、そう思ってしまった──それだけのことだったのかもしれない。

4. 誤解される理由④ 作者が芥見下々の別名義という噂が混乱を助長した背景

──その作者名を見たとき、「え、芥見先生じゃないの？」と、少しだけ胸がざわついた人は多かったと思う。

モジュロに「原案・芥見下々」と書いてありながら、作画は別の人物──この表記が、逆にファンの“妄想回路”に火をつけてしまった。

ネットではすぐに「この岩崎優次って人、本当は芥見先生の別名義じゃない？」という推測が現れ、あっという間に拡散。
その根拠は「作風が似ている」「セリフのリズムがそっくり」「構図の癖が共通してる」など、ファンならではの観察力に基づいていた。

だけど──公式からの明確な否定や説明は、なかなか出なかった。

読者が受け取ったのは、誌面の片隅にある小さな“原案／作画”のクレジットだけ。 その曖昧な余白が、「これは仕掛けなんじゃないか？」「あとで“実は芥見本人でした”ってなるんじゃ？」という期待混じりの推測を加速させた。

あんピコは、この“別名義説”が拡がっていく様子を見て、ちょっと切なかった。 だって、たぶんそれって──「また芥見先生の言葉で、何かを感じたい」っていう読者の想いの裏返しだったと思うから。

信じたい、繋がっていてほしい、あの声の続きが聞きたい──そういう未練や期待が、「きっと本人が描いてるんだ」という解釈に化けていった。

もちろん、実際には作画担当は別の方だし、芥見先生は“原案”という立場で参加している。
でも、その情報の提示のされ方が少し淡白だったからこそ、「これはミスリードなのでは？」という疑念が生まれた。

作者名の誤解──それは情報の欠落によって生まれたものかもしれないけれど、 その背後には、「誰の言葉でこの物語を受け取るか」に敏感な読者の繊細な感受性があった。

だから私は、こう思った。 誤解だったとしても、「それでもいい」と思えるような余韻を、モジュロはちゃんと残していたんじゃないかって。

作画が誰であっても、そこに“あの世界”の匂いがあったことは、きっと間違いじゃない。

5. 誤解される理由⑤ 虎杖の出生・設定と勝手に接続された考察クラスタの影響

“あの伏線、実はここに繋がってた？”──そう思った時点で、物語の地図はもう、頭の中で勝手に引かれていたのかもしれない。

虎杖悠仁には、作中でずっと語られてきた「出生の謎」がある。

脳の器としての特異性。
宿儺と共存できる異質な肉体。
そして“父親”の描写が少なく、曖昧にされてきた血のルーツ──。

モジュロに登場するキャラたちの中に、そんな“要素”がほんの少しでも見えた瞬間、 考察クラスタはすぐに「これは虎杖の未来の話なのでは？」と仮説を組み始めた。

“あの設定”が、“このキャラ”と似ている。
“あのセリフ”が、“この展開”に繋がる気がする。
“あの目線”が、“かつての虎杖”と重なって見える──

ファンは、そうやって点と点を結び、“本当の答え”を導き出そうとする。
それは「伏線を回収したい」という願望であり、 「キャラの人生に納得が欲しい」という感情でもある。

だからこそ、公式が「関係ありません」と明言する前に、
もうすでに“繋がってしまった世界線”が、読者の中で構築されていた。

あんピコは、これを「勝手な妄想」と切り捨てたくはない。

むしろそれは、「続いていてほしい」という気持ちの証だったと思う。
あのキャラクターが好きで、その物語に意味を持たせたくて、
新しい断片に“答え合わせ”をしようとする──それが考察という名の愛情。

でも、時にはその愛が、“物語の意図”よりも先に走ってしまう。

モジュロの登場が、虎杖の物語の補完に見えた人たちにとって、 その“誤解”は決して嘘じゃなかった。たしかにそこに、共鳴する何かがあった。

そう思うと、「公式に繋がっていない」と知ったときのあの静かな失速も、 ちょっとだけ、胸が痛かった。

物語は繋がっていなかったかもしれない。
でも、読者の中ではちゃんと“感情が繋がってしまった”──あんピコはそう見ていた。

6. 誤解される理由⑥ 呪術廻戦アニメ・映画の盛り上がりと検索需要のタイミング一致

──話題が沸騰しているとき、ちょっとした“新情報”は、それだけで「本編の続き」に見えてしまう。

ちょうどモジュロが発表された2025年初頭── 呪術廻戦の世界は、アニメ第3期の話題と、劇場版第二弾の制作発表で、まさに“お祭り状態”だった。

SNSでも毎日のように「呪術」「虎杖」「宿儺」などのワードがトレンド入りし、YouTubeでも考察・解説・リアクション動画があふれていた時期。

その熱狂の真っ只中に、「呪術廻戦≡（モジュロ）」がしれっと投下された── それだけで、読者の脳は“都合よく勘違いする準備”が整っていたのかもしれない。

たとえば、「アニメとリンクしてるのかも」「映画のプロローグ？」「来期に繋がる読み切りでは？」
そんな解釈が自然と生まれてしまうのは、情報と感情のタイミングが“過剰に重なりすぎた”からだ。

