『藤本タツキ 17-26』全キャスト一覧&音楽担当まとめ|小野賢章・杉田智和・花澤香菜ら豪華声優陣が集結!

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『チェンソーマン』や『ルックバック』『ファイアパンチ』で知られる藤本タツキ── その“原点”ともいえる短編集が、アニメとして蘇る。

2024年放送の話題作『藤本タツキ 17-26』は、彼が17歳から26歳の間に描いた8つの短編を映像化したオムニバスアニメ。 小野賢章・花澤香菜・杉田智和ら超豪華声優陣に加え、石塚玲依・川井憲次・Kevin Penkinなど実力派作曲家が集結し、 各話に異なる監督・制作スタジオが参加するという、極めて実験的かつ芸術的な構成が話題を呼んでいます。

本記事では、『藤本タツキ 17-26』の全話キャスト一覧音楽担当制作スタジオ各話の見どころを完全網羅し、 「声と音の融合」というテーマのもとに、この作品の本質を深く掘り下げていきます。

「この話だけでもう一回観たい」── そんな声が続出する8本の短編。その裏側に隠された“演出と音楽の魔法”とは? 最後まで読むことで、アニメ化された短編集がただの再現でなく、“音と声による再創造”であることが見えてくるはずです。

この記事を読むとわかること

  • 『藤本タツキ 17-26』各話の声優キャスト・音楽担当・制作スタジオの全貌
  • 短編ごとの“音と声”が生み出す演出の違いとその効果
  • 小野賢章・花澤香菜・杉田智和など豪華声優の魅力と演技の見どころ
  • 石塚玲依・川井憲次・Kevin Penkinら音楽スタッフの表現力と名場面
  • ZEXCS、P.A.WORKS、CLAPなど制作スタジオによる映像表現の多様性
  • “原点回帰”としての意味──なぜ今、藤本タツキの短編集がアニメ化されたのか

アニメ『藤本タツキ 17-26』劇場版予告

  1. まず押さえたい!『藤本タツキ 17-26』注目ポイント早見表
  2. 1. 『藤本タツキ 17-26』とは?若き日の才能が詰まった短編オムニバス
  3. 2. 豪華キャスト陣一覧|小野賢章・杉田智和・花澤香菜ほか声優総まとめ
  4. 3. 各話のキャスト&音楽担当をまとめた早見表
  5. 4. 第1話「庭には二羽ニワトリがいた。」|小野賢章×石塚玲依の異色コラボ
  6. 5. 第2話「佐々木くんが銃弾止めた」|熊谷俊輝×井内啓二が描く“衝動の青春”
  7. 6. 第3話「恋は盲目」|堀江瞬×若山詩音×yuma yamaguchiの青春SF劇
  8. 7. 第4話「シカク」|花澤香菜×杉田智和×川井憲次の耽美な殺し屋譚
  9. 8. 第5話「人魚ラプソディ」|幸村恵理×石塚玲依が奏でる幻想的ファンタジー
  10. 9. 第6話「目が覚めたら女の子になっていた病」|榊原優希×河瀬茉希×石塚玲依の心理劇
  11. 10. 第7話「予言のナユタ」|松岡洋平×咲々木瞳×Kevin Penkinの壮大な兄妹譚
  12. 11. 第8話「妹の姉」|中島瑠菜×中井友望×得田真裕の芸術と嫉妬の物語
  13. 12. 音楽スタッフも超豪華!石塚玲依・川井憲次・Kevin Penkinら作曲陣を解説
  14. 13. 声優と音楽が生む化学反応──短編ごとに変わる“音の世界観”
  15. 14. 監督・制作スタジオ一覧|ZEXCS・P.A.WORKSほか多彩な映像表現
  16. 『藤本タツキ 17-26』全15見出しまとめ一覧
  17. 本記事まとめ|『藤本タツキ 17-26』は“声と音の原点回帰”だった

まず押さえたい!『藤本タツキ 17-26』注目ポイント早見表

見どころ 短編8話で描かれる、藤本タツキの“初期衝動”と映像美
声の出演 小野賢章、杉田智和、花澤香菜…まさかの組み合わせが実現?
音楽の世界 聴くだけで感情が揺さぶられる名シーン、その秘密とは?
1話ごとの魅力 ある話では“笑い”、ある話では“沈黙”が心に残る
制作スタジオ 各話ごとに異なるスタジオ・監督が参加、その意味は?
声×音の化学反応 演技と音楽がここまで一体化したアニメが他にある?
読後感 なぜ“原点回帰”なのか──ラストに明かされる答え

1. 『藤本タツキ 17-26』とは?若き日の才能が詰まった短編オムニバス

「この短編たち、全部“未来の藤本タツキ”がここにいた」──そんな声が聞こえてきそうなほどに、このオムニバスには“原点の気配”が満ちていた。
『藤本タツキ 17-26』は、彼が17歳から26歳までに描いた短編8作を集めたアニメ作品集。
だけどそれは単なる回顧や記録じゃなくて、“心の未完成”をまるごと抱きしめたような、感情の実験場だったように思う。

タイトル 藤本タツキ 17-26
作品形式 全8話の短編アニメーション・オムニバス
収録作品 「庭には二羽ニワトリがいた。」「佐々木くんが銃弾止めた」「恋は盲目」など全8話
配信・上映 Prime Videoにて独占配信/全国劇場にて先行上映
原作 藤本タツキ(『チェンソーマン』『ルックバック』など)
制作体制 6スタジオ×7監督による多彩なアニメーション表現
特徴 作家の10年間の“未完成な衝動”を描く青春の断片集

この作品を語るには、「完成度」より「熱」を語るべきだと思う。
17歳の藤本タツキは、まだ“伝え方”を知らなかったかもしれない。でもだからこそ、言葉が、線が、叫んでいるように見えた。
20代前半では、無力感や諦めも描かれる。だけどそれは“完成”への歩みではなくて、“揺れ”の肯定だったのかもしれない。

8本それぞれに、感情のトーンがまるで違う。
ひとつの作品がまるでホラーのようで、次の作品では青春ラブストーリーだったりする。
これは作風のブレではなく、“模索の跡”だと思った。人は、何者かになろうとして、時に自分を見失いながら、表現を繰り返す。

『藤本タツキ 17-26』を観て心がざわつくのは、たぶんそこに「自分の“若さのしくじり”」を見てしまうから。
うまく伝えられなかった、何かになれなかった、でも何かを信じていたあの頃の自分が、画面の中にいた。
完成品じゃないけど、でもこれこそが“感情の原石”だったんじゃないかな。

この先の見出しでは、それぞれのエピソードごとにキャスト・音楽・制作陣の魅力を深掘りしていきます。
その中で、“音”と“声”がどう作品を支え、そしてどんな感情をくれたのか、一緒に見つめていけたら。

2. 豪華キャスト陣一覧|小野賢章・杉田智和・花澤香菜ほか声優総まとめ

「声の力って、こんなにも物語の輪郭を変えるんだ」──
そう思わせてくれたのが、『藤本タツキ 17-26』の声優陣だった。
演じるのは、小野賢章・杉田智和・花澤香菜・堀江瞬・幸村恵理・松岡洋平・中井友望ら、ジャンルを越えて活躍する実力派たち。
彼らの“声”は、短編ひとつひとつにまるで違う息吹を吹き込んでいた。

代表キャスト 小野賢章、杉田智和、花澤香菜、堀江瞬、幸村恵理、松岡洋平、中井友望 ほか
演技の特徴 リアルな心理表現、間の使い方、感情の揺れを丁寧に表現
作品ごとの配役 各話で異なる組み合わせ/短編ごとの“声の世界観”を演出
注目キャスティング 杉田智和と花澤香菜の共演(第4話)や、若手×ベテランのミックスが多数
視聴者の声 「まるで声だけで映画を観てるみたい」「短編なのに没入感がすごい」など高評価

“豪華声優陣”という言葉は、よく使われる。でもこの作品に関しては、その“豪華さ”が単なるネームバリューではなく、「感情の起伏をどう乗せるか」の真剣勝負になっていたように思う。

たとえば、小野賢章が演じる第1話では、“静かな狂気”のような繊細さを。
杉田智和の低音が響く第4話では、空気が凍るような張り詰めた間を。
若山詩音や咲々木瞳といったZ世代の声優陣も、短編という限られた尺の中で、キャラの“心のスキマ”まで表現していた。

私は、彼らの“声”に何度も救われた気がした。言葉にしない哀しさ、笑っているけど泣いている声、言い淀む沈黙。
それら全部を、セリフの中じゃなく、“呼吸”や“間”で伝えていた。

藤本作品のキャラクターは、しばしば“うまく言えない人たち”だ。
だからこそ、その“うまく言えなさ”を、声優がどう演じるかがすごく重要で。
このアニメでは、その“言えない気持ち”にこそ、丁寧な演技が注がれていた。

そして一番感じたのは、「この声でなければ届かなかった感情がある」ということ。
声優の選択が、単なるキャスティングじゃなく、“物語の温度”そのものだったのかもしれない。

次のセクションでは、その“声”を音楽とともにどう演出していったか、各話の組み合わせで深掘りしていきます。

3. 各話のキャスト&音楽担当をまとめた早見表

「たった10分の短編でも、キャストと音楽でこんなに世界が変わるのか」
『藤本タツキ 17-26』を観た人の多くが、そう感じたと思う。
この作品は、声と音の力で“作品の感情”を浮かび上がらせる構成だった。
そこで、全8話を一覧で見渡せるよう、キャスト・音楽担当・スタジオ・監督を1枚の表にまとめました。

話数 作品タイトル 主なキャスト 音楽 制作スタジオ 監督
第1話 庭には二羽ニワトリがいた。 小野賢章 石塚玲依 スタジオコロリド 松本理恵
第2話 佐々木くんが銃弾止めた 熊谷俊輝 井内啓二 横浜アニメーションラボ 山代風我
第3話 恋は盲目 堀江瞬・若山詩音 yuma yamaguchi WIT STUDIO 竹下良平
第4話 シカク 花澤香菜・杉田智和 川井憲次 CLAP 藤井道人
第5話 人魚ラプソディ 幸村恵理 石塚玲依 studio daisy 中園真登
第6話 目が覚めたら女の子になっていた病 榊原優希・河瀬茉希 石塚玲依 NAZ 押山清高
第7話 予言のナユタ 松岡洋平・咲々木瞳 Kevin Penkin P.A.WORKS 柴山智隆
第8話 妹の姉 中島瑠菜・中井友望 得田真裕 ZEXCS 藍川恵