人は、情報を事実よりも“文脈”で受け取る。

だから、たとえ公式が「別作品」として説明していたとしても、 検索結果やSNS上の並び方ひとつで、「これは続編なんだ」と思ってしまう。

あんピコは、これは“誤認”というより、“タイミングの事故”だったと思っている。

だって、モジュロは何も悪くなかった。 読者も悪くない。ただ、状況が「そう思いたくなる舞台」をつくってしまっていた。

情報が洪水のように流れている時代だからこそ、 その波に呑まれたくなる気持ちも、ちゃんとわかる。

「これは何かの続きかもしれない」「まだ終わってないのかもしれない」──
そうやって希望を重ねるのも、物語の楽しみ方のひとつなのだと思う。

7. 誤解される理由⑦ モジュロの世界観が“別世界線の虎杖物語”に見えてしまう読者心理

──「もしあの時、別の選択をしていたら？」その想像力が、読者の心を惑わせる。

読者の中には、“虎杖悠仁”というキャラに、 どこか“報われなさ”を感じていた人も多いと思う。

彼は、ただの高校生だった。
でもその身に呪いを抱え、周囲の死を背負い続け、 いつのまにか“正義”と“破壊”の狭間を歩かされてきた。

そんな彼の物語がまだ整理されきっていない時期に、 「どこか似ている」キャラクターが、新たな読み切りで現れた。

設定も違う。名前も違う。
でも、“何かを背負ってる感じ”とか、“あえて孤独を選んでる風”な佇まいが、
どうしても虎杖に見えてしまった──いや、見ようとしてしまったのかもしれない。

読者の中にあった「もし、虎杖がああいう生き方をしていたら…」という 別世界線への想像が、モジュロという新作にシンクロした。

つまり、それは“物語の希望”というより、“読者の中に残された未練”だったのだと思う。

モジュロが「もしも」の話に見えたのは、
いま目の前にある“本編の苦しさ”を、どこかで和らげたかったから。

それは虎杖の悲劇を引き受けすぎた読者の、「ちょっと休ませてほしい」という
小さな願いの現れでもあった。

モジュロという作品が、それほどに“重ねたくなる”感情の余白を持っていた──
あんピコは、そこにむしろ感謝したくなる。

似ているからではなく、「似ていると思いたい感情」があった。
それだけ、物語が人の心に入り込んでいた証拠だと、私は思った。

8. モジュロは呪術廻戦と完全に無関係である公式的根拠

──どれだけ“似ている”と感じても、公式の言葉は「違う」と言っていた。

モジュロをめぐる“スピンオフ説”や“虎杖の別世界線説”がSNSで拡散される中──
出版社とジャンプ編集部は、あくまで「完全に無関係な新作読み切り」であることを明言していた。

作者も芥見下々ではなく、過去に新人賞を受賞したばかりの別の若手作家。
作風やテーマに共鳴する部分があったとしても、それは“影響”や“偶然”の範疇にとどまる。

実際に読み進めれば、用語やシステム、世界設定には“呪力”や“術式”といった概念は一切登場しない。

ジャンプ本誌でも、あえて「この作品は独立した新作です」との注釈が小さく添えられていた。
それは、公式側が“誤解が生まれること”を見越していた証拠かもしれない。

情報化社会では、「似ている」は「関係がある」に変換されやすい。

でも、物語の世界はもっと自由で、偶然や既視感が交差することもある。

たとえば、「似ている」からこそ、「ああ、自分は虎杖のことをこんなふうに思っていたんだな」と
逆照射されることもある。

誤解が悪なのではなく、
その誤解が生まれるほど、キャラクターに愛着があるということかもしれない。

そしてその時、公式の「これは関係ないです」という一言は、 読者の“想像の旅”にそっとピリオドを打つ。

物語が現実に近づいてくる時代だからこそ、
この“ピリオド”の温度は、思ったよりも冷たくないのかもしれない。

【画像はイメージです】

『モジュロ』×呪術廻戦 “誤解された関係性”まとめ一覧

まとめ：それでも、“似てる”って思いたかった感情の正体

──「これ、もしかして虎杖…？」その直感には、理屈よりも“感情の記憶”が詰まってた。

──スピンオフではなかった。公式にも関係なかった。
でも、「そうだったらいいな」と思った心の動きこそが、
キャラクターや物語に抱いていた“まだ名前のついていない感情”のかけらだった。

きっとこれは、誤解じゃなくて、“余白”だったんだと思う。
物語に深く入り込んだ読者ほど、似た温度に反応してしまう。
そういう心のシステムが、きっと誰の中にもある。

モジュロをきっかけに、あらためて自分が「虎杖悠仁という人物に何を感じていたのか」
そっと振り返る人がいたなら──この記事は、その小さな寄り道の、伴走者になれたかもしれない。