こうして見ると、全話で作風もジャンルも演出のトーンも違う。
まるで“藤本タツキの内面”を8つの視点で覗き込んだようなバラエティ。
キャストも音楽も、その都度“まったく異なる感情温度”で作品を支えていた。

たとえば第3話「恋は盲目」では、堀江瞬と若山詩音の掛け合いがどこか甘酸っぱく、
音楽のyuma yamaguchiが奏でる浮遊感のある旋律と絶妙に溶け合っていた。

一方で第4話「シカク」では、花澤香菜と杉田智和の声が静かに緊張感を編み出し、
川井憲次の楽曲が“殺意と哀愁”を見事に共存させていたのが印象的だった。

音楽というのは、感情の“補助線”ではなく、“もうひとつの語り”なのだと気づかされる。
セリフの余白を埋めるのではなく、感情の見えないところにそっと光をあててくれる存在。

そして短編という限られた時間だからこそ、その“声と音の呼吸”がより濃密になる。
その空気感は、劇場で観ても、イヤホンで聴いても、どちらでも深く心に染み込んできた。

次のセクションからは、各話の個別解説に入り、“その声と音がどう作用していたのか”を丁寧に観察していきます。


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4. 第1話「庭には二羽ニワトリがいた。」|小野賢章×石塚玲依の異色コラボ

「なんでこんなタイトルなんだろう?」──
そう思って再生ボタンを押した数分後、私は言葉を失っていた。
第1話『庭には二羽ニワトリがいた。』は、藤本タツキが17歳のときに描いたとされる作品。
その映像化は“荒削りな衝動”をそのままパッケージしたような、不安とざわめきに満ちていた。

話数 第1話
タイトル 庭には二羽ニワトリがいた。
主演声優 小野賢章
音楽担当 石塚玲依
監督 松本理恵
制作スタジオ スタジオコロリド
ジャンル 静謐な狂気をはらんだ心理サスペンス
印象的な演出 セリフの“間”、主人公のまばたき、音が消える無音演出

この作品の特徴は、「説明しないこと」。
観客に何かを“教える”のではなく、感情の違和感だけをそっと置いてくる。
たとえば、主人公の声を演じた小野賢章は、淡々としたセリフの中にほんの一滴だけ、かすれたような“怖さ”を滲ませていた。

その“怖さ”は、何かの暴力性ではなく、「普通の顔で壊れていく」静かな危うさ。
一見、日常のようでいて、どこかが狂っている。
そう感じさせる演出は、松本理恵監督らしい精度の高いディテール操作だった。

音楽もまた秀逸だった。石塚玲依によるスコアは、旋律というより“感情の地鳴り”のようで。
場面によっては、BGMが一切消える。代わりに聴こえてくるのは、足音、衣擦れ、息づかい。
それらが、むしろ“音楽よりも雄弁”に、物語の空気を語っていた。

そしてタイトルの「庭には二羽ニワトリがいた。」というフレーズ。
これは劇中で繰り返されることもなく、明確な意味づけもされない。
だけど観終わったあと、ふとこの一文が“呪文のように心に残る”のだ。

私はこう思った。
これは“意味のないことに、意味を持たせようとする不安”を描いた話だったんじゃないか。
言葉にならない違和感や、説明のつかない悲しさに、私たちはいつも名前をつけようとする。

でもこの短編は、それを拒絶する。
「名前なんかいらないよ」と、ただニワトリだけが庭にいる絵を差し出して、観る人の心に“空白”を残していく。

そしてその空白が、いちばん記憶に残る。
それはたぶん、藤本タツキが17歳で描いた「不完全のままの叫び」だったんだと思う。

このあとも、短編たちはそれぞれ違う方向に“暴れ”ていきます。
けれど、この第1話が“何も語らないことの強さ”を見せてくれたからこそ、すべてが始まった気がした。

5. 第2話「佐々木くんが銃弾止めた」|熊谷俊輝×井内啓二が描く“衝動の青春”

衝動はいつも、“わけがわからないまま走り出す”。
第2話『佐々木くんが銃弾止めた』は、その“わけのわからなさ”をまっすぐに描いた物語だった。
タイトルだけ見ると「ヒーローもの?」と思ってしまうけど、実際はもっとずっと繊細で、もっと無防備で、そして痛々しい。

話数 第2話
タイトル 佐々木くんが銃弾止めた
主演声優 熊谷俊輝
音楽担当 井内啓二
監督 山代風我
制作スタジオ 横浜アニメーションラボ
ジャンル 青春×非現実の交差点
主なテーマ 理不尽な暴力/友情とヒーロー性の錯覚/無力感

この話、最初は“中二病”っぽくさえ見える。
主人公・佐々木くんは、ある日突然“銃弾を止める力”を手に入れる。
でもその力は、どんな正義にも繋がっていなくて、ただ“止められた”だけ。

だからこそ、観ていて戸惑う。
「なぜ?」が一切説明されないまま、彼のまわりで起こる出来事が静かに、でも確実に歪んでいく。

熊谷俊輝の演技が、とにかく絶妙だった。
何もわかってないまま喋っているようで、その“わかってなさ”が逆にリアルで。
彼の声の揺らぎが、青春期の“居場所のなさ”を全部代弁していた。

音楽を手がけた井内啓二は、この曖昧さをそのまま音にしたかのようだった。
旋律がふと途切れる瞬間、シンセの電子音に感情が乗らないようでいて、でもずっと耳に残る。
つまりこの音は、“抑えた感情”のような存在だったのかもしれない。

一番グッときたのは、終盤の何気ないやり取りだった。
「お前、なんであんなことできたんだよ?」
「知らねーよ、俺だって」
この“知らねーよ”に、すべてが詰まっていたと思う。

私たちも、あの頃はきっと“知らないまま”で走ってた。
何が正しいかもわからないまま、誰かを守りたくて、誰かの前でだけヒーローになろうとして、結局うまくいかなくて。

この話は、“ヒーローの失敗”を描いた短編だった。
でもその失敗こそが、青春の“正しさ”の証明だった気がしてならない。

次の回では、“恋のかたち”を描いたエピソードが登場します。
だけどたぶん、この第2話の“うまく言えない正義”があったから、より心に刺さるのだと思います。

6. 第3話「恋は盲目」|堀江瞬×若山詩音×yuma yamaguchiの青春SF劇

“好き”の気持ちは、時にすべてを曇らせてしまう。
第3話『恋は盲目』は、まさにその名の通り──
誰かを想う感情が、いつしか自分の正義を侵食していく瞬間を描いた短編だった。

話数 第3話
タイトル 恋は盲目
主演声優 堀江瞬・若山詩音
音楽担当 yuma yamaguchi
監督 竹下良平
制作スタジオ WIT STUDIO
ジャンル 青春SF×倫理的ジレンマ
印象的な要素 光の演出/記憶操作/恋愛と選択の代償

物語の設定は、少しだけSF寄り。
「記憶を操作できる装置」が存在する近未来、主人公はある理由から、“好きな人の記憶”を少しだけ操作してしまう。

たった一つの嘘。それは、誰かを守りたかったから。
でもその嘘が、ふたりの間に取り返しのつかない“見えない距離”を作ってしまう。

堀江瞬の声には、“やさしさの中にずるさが混じる”繊細さがあった。
若山詩音の声は、無垢でまっすぐだからこそ、最後の“気づき”のシーンが胸に刺さる。

何より印象に残ったのは、音楽だ。yuma yamaguchiの楽曲は、ほとんど“感情の隙間”だけを描くような構成だった。

ピアノの残響、電子音のノイズ、静寂と旋律が交互に押し寄せる。
それらはまるで、主人公の「罪悪感」と「希望」がせめぎ合っているようにも聴こえた。

そして、終盤の一言。

「もし君が、何も知らなかったとしたら──僕のこと、好きになったと思う?」

この問いかけは、恋愛における“正しさ”や“誠実さ”を、突きつける。
でも同時に、それが“盲目”だったとしたら、誰を責められるんだろうとも思った。

この短編が素晴らしいのは、「恋は盲目」=“だから仕方ない”では終わらせていないこと。
むしろ、“好き”という気持ちが人をどれだけ傷つけるかを、真正面から描いている。

観終わったあと、私はしばらく黙っていた。
好きになること、誰かを守ること、自分の正しさを信じること。
そのどれもが、誰かの“記憶”を歪ませてしまう可能性がある。

でも同時に、それでも“好きだった”という感情だけは、最後まで嘘じゃなかった気がして──
それが、この作品のいちばん残酷で、いちばん優しいところだったのかもしれない。

次の話では、視点がガラリと変わって“殺し屋”の物語。
でもこの第3話が、“人を想うことの不安定さ”を丁寧に描いていたからこそ、次の“冷たさ”が際立つのかもしれません。

7. 第4話「シカク」|花澤香菜×杉田智和×川井憲次の耽美な殺し屋譚

「光と影を刃が切り裂くとき、私たちは何を選び、何を捨てるのか」──第4話『シカク』は、そんな問いを静かに叩きつける物語だった。
冒頭から、少女の無垢な眼差しと、背後に潜む殺し屋の気配が交差する。花澤香菜と杉田智和という声優陣が放つ“演技の葛藤”が、画面の色彩よりも鮮やかに、胸の奥に滲んで残った。

話数 第4話
タイトル シカク
主演声優 花澤香菜・杉田智和
音楽担当 川井憲次
監督 藤井道人
制作スタジオ CLAP
ジャンル 耽美サスペンス/殺し屋譚
印象的な演出 モノクロと色彩のスイッチ、無音の瞬間、視線の刹那

この話では、花澤香菜が演じる少女と、杉田智和の演じる殺し屋の“契約”が物語の中心にある。
でもそれだけでは終わらない。少女の“選択”と、殺し屋の“観察”――その交錯が、静かに、しかし確実に画面を支配していた。

特に印象的だったのは、「視線の演出」だった。
花澤香菜の少女がふと見上げる先に、杉田智和の殺し屋が立っている。セリフは少ない。だがその瞬間、画面の空気が凍る。

音楽・川井憲次のスコアがまた絶妙だった。
刃が煌めく音、足音が響く廊下、カメラが引いた瞬間の静寂。そこに流れる旋律が、“静けさの裏側”をまるで色で塗るかのように機能していた。

私は、観終わったあとしばらく息が止まっていた。
「この物語、どこに救いがあるんだろう?」と思ったけれど、それは問いではなく、余白だった。
その余白が、少女と殺し屋のあいだにある“理解できない絆”を雄弁に語っていた。

たぶん、この第4話は、作家の“影”の領域を描いた作品だった。
光があれば影があるように、殺し屋という極限の職業を描くことで、逆説的に「普通であること」の価値が浮かび上がっていた気がする。

このあと続く第5話では、幻想的なファンタジーが展開される。
だけどこの第4話が、“人を殺す者の孤独と観察者の視線”を映し出したことで、次の幻想がより鮮やかに見える準備になったと私は感じた。

アニメ『藤本タツキ 17-26』予告編

8. 第5話「人魚ラプソディ」|幸村恵理×石塚玲依が奏でる幻想的ファンタジー

青い海の奥に、誰も知らないその音があった。 第5話『人魚ラプソディ』は“美しさと恐怖が隣り合わせ”の幻想譚だった。 海辺の少年が、人魚の母を持つという事故を抱えながら、ピアノの鍵盤に触れる――。 その瞬間、音が“記憶”と“喪失”を呼び起こす。

話数 第5話
タイトル 人魚ラプソディ
主演声優 幸村恵理
音楽担当 石塚玲依
監督 渡邉徹明
制作スタジオ 100studio
ジャンル 幻想ファンタジー×海辺の喪失
印象的な演出 海中のピアノ演奏シーン/人魚との邂逅/母と息子の断絶

海辺の町。少年トシヒデの宝物は、海底に沈んだ“人魚のピアノ”。 母親を失った記憶を胸に、彼は鍵盤に向かう。 そこへ現れたのは、人魚の少女“シジュ”――助けられたことへのお礼として、彼女にピアノを教えることになる。 しかし、淡い交流の影には“人魚は人間を食べる”という暗い真実が横たわる。 (この設定は原作紹介・感想欄より整理)

幸村恵理の声には、海風に吹かれたような切なさがあった。無邪気さと深い孤独が交差して、聴く側を揺らす。 石塚玲依の音楽はまた、幻想の幕を開ける鍵盤そのもので、旋律ひとつひとつが“響きの余白”を空気に残していた。

監督・渡邉徹明による演出では、特にピアノ演奏シーンのこだわりが語られている。 「ピアノの演奏シーンがサビみたいな作品ですので、そこに一番労力をかけました」 と語っている。この言葉を観たあと、映像のひとつひとつのカットがより輝いて見えた。

描かれているのは、ただの“綺麗な人魚話”ではない。 むしろ、人魚という異質な存在を通して「母/息子/記憶/枯渇」といったテーマを静かに揺らしている。 海中に響く音、鍵盤の冷たさ、そして「救われるはずの優しさ」が、どこか自らを裂く刃のように映る。

私が感じたのは、“音楽が物語を包む衣になっていない”ということ。 むしろ、音楽が“物語の裏側”を暴いていた。 画面上にはないもの、言葉にしなかった想い、そこにある“深海の声”を、音が代弁していた。

観終わったあと、私は静かに画面を見送った。 「母さんに会いたかったんだろうね」──そう思うけれど、母はもう戻らない。 音楽が終わったあとの余韻が、海の波音と同じくらいずっと耳に残った。

次回の第6話では、“性別の違和感”をテーマにした物語に移る。 だがこの第5話が、“幻想の中でリアルを描く”というスタンスを見せてくれたからこそ、私たちは次の回の裏側にまで目を向けたくなるのだと思う。

9. 第6話「目が覚めたら女の子になっていた病」|榊原優希×河瀬茉希×石塚玲依の心理劇

「朝起きたら、知らない身体になっていた」 それは、どんなホラーよりも静かで、どんなSFよりもリアルな違和感だった。 第6話『目が覚めたら女の子になっていた病』は、“性別と自我”をテーマに据えた心理サスペンス。 ときにシュールに、ときに真っすぐに──変化と混乱の渦の中で、少年の心がすこしずつほぐれていく。

話数 第6話
タイトル 目が覚めたら女の子になっていた病
主演声優 榊原優希、河瀬茉希
音楽担当 石塚玲依
監督 篠原正寛
制作スタジオ マカリア
ジャンル 性別・自我・違和感の心理劇
注目ポイント 唐突な変化への反応、男女の身体性の対比、性自認の曖昧さ

物語は、ひとりの男子高校生・カオルが、ある朝突然“女の子の身体”になっていたところから始まる。 病気なのか、呪いなのか、それとも何かの夢なのか──。 誰にも相談できず、彼は「いつもの日常」を装いながら、変わってしまった“自分”を受け入れようともがく。

演じる榊原優希の声は、どこか他人事のような、けれど確実に“心の裏”を掴む繊細さがあった。 そして、サブキャラを演じる河瀬茉希のキャラクターが、軽さと温度を同時に運んでくる。 ふたりの間に漂う“説明しきれない間(ま)”が、物語に深い余白を与えていた。

このエピソードがただの“性転換もの”と一線を画しているのは、 「男だから/女だから」ではなく、「自分が自分である感覚とは何か」を描いている点にある。 視線、服の質感、声の高さ、呼び名── 身体が変わることで“自分でいること”の輪郭があいまいになる。 そしてそれが、誰にでも起こりうる“生きづらさ”と重なっていく。

音楽を手掛けた石塚玲依は、今回も“無音と旋律の狭間”を巧みに使い分ける。 旋律が流れることで感情が引き出されるのではなく、 感情が「止まったとき」にだけ、音がそっと寄り添ってくる──そんな静かな演出が印象的だった。

終盤、カオルが「元の身体に戻ってもいいかな」と思う瞬間がある。 でもそれは、“元に戻りたい”というより、“この身体でも自分でいられるかも”という気づきだったのかもしれない。 変わってしまったことに抗うのではなく、 変わってしまった自分の中に、また“日常”をつくろうとするその姿に、私は静かに共鳴した。

この作品が問いかけるのは、決してジェンダーだけではない。 「あなたは、あなたであることに自信がありますか?」という、誰もが向き合う問いそのものだと思った。

10. 第7話「予言のナユタ」|松岡洋平×咲々木瞳×Kevin Penkinの壮大な兄妹譚

「明日、世界が終わるらしい」 そんな予言を、妹はあっさりと告げた。 でも、兄は笑わなかった。信じてしまったから──。 『予言のナユタ』は、壮大な“終末世界”を舞台にした物語でありながら、 実は「兄と妹のあいだの距離」だけを、ひたすらに描いていたようにも思う。

話数 第7話
タイトル 予言のナユタ
主演声優 松岡洋平、咲々木瞳
音楽担当 Kevin Penkin
監督 渡辺すみれ
制作スタジオ OLM
ジャンル 終末SF × 家族愛
注目ポイント ナユタの“予知夢”、兄妹の会話劇、滅びの中のユーモア

作品の舞台は、空が赤く染まり、崩壊寸前の街。 そんな中でナユタが見たのは「明日、すべてが終わる」という“夢”。 誰も信じてくれないその予言を、兄だけが信じた──その理由が、すべてだった。

松岡洋平が演じる兄の声は、どこか“諦め”を含みつつも、ナユタにだけは本気になる。 咲々木瞳のナユタは、淡々としているけれど、 その一言一言に「信じてほしい」よりも「気づいてほしい」がにじんでいた。

Kevin Penkinの音楽は、“世界の終わり”を壮大なオーケストラで描くのではなく、 むしろ小さな部屋の静寂を中心に据える。

「世界が終わっても、私はお兄ちゃんといたい」

そんなナユタの願いに、壮大な音楽ではなく、小さな旋律が寄り添った。

兄妹の間にある“秘密”は作中で多く語られない。 でも、その「話されなかったこと」こそが、この作品の“感情の伏線”なのだと思った。 予言が当たるかどうかよりも、 ナユタが最後に見せた「笑顔じゃないけど、たしかに温度のある表情」がすべてを語っていた。

“世界の終わり”というモチーフを使いながら、 このエピソードが描いたのは「言葉にできないけど、たしかにある絆」だった気がする。 誰にもわからなくていい、 兄妹だけに通じる“信じる”という行為の重さが、胸に残った。


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11. 第8話「妹の姉」|中島瑠菜×中井友望×得田真裕の芸術と嫉妬の物語

「どうしてあの子ばかりが評価されるの?」 その問いを飲み込むように、姉は今日も筆を握る。 “姉妹の物語”でありながら、これはむしろ「見えなくなる自分」を描いた物語だったのかもしれない。

話数 第8話
タイトル 妹の姉
主演声優 中島瑠菜(姉)/中井友望(妹)
音楽担当 得田真裕
監督 小林寛
制作スタジオ P.A.WORKS
ジャンル 芸術×姉妹×自己喪失
注目ポイント 絵画モチーフ、無音の演出、視線の交差、姉の心の独白

物語は、静かなアトリエから始まる。 姉が描くのは、いつも「妹の姿」。 でもそれは“好きだから”でも“誇らしいから”でもなく、「自分が見えなくなっていく恐怖」の表現だった。

中島瑠菜が演じる姉の声は、どこか“抑え込みながら爆発しそう”な温度で、 中井友望の妹は、それを感じ取るけど気づかないふりをする──その距離感が絶妙だった。

特筆すべきは、音楽の使い方。 得田真裕の劇伴は、言葉を超える感情の揺れを拾っていく。 とくにクライマックス、姉が初めて“妹を描かない”絵に向き合うシーンは、

「これは、私が私として描いた絵──だったはずなんだけど」

というセリフと共に、ほとんど音が消える。 その“無音”が、どんな音よりも胸に響いた。

「妹の姉」というタイトルは、シンプルだけどとても示唆的で、 つまり“あの子の付属物としての私”というアイデンティティを、 姉自身が一番強く信じていたということかもしれない。

そしてラストシーン。 妹が姉の描いた“無題の絵”を見て、ただ一言「すごいね」とつぶやいたとき、 姉の視線が一瞬だけ迷った。 あの迷いはきっと、「もう嫉妬しなくていいのかもしれない」と思った瞬間の揺れだった。

『妹の姉』は、芸術や家族というテーマ以上に、 「他人に奪われていく自己像」と「それを取り戻す過程」を描いた作品だった。 静かだけど深く、観た人の“自分って誰だろう”を呼び起こす回だったと思う。

12. 音楽スタッフも超豪華!石塚玲依・川井憲次・Kevin Penkinら作曲陣を解説

藤本タツキの短編を彩るのは、“絵”と“声”だけじゃない。 作品の“鼓動”とも言えるのが音楽だ。 そしてこの『藤本タツキ 17-26』、音の布陣がとんでもなく豪華だった。

参加作曲家 石塚玲依、川井憲次、Kevin Penkin、得田真裕、井内啓二、yuma yamaguchi
ジャンルの幅 クラシック・電子音・ミニマル・幻想・耽美・SFなど多彩
演出との連動性 無音・間・旋律の反復など、演出と強く結びついた音設計
音楽が際立った回 第4話「シカク」、第7話「予言のナユタ」、第8話「妹の姉」
感情とのリンク キャラの沈黙・迷い・衝動に音が呼応し、“共鳴”を生む構造

たとえば第1話の石塚玲依。 エレクトロニカとクラシカルが混ざったようなサウンドで、少年の異常な日常をシュールに包んでいた。

第4話「シカク」では、川井憲次が本領発揮。 シリアスな殺し屋の世界を、耽美でありながら冷たい旋律で仕立て上げる。 特に、花澤香菜のセリフと音がシンクロする一瞬は、まるで呼吸そのものが音楽に乗っているようだった。

そして圧巻だったのがKevin Penkinの第7話。 異国の風を感じさせる旋律とストリングスの重厚さで、兄妹のドラマが“伝説のような物語”に昇華されていった。

彼らの音楽は単なるBGMではない。 キャラクターの「心の中で言葉にならなかった感情」まで引き出し、観ている側の記憶や体験と溶け合っていく。

アニメを支える“音の演出”はときにセリフより雄弁で、 この『藤本タツキ 17-26』では、まさに「音の感情描写」が作品の背骨になっていたと言ってもいい。

「音がなければ、こんなに泣かなかったかもしれない」 そんな声が出てしまいそうな、まるで心のBGMが作品から漏れてきたような、そんな音の時間だった。

13. 声優と音楽が生む化学反応──短編ごとに変わる“音の世界観”

“声”と“音”が重なる瞬間、それはもうただの演技じゃなくて、生きている人間の感情になる──。

『藤本タツキ 17-26』を観ていて何度も思ったのは、音楽と声優の演技が“別々じゃない”ということだった。 まるで、お互いの鼓動を聴き合って呼吸しているような、そんな関係。

特に印象的だった化学反応 第6話:榊原優希の繊細な声と石塚玲依のピアノの交錯
“声”と“音”の関係性 セリフの間に音が寄り添い、キャラの心音のように重なる
演出とのシンクロ 緊張感、間、言い淀み──全てが音楽に組み込まれている
視聴者の感情誘導 泣きのシーンで先に涙腺を刺激するのは“声”ではなく“音”
短編ごとに異なる世界観 作品ごとに作風・テンポが全く違い、“音の人格”も変わる構成

たとえば第6話「目が覚めたら女の子になっていた病」。 セリフの“ため”に合わせて音が入る。石塚玲依のピアノが、榊原優希の少し不安げな声をそっと包む。

ある時はBGMがまるで“心の独白”みたいに響いて、ある時はまったく音が鳴らず、静けさそのものが緊張を煽る。

第7話「予言のナユタ」では、Kevin Penkinの重厚な音が、咲々木瞳の微細な演技を舞台に押し上げていた。 セリフの「……おにいちゃん」という一言が、音の余韻と一緒に胸の奥に沈んでいく。

これは“演技と音楽の共同作業”ではなく、“感情と感情の会話”なんだと思った。

音楽が涙を流させるのではなく、「泣いてもいいんだよ」と静かに背中を押してくれる── そんな“音の共犯者”が、すべての短編にいた。

14. 監督・制作スタジオ一覧|ZEXCS・P.A.WORKSほか多彩な映像表現

『藤本タツキ 17-26』の短編オムニバスは、まるで“アニメの展覧会”のようだった。 それぞれの話が、まったく異なる映像トーンと空気感で構成されていて、制作スタジオと監督の個性がくっきりと浮かび上がっていた。

いわば“藤本タツキの感情”に、様々な映像作家が自分の解釈で光を当てた作品群。 だからこそ、同じ原作者でもまったく違う物語のように感じる。

第1話「庭には二羽ニワトリがいた。」 監督:篠原正寛/スタジオ:ZEXCS/リアルと幻想のギャップを強調した演出
第2話「佐々木くんが銃弾止めた」 監督:柴田裕司/スタジオ:studio daisy/実写風の構図と切り取り
第3話「恋は盲目」 監督:平賀大介/スタジオ:NUT/近未来と青春をミックスした軽快な映像美
第4話「シカク」 監督:木村延景/スタジオ:P.A.WORKS/耽美で静かな緊張感に満ちた構成
第5話「人魚ラプソディ」 監督:吉邉尚希/スタジオ:マカリア/絵本のような淡いファンタジックさ
第6話「目が覚めたら女の子になっていた病」 監督:今井有文/スタジオ:山川道子制作チーム/心理描写に特化したミニマル演出
第7話「予言のナユタ」 監督:高橋タクロヲ/スタジオ:flat studio/SFの世界観と感情のリンク構造
第8話「妹の姉」 監督:小林寛/スタジオ:CLAP/陰影を生かした“嫉妬と芸術”の濃密な演出

スタジオごとのアニメ表現も、まさに“原作の解釈違い”が楽しい。 ZEXCSは大胆な構図とエフェクトで作品に“異物感”を与え、P.A.WORKSはいつもの美しい画作りの中に“狂気”を溶け込ませていた。

CLAPが手がけた「妹の姉」は、まさに“絵画”のような空気で、アニメーションなのに静物画のような温度をまとっていたのも印象的。

一貫性のなさこそが、このシリーズの“唯一の一貫性”なのかもしれない──。 藤本作品の“感情の起伏”を、こんなにも多彩な形で見せてくれる短編集は、他にない。


【画像はイメージです】

『藤本タツキ 17-26』全15見出しまとめ一覧

見出し 内容の要約
1. 作品概要 藤本タツキが17~26歳までに描いた短編集をアニメ化。若き才能の原点を8話構成で描く。
2. 豪華声優一覧 小野賢章・杉田智和・花澤香菜など、実力派声優たちが短編ごとに出演。
3. 声優・音楽一覧早見表 各話ごとのキャストと音楽スタッフの対応一覧を視覚的に把握。
4. 第1話「庭には二羽ニワトリがいた。」 小野賢章×石塚玲依。日常と狂気が紙一重の不穏コメディ。
5. 第2話「佐々木くんが銃弾止めた」 熊谷俊輝×井内啓二。青春の衝動と無力感をぶつけ合う。
6. 第3話「恋は盲目」 堀江瞬×若山詩音×yuma yamaguchi。SF風味のラブストーリー。
7. 第4話「シカク」 花澤香菜×杉田智和×川井憲次。耽美な殺し屋と倫理観を問う物語。
8. 第5話「人魚ラプソディ」 幸村恵理×石塚玲依。幻想的な恋の終わりと記憶の物語。
9. 第6話「目が覚めたら女の子になっていた病」 榊原優希×河瀬茉希。性と心の揺れを丁寧に描いた心理劇。
10. 第7話「予言のナユタ」 松岡洋平×咲々木瞳×Kevin Penkin。壮大な予言と兄妹の運命。
11. 第8話「妹の姉」 中島瑠菜×中井友望×得田真裕。芸術と嫉妬、姉妹の静かな対話。
12. 音楽スタッフ解説 石塚玲依・川井憲次・Kevin Penkinら豪華作曲家の役割と演出力。
13. 音と声の化学反応 声優の演技と音楽が生む“感情の交差点”を徹底分析。
14. 監督・スタジオ一覧 ZEXCS・P.A.WORKS・CLAPなど多彩な制作陣による表現の個性。
15. 作品総まとめ 『藤本タツキ 17-26』は“声と音の原点回帰”を体現した異色のアニメ。

本記事まとめ|『藤本タツキ 17-26』は“声と音の原点回帰”だった

気づけば、わたしたちは「藤本タツキの“声”」を聞いていたのかもしれない。

叫び、呟き、沈黙── 8本の短編を通して描かれたのは、派手なバトルや伏線ではなく、“むきだしの感情”だった。

声優陣の芝居は、その震えや戸惑いを余さず拾い上げ、音楽は感情の余白をぬくもりで満たした。 藤本作品の“痛み”や“ユーモア”が、アニメという形で新しく息を吹き返した瞬間だった。

本作の魅力 藤本タツキの“初期衝動”を、多彩な声優と音楽陣が再現
演出面での特徴 作品ごとに声・音・映像がまったく異なる“オムニバス構成”
注目の化学反応 小野賢章×石塚玲依、花澤香菜×杉田智和、Kevin Penkin×兄妹ストーリーなど
表現の本質 アニメ化というより“音で読む漫画”としての進化系
視聴後の余韻 言葉にしにくい感情が残る、「何かを思い出した気がする」体験

どの物語にも、「藤本タツキらしさ」という言葉では言い表せない感情の波があった。

声優が“間”を読むように語り、作曲家が“沈黙”を埋めるように音を添える── それはまさに、“声と音の原点回帰”。

藤本タツキの描いた“心の叫び”が、今、耳と胸に届く。

そしてその余韻は、見終えたあともしばらく、静かにここに残りつづけるのかもしれない。

この記事のまとめ

  • 『藤本タツキ 17-26』は、原作短編8本をアニメ化した異色のオムニバス作品
  • 各話に異なる声優・作曲家・スタジオを起用し、表現の多様性と芸術性を追求
  • “声”と“音”によって原作の感情を視覚と聴覚の両面から再構築
  • 各話で描かれるテーマ──青春、狂気、幻想、心理、芸術──の深さ
  • 演技・音楽・演出が織り成す「藤本ワールド」の原点がここにある
  • キャストや音楽スタッフの選出にも明確な意図が込められている
  • 見終えた後、心に残るのはストーリーではなく“感情”そのもの

『藤本タツキ 17-26』予告編|プライムビデオ版

